下剋上 2
文字数 888文字
ナツヤは鉱脈の中でツルハシを振るった。今日も鉱石をノルマに達するまで掘らないと殴られる。
フユミトがあの細い体で発掘作業が出来るのか不安だったが、意外にも疲れを見せずにやり遂げていた。
「なぁ、何であんたは……、フユミトはここに?」
ふと気になった事をナツヤは聞いてみた。
「親が悪い連中に騙されてね、僕がここに来ることになったんだ」
「ふーん」
コイツも親のせいで苦労しているんだと思うと少しだけ親近感が湧く。あと、自分のこと僕って言う奴に久しぶりに会った気がする。
「親はどうしてるんだ?」
「僕にもわからない。今何をしているのかはね」
「そっか」
あまりお喋りをしすぎると、監督に見つかった時がうるさい。後は黙々と発掘をしていた。
昼には一応昼食が出る。旨味なんてものは取り除いた塩のスープに、硬いパンといった素晴らしいランチだ。
そして、日が暮れるまで魔石の発掘をする。その後は水をかぶって泥を落とす。まぁ、その水も汚れているのだが。
部屋に戻り、また最低な夕食を口にすると、1人の大男がフユミトの元へやって来た。
「なぁ、新入り。ちょっとこっち来いよ」
あぁ、可哀想にとナツヤは思った。助けなくちゃとも思ったが、あの喧嘩慣れしている大男に勝てるわけがない。
「お断りします、先輩」
「生意気だな、ちょっと分からせてやるか」
そう言って男はフユミトの腕を掴む。その瞬間、大男が吹き飛ばされ、床に仰向けに倒れていた。
「皆さん、お騒がせしました」
フユミトは一礼する。皆、何が起こったのかとその光景を眺めていた。
「お、おい、何だ今の」
「フユミト!? 今のは……」
ナツヤが尋ねるとフユミトは片目を閉じ、人差し指を口に当て小声で言う。
「護身魔法をちょっと使ったんだ」
「すげえなお前……」
大男は気絶していたが、死んではいないみたいだ。
消灯時間になり、明かりが消えると、真っ暗な熱気と汗臭い匂いが充満した部屋になる。
早く寝て夢の世界へ逃げ込もうと思っていたナツヤの背中を誰かがつついた。
振り返るとフユミトだった。そして言う。
「何か外で面白いことが起きているみたいなんだ。見に行かない?」
フユミトがあの細い体で発掘作業が出来るのか不安だったが、意外にも疲れを見せずにやり遂げていた。
「なぁ、何であんたは……、フユミトはここに?」
ふと気になった事をナツヤは聞いてみた。
「親が悪い連中に騙されてね、僕がここに来ることになったんだ」
「ふーん」
コイツも親のせいで苦労しているんだと思うと少しだけ親近感が湧く。あと、自分のこと僕って言う奴に久しぶりに会った気がする。
「親はどうしてるんだ?」
「僕にもわからない。今何をしているのかはね」
「そっか」
あまりお喋りをしすぎると、監督に見つかった時がうるさい。後は黙々と発掘をしていた。
昼には一応昼食が出る。旨味なんてものは取り除いた塩のスープに、硬いパンといった素晴らしいランチだ。
そして、日が暮れるまで魔石の発掘をする。その後は水をかぶって泥を落とす。まぁ、その水も汚れているのだが。
部屋に戻り、また最低な夕食を口にすると、1人の大男がフユミトの元へやって来た。
「なぁ、新入り。ちょっとこっち来いよ」
あぁ、可哀想にとナツヤは思った。助けなくちゃとも思ったが、あの喧嘩慣れしている大男に勝てるわけがない。
「お断りします、先輩」
「生意気だな、ちょっと分からせてやるか」
そう言って男はフユミトの腕を掴む。その瞬間、大男が吹き飛ばされ、床に仰向けに倒れていた。
「皆さん、お騒がせしました」
フユミトは一礼する。皆、何が起こったのかとその光景を眺めていた。
「お、おい、何だ今の」
「フユミト!? 今のは……」
ナツヤが尋ねるとフユミトは片目を閉じ、人差し指を口に当て小声で言う。
「護身魔法をちょっと使ったんだ」
「すげえなお前……」
大男は気絶していたが、死んではいないみたいだ。
消灯時間になり、明かりが消えると、真っ暗な熱気と汗臭い匂いが充満した部屋になる。
早く寝て夢の世界へ逃げ込もうと思っていたナツヤの背中を誰かがつついた。
振り返るとフユミトだった。そして言う。
「何か外で面白いことが起きているみたいなんだ。見に行かない?」