覚醒する少女 5

文字数 823文字

 ムツヤ達は目的地であるモミジという街の前にたどり着いた。

「うー、寒い寒い……」

 ルーは手に息を吹きかけてブルブルと震える。

「ここで待機だな」

 アシノは言ってから赤い玉を木にぶつけた。

「はいはい、こちらギルス」

「ギルス。目的の街に着いた。裏の道具の反応があったらすぐに教えてくれ」

「了解」

 そんな報告を終えると、急いでテントを立て始めた。

 ムツヤの持つ家が飛び出る本を使いたかったが、街から近いので万が一にも目撃されるとまずいので使用できない。

「テントヨシッ! 早く中に入るわよ!!」

 今回は男女別ではなく、皆で一つの大きなテントに入る。ルーは一目散にその中へと入っていった。

「何この中!! 暖かいじゃない!!」

 そこは流石に裏の道具のテントと言うべきなのだろうか、寒い外気を遮断し、中はほんのりと暖かい。

「本当だ、暖かい……」

 ユモトも思わずそう呟く。(こご)えきった皆は毛布を被り、体を温める。

「ムツヤっちスープ出してスープ!!」

「わがりまじだ!」

 ムツヤのカバンからユモトが作っておいたコンソメスープが出てくる。皆はそれを手に取ると、飲み始めた。

「あぁー、生き返るわー!!!」

 鶏肉と根菜類。隠し味のしょうがが体を温めてくれる。

「ほんと、ホッとしますね」

 思わずモモもそう言った。体が温まると、皆を眠気が襲う。

「あー、眠くなってきちゃったわ……」

「僕もです。すみません……」

 ルーとユモトはうつらうつらとし始めていた。

「裏の道具の反応はギルスが見ていてくれる。襲撃があるまで気を抜きすぎない程度にしておけ」




 いつの間にかモモとユモトは眠ってしまった。ルーも大の字になって爆睡している。

 ムツヤはヨーリィの手を握り、魔力を送っていた。アシノは毛布を(まと)い物思いに(ふけ)っている。

 そろそろ夜明けが近い、動きがないかと思った時だ。

「こちらギルス!! 裏の道具が物凄い速さでそちらに向かっている!!」

「来たか」

 アシノはワインボトルを手に持って立ち上がった。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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