魔人ナツヤ 2

文字数 1,005文字

「進めぇー!!!」

 デュラハンが骨の魔物、スケルトンやゾンビ兵を引き連れてムツヤに突撃する。

「何だあの軍勢は……」

 ムツヤの後ろで戦っていたイタヤは魔物の行軍を見てムツヤの心配をした。

 だが、それは杞憂だった。ムツヤが剣を持ち回転すると、剣身から炎が吹き出て辺り一帯を焦がす。

 次々と煙に変わる魔物達。そこにデュラハンが到着した。

「ナツヤ様の為に、貴様を斬り捨て……」

 そこまで言いかけた時、ムツヤは馬ごと縦に一刀両断する。いともたやすくデュラハンは煙へと変わった。

「嘘だろ!?」

 ナツヤは驚いて言う。あれ程強く、信頼を置いていたデュラハンが一撃の元に斬り伏せられてしまった。

「ナツヤ、もっと強い魔物をだそう。君になら出来る」

「あぁ!!」

 フユミトの言葉にナツヤは動揺を抑えて、より強い魔物を想像する。

 次にムツヤの元に飛んできたのは、空を飛んでいた翼竜だった。ムツヤは飛び上がり、翼竜の背に乗る。

 そして、一気に首を斬り、落下させた。だいぶ前線が押し上げられて、拡声魔法を使える辺りまでアシノは来る。

「ユモト、頼む」

「はい!!」

 拡声魔法をユモトが使い、アシノはナツヤに向けて言葉を放つ。

「おい、聞こえるか!! 勇者アシノだ!! お前達は包囲されている!! 大人しく降伏しろ!!」

 その声を聞いたナツヤは怒りに震えた。

「こっちも言い返してやろう」

 フユミトが拡声魔法をナツヤに掛けて、城壁から叫ぶ。

「黙れ!! お前達を勇者などと認めない!! 俺が勇者になってやる!!」

 アシノは慎重に言葉を選んで話し始めた。

「お前の境遇の事は少しだけ知っている。鉱山での事は、勇者として気付けず本当に申し訳ないと思う」

「黙れ、知った所で国の犬のお前達は助けなかっただろ!!」

 言い返されてアシノは言葉に詰まったが、無理やり続ける。

「そんな事はない!! 私達は……」

 そこまで言った所でナツヤが被せて言った。

「勇者ってのは弱者を助けるもんだろ!? 俺は弱者の気持ちが分かる。俺なら優しい国を作れる!! 俺が勇者になってこの国を変える!!」

「確かに、お前の、お前達の境遇は同情する。が、人を殺して良い理由にはならない!!」

 話にならないなとナツヤは思った。

「俺は奪われた物を奪い返す。やられた事をやり返す」

 アシノに向かって魔物達が走り出した。ヨーリィが前に出てそれらを殲滅する。

 もっと、もっとだ、ナツヤは魔物を更に生み出す。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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