翼竜討伐 6
文字数 1,130文字
霧がかかり、うっそうとした山中をムツヤ達は歩いている。
「あーもー! ベタベタジメジメしてこれだから外は」
ルーはイライラして言った。発見された翼竜の巣まではあと1つ山を越えなくてはならない。
昨日までは天気にも恵まれ、ムツヤのカバンのお陰で軽装で山登りができたから、気持ち的にはそこまで嫌ではなかのだが、今は風呂や川で汗も流せずにジメジメとした霧のなかを歩いているので、疲れが倍に感じるほどだった。
「文句を言うな、あと少しだ」
アシノはそう言ってルーをなだめる。このままのペースで行けば昼過ぎには翼竜の巣の近くまで行ける。
そうすれば夜襲をかけるまでの間に充分に休むことが出来るだろう。
「ウゴオオオオ!!!」
翼竜の鳴き声だ。巣の近くまで来ているのだからそれが聴こえるのは当たり前だが、全員が違和感を覚える。
「なんか、鳴き声の聞こえ方が変じゃないですか? こだま…… でしょうか?」
出来れば誰も気が付きたく無かった事をユモトは口にしてしまった。
「いいや、これは……」
「ウゴオオオオオオオォォォォ!!!」
アシノが言いかけるとまた翼竜が鳴く、今度ははっきりと違和感の正体が掴めた。
「あらー…… あの子、ナンパ成功しちゃったみたいね」
ルーは引きつった顔で言った。そうだ、翼竜の鳴き声が2つ聞こえるのだ。そして更にまずい事が起きている。翼竜の羽音がコチラへ近づいてきているのだ。
「まずい、全員草の中に伏せろ!!」
アシノの言う通り皆で伏せた。そしてモモは空を見る。
上空を飛ぶ翼竜が、わずかに届く太陽の光を遮って影を作る。自分は本当にあの大きな竜を、しかも2匹を相手にするのかと思うと恐怖心が出た。
翼竜がどこかへ飛び去りアシノは立ち上がる。それに習うように皆も立ち上がった。
「さて、どうするか」
アシノは頭を抱えた、1匹ならまだしもこの人数で翼竜を2匹相手にするのは少々骨が折れる。
「どうするって、2匹になっちゃったんだから一旦ギルドに報告を入れないと」
そう言ってルーは連絡石を出すが、連絡石の信号の届く圏外らしく、何度信号を送っても反応はない。
「通常ならば一旦ギルドに戻って指示を仰ぐべきだが……」
アシノはちらりとムツヤを見る。
「ムツヤ、正直に答えろ。お前ならあの翼竜2匹を相手にできそうか?」
「あ、はい。アレぐらいなら大丈夫だと思います」
あっさりとムツヤは答えたが、モモは待ったを出す。
「ムツヤ殿!! いくらムツヤ殿が強いと言えど危険です!!」
「そ、そうですよ! 翼竜2体なんて……」
ユモトもそれに同調した。ムツヤが強いことは知っていたが、不安はある。
「翼竜がつがいになった後は何をするかわかるか? 卵を産むために狩りをして獲物を喰らい散らかす」
「あーもー! ベタベタジメジメしてこれだから外は」
ルーはイライラして言った。発見された翼竜の巣まではあと1つ山を越えなくてはならない。
昨日までは天気にも恵まれ、ムツヤのカバンのお陰で軽装で山登りができたから、気持ち的にはそこまで嫌ではなかのだが、今は風呂や川で汗も流せずにジメジメとした霧のなかを歩いているので、疲れが倍に感じるほどだった。
「文句を言うな、あと少しだ」
アシノはそう言ってルーをなだめる。このままのペースで行けば昼過ぎには翼竜の巣の近くまで行ける。
そうすれば夜襲をかけるまでの間に充分に休むことが出来るだろう。
「ウゴオオオオ!!!」
翼竜の鳴き声だ。巣の近くまで来ているのだからそれが聴こえるのは当たり前だが、全員が違和感を覚える。
「なんか、鳴き声の聞こえ方が変じゃないですか? こだま…… でしょうか?」
出来れば誰も気が付きたく無かった事をユモトは口にしてしまった。
「いいや、これは……」
「ウゴオオオオオオオォォォォ!!!」
アシノが言いかけるとまた翼竜が鳴く、今度ははっきりと違和感の正体が掴めた。
「あらー…… あの子、ナンパ成功しちゃったみたいね」
ルーは引きつった顔で言った。そうだ、翼竜の鳴き声が2つ聞こえるのだ。そして更にまずい事が起きている。翼竜の羽音がコチラへ近づいてきているのだ。
「まずい、全員草の中に伏せろ!!」
アシノの言う通り皆で伏せた。そしてモモは空を見る。
上空を飛ぶ翼竜が、わずかに届く太陽の光を遮って影を作る。自分は本当にあの大きな竜を、しかも2匹を相手にするのかと思うと恐怖心が出た。
翼竜がどこかへ飛び去りアシノは立ち上がる。それに習うように皆も立ち上がった。
「さて、どうするか」
アシノは頭を抱えた、1匹ならまだしもこの人数で翼竜を2匹相手にするのは少々骨が折れる。
「どうするって、2匹になっちゃったんだから一旦ギルドに報告を入れないと」
そう言ってルーは連絡石を出すが、連絡石の信号の届く圏外らしく、何度信号を送っても反応はない。
「通常ならば一旦ギルドに戻って指示を仰ぐべきだが……」
アシノはちらりとムツヤを見る。
「ムツヤ、正直に答えろ。お前ならあの翼竜2匹を相手にできそうか?」
「あ、はい。アレぐらいなら大丈夫だと思います」
あっさりとムツヤは答えたが、モモは待ったを出す。
「ムツヤ殿!! いくらムツヤ殿が強いと言えど危険です!!」
「そ、そうですよ! 翼竜2体なんて……」
ユモトもそれに同調した。ムツヤが強いことは知っていたが、不安はある。
「翼竜がつがいになった後は何をするかわかるか? 卵を産むために狩りをして獲物を喰らい散らかす」