ここをキャンプ地としよう 2

文字数 1,224文字

「あらーセンチメンタルじゃない? センチメンタル小室マイケル坂本勇者アシノって感じ?」

「わけがわからん……」

 目覚ましの魔法で時間ぴったりに起きたルーにアシノはからかわれた、ユモトも家のドアを開けて出てくる。

「ふあーあ、おはようございますアシノさん」

「はいはい、おはよう。まだまだ深夜だけどな」

 ダルそうにアシノは言う。昼間寝ていたとはいえ流石に眠くなってきた。

 「任せたぞ」と言って家の中にアシノは消えていき、静寂の星の下にはルーとユモトだけだ。

 焚き火を二人で囲むとおしゃべり好きなルーは早速話を始める。

「何か私も久しぶりにこーんな遠くまで来ちゃったけど、ユモトちゃんはどう?」

「僕はこんな遠くまで来たのは始めてです」

「そっかー」

 ルーはたまに見せる優しいお姉さんの表情をしていた。

「ユモトちゃん、覚悟って出来てる?」

 そして不意にそんな事を言われ、少しユモトは戸惑った。

 だが、焚き火を見つめてしっかりと答える。

「なるべくなら敵も…… 殺したくはありません。ですが皆さんを守るため、キエーウの暴走を止めるためだったら……」

「そっか」

 少し思い出してしまう。氷で敵を貫いて絶命させた時の事を。

「僕はムツヤさんに恩があります、それに仲間の皆にも。だから僕はその為に戦うんです」

「1つ聞いて良いかしら」

「はい」

 ユモトは何を言われるんだろうとドキドキしてしまう。もしかして怒られるようなことでも言ったかなと。

「ユモトちゃんてー…… そのー、ムツヤっちの事好きなの?」

「ぶっー!!!!!」

 変なことを聞かれ、思わずユモトは吹き出してしまった。

「あら、大当たりかしら?」

「な、なにを言ってるんですか!? 僕とムツヤさんは男同士ですよ!?」

「そういう意味で聞いたわけじゃなくて、仲間としてなんだけどー? やっぱユモトちゃんムツヤっちをそういう目で……」

 しまった、罠にかけられたとユモトは思う。

「ち、違います、好きじゃありません!!」

「じゃあ嫌いなの?」

 ユモトを下から覗き込んでルーは尋ねる。

「い、いや、嫌いなわけないじゃないですか!! ですからその、好きとか嫌いとかじゃなくて、仲間として好きですけど、あとムツヤさんは強くて魔法も上手で尊敬してますけど」

 顔を真っ赤にしてユモトはべらべらと早口で話していた。それを見て満足気にルーは笑っていた。

「わかったわかった。からかって悪かったわよ」

 うぅー、と言ってユモトは下を向いている。

「でもさー、ムツヤっちって不思議よね。人を惹きつけるというか、いい人だけどおバカな所が放っておけないのかしら」

 ムツヤに失礼かもしれないと思ったが、妙に的を射る発言に思わずクスクスと笑ってしまった。

「えぇ、そうですね。ムツヤさんは優しいですけど」

「おバカよね」

 ルーがユモトを指差して言った。またハハハとユモトは笑う。

「さーて、交代の時間まで魔法のお勉強をしながら見張るわよー!」

「はい、今日もよろしくおねがいします!」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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