とりあえず、海へ行こう! 6

文字数 1,287文字

「お次はー? スイカ割り対決ー!!」

 いつの間にかルーは大きなスイカを2つ用意していた。

「ルールは知っての通り、目隠ししてグルグル回った後、スイカを先に割った方の勝ちでーす」

「なるほど、分かりやすい。ここは俺に行かせて下さい!!」

 ミシマの弟分の男が今度は挑戦するみたいだ。

「それじゃこっちはユモトちゃん」

 ルーが言うとユモトは驚きの声を上げる。

「え、僕もやるんですか!?」

「当たり前よねぇ」

 こちらは勝手にユモトが参戦することになった。

 挑戦する2人は、スイカから少し離れた場所に立ち、目隠しをされる。

「よーし、よーいスタート!! それじゃ棒を置いてグルグル10回まわってー!!」

 言われるがままにグルグルと回った。ユモトは5回まわったぐらいでフラフラになる。

 ミシマの弟分が先に回り終わり、ヨロヨロと歩き出した。

「もっと前だ、そして右!!」

 早速、ミシマ達が支持を出し始めた。遅れてユモトもスタートする。

「ユモト、頑張れ!!」

「ユモトちゃーん、もっと前に行って左よー!!」

 飛び交うモモの声援とスイカの場所のヒント。

「え、え、どこですかー」

「ちょい右、そして上!!!」

「上ってなんですか!?」

 棒を振り上げたままユモトはあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。

 その周りをルーがギャーギャー騒ぎながら歩いていた。

 その瞬間、ユモトは足がふらついて倒れそうになってしまう。

 ぽよよんと柔らかい感触がする。

「やーん、ユモトちゃんのエッチー!!」

 ユモトはルーの別のスイカに思い切り顔を押し付けていた。

「あ、すみませんすみません!!」

 ユモトは急いで体勢を立て直して後退りする。その時勢い余ってよろめく。

 グシャッ。

 転ぶと同時に持っていた棒で偶然にもスイカを割ることが出来てしまった。

「第2回戦はユモトちゃんの勝ちー!!!」

 目隠しを取って割れたスイカを見てユモトはふぅーっと胸を撫で下ろす。

「ミシマの兄貴ィー面目ねぇ!!」

「いや、仕方がねぇ」

 ムツヤ達は倒れているユモトを取り囲んで賛辞を送る。

「よくやったユモト」

 アシノが言うとユモトは照れて頭をかいた。

「アシノさん、でも何か偶然なような……」

 ルーは早速割れたスイカを拾ってモシャモシャ食べながら言う。

「ぐうじぇんでもいいのお」

「怪我しなかったですか?」

「あ、いえ、大丈夫です」

 ムツヤが言いながらユモトの手を取って起き上がらせる。ちょっと恥ずかしくて思わず赤面した。

「さーて、お次はー? ラスト!! ビーチバレー対決!!」

「ビーチバレー?」

 ムツヤやモモ、ユモトやヨーリィといった海が初めて組は思わず首を傾げる。

「何かこう、ボールをポンポンポーンってやって相手の陣地に叩き込む奴よ!!」

 相変わらずルーの説明は何を言っているのか分からない。

「じゃあルールを知っているアシノと私で行くわ!!」

 フンスと胸を張っていうルーだったが、アシノが待ったをかけた。

「ビーチバレーならちびっ子のお前じゃ不利だろ」

「ちびっ子言うなし!!!」

「ちびっ子だ」「違うし」と言い合いながらも、ルーとアシノのデコボココンビが戦うことになる。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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