VS邪神サズァン 4

文字数 649文字

 そんなモモとサズァンの間に飛び込む人影。

 剣がぶつかり合う音が響く。

 ムツヤだ。

「ムツヤ殿!!」

 はぁはぁと荒い息をしながら、仲間達の前に立ち塞がる。

 無言のままサズァンは回し蹴りを放つが、避けられてしまう。

 飛び上がり、黒魔術の秘技である黒炎で辺りを焼き尽くした。

 ムツヤは地面に防御壁を張り、その上を駆けてサズァンに近付く。

 目に追えない速さで斬り合いが始まる。

 お互い途中で魔法を打ち、牽制しながら隙を伺う。

 サズァンにも疲れが見え始めてきた。

 好機ではあったが、体力を削られているのはムツヤも同じだ。

 間合いを取り、手を伸ばし、地面を踏みつけ、魔法のみの応酬戦になる。

 天変地異でも来たかのように、火、氷、雷、闇、光、ありとあらゆる魔法が乱れ飛ぶ。

「そろそろ終わりにしましょう? ムツヤ」

 サズァンがそう言って一気に距離を詰める。

 下から斬り上げた剣がムツヤの左腕を捉えた。

「っ、ぐあああああ!!!」

 ムツヤが叫びながら左腕を抑えようとする。

 しかし、そこには抑えるべき物が無かった。

 片腕は斬り落とされ、宙を飛び、地面に転がる。

「ムツヤ殿ぉぉぉ!!!!!」

「ムツヤ!!!」

「ムツヤさん!!」

「ムツヤっち!?」

 皆が一斉にムツヤの名を呼ぶ。

 隻腕になったムツヤは右手だけで剣を強く握っていた。

「次は首ね。ムツヤ、何か言い残したことはあるかしら?」

 冷酷に言うサズァン。ムツヤは叫ぶ。

「俺は、俺は負けない!!!」

「そう、それじゃ……」

 サズァンはムツヤの首目掛けて一直線に突きを繰り出した。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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