キエーウ最終決戦 5

文字数 902文字

「あっ、あぁ……」

 ユモトは感電して動かない体を無理やり動かそうとする。ムツヤさんを助けなければ。

「ムツヤ殿!!」

 右足を引きずってモモも歩こうとしたが、激痛でうまく力が入らない。

「お兄ちゃん」

 ヨーリィは体が枯れ葉に変わり、動くことが出来なかった。

 ルーは斬られた後、精霊に囲まれて地面に倒れたきりだ。

「ムツヤっ!!!」

 アシノはムツヤの近くで切られた胸を抑えながら歩く。回復薬を掛けなければあのバカは本当に死んでしまう。

 そんなアシノのよろめく足元をダクフは蹴り飛ばす。

「勇者様も無様だな、ハハハ」

 バランスを崩して倒れ、回復薬は地面に染み込んでいく。

「さて、お前達、やれ!!」

 騒ぎが収まるとキエーウのメンバーがぞろぞろと出てきた。

 ダクフはムツヤの元へ歩み寄ると鞄に手を伸ばす。

 その瞬間だった、ムツヤが飛び起きてダクフを斬りつけた。

 胸を斬られたダクフは思わず手でその場所を抑える。

「生きていたのか!!」

 また剣で斬りかかり、ダクフと鍔迫り合いになる。

 そう、ムツヤは右手を光らせ、魔法で体を貫いたように見せかけ、実は背中から魔法を放出させていただけだった。

「このっ……」

 ダクフは完全にムツヤを見誤っていた。仲間の為なら従順に命を捨てるだろうと。

「みんなの為に俺は死ねない!!!」

 否、ムツヤは仲間の為に命を賭けて一芝居したのだ。

「小賢しい真似をっ!! うっ!!??」

 ダクフは急に気分が悪くなった、目眩がする。

 その理由は簡単だった。ムツヤの余りに強大過ぎる力に体がついていかなかったのだ。

「今すぐ剣を納めろ!! 本当に仲間を殺すぞ!!!」

「誰を殺すってわけ?」

 ムツヤにとって聞き慣れた声がした。ルーだ。傷はすっかり治り、精霊の上に乗ってこちらにやって来ていた。

 辺りに居たキエーウのメンバーは精霊たちと戦っている。

「くそっ!!」

「逃がすか!!」

 モモが背中からダクフを斬りつけた。

「ぐううう、豚がぁ!!!!」

「私からもお返しだ!!」

 アシノはビンのフタをダクフの顔面めがけてスッパーンと飛ばしまくる。地味に痛いやつだ。

「バインド!!!」

 そして、怯んだ隙にユモトが拘束魔法で縛り上げた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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