最強の力 2

文字数 1,360文字

 その時、奥の牢屋からガシャリと音がする。

「誰か居るのか!?」

 イタヤが向かうと、鉄のベッドに拘束されたムツヤが居た。

「ムツヤくん!?」

 急いで駆け寄ろうとした時だった。ムツヤが鎖を引きちぎって飛び起き。

「うがああああ!!!」

 イタヤに襲いかかった。

「なっ!!」

 イタヤは剣を引き抜いて斜めに構え、ムツヤの拳を受け止めた。

 ガキィンと、まるで鉄の塊をぶつけられたような音と衝撃が走る。

「一旦引くぞ!!」

 ウリハに言われて、イタヤも隠し部屋から出た。

「ムツヤくんが、多分だが、操られている!!」

「アイツを操るとは、流石は魔人と言った所か……」

 イタヤが言うと、アシノが感心して言った。それに対してルーが騒ぐ。

「感心してる場合じゃないでしょ!! 私達じゃ止められないわよ!!」

「時間を稼ぐ」

「はぁ!?」

 アシノの言葉にルーは疑問符が浮かんだ。

「ムツヤのことだ、おそらく魔法か何かに掛かっていても、回復は早いだろう」

「そりゃそうかもしれないけど!!」

「そ、それで、どうやって時間を稼ぎますか?」

 ユモトが尋ねるとアシノは答える。

「逃げるんだよォ! ユモト!」

「やっぱりそうなるのね!!!」

 ルーが叫ぶと、みんなで部屋から逃げ出して一階まで駆け下り、外へ飛び出た。

「ムツヤはぶっ殺そうと思っても殺せる相手じゃありません。全力を出して戦いましょう!!!」

 アシノが言うと全員が返事をしてムツヤを待ち構える。

 イタヤとウリハが最前線に並び、その後ろに残りの者たちが隊列を組んだ。

「うがあああああ!!!」

 ムツヤは走りながら拳を振り上げる。

「悪いな!!」

 イタヤが光の刃をムツヤに何度も飛ばすが、全て飛び跳ねてかわされてしまう。

 1つだけ直撃しそうになったが、ムツヤが地面を足で踏むと防御壁が現れて受け止められた。

 ウリハも火の玉や光線を出し、それと共に特攻を仕掛けたが、ムツヤに傷一つ負わせられない。

「うらあああ!!」

 それどころか蹴りを食らいそうになってしまい、剣で受け止める。

 あまりの力に剣が弾かれ遠くへ飛んでしまった。

「ウリハ!!」

 イタヤは叫んでウリハの元へ向かう。それを援護するようにサワとユモトの魔法攻撃が飛んでいった。

 氷も、雷も、炎も、ムツヤが魔力を込めた右手で薙ぎ払うと消し飛んでしまう。

「はーい、おまたせー」

 精霊を召喚したルーはムツヤを取り囲ませた。

 この戦いは時間稼ぎが目的だ。付かず離れず一定の距離を取らせて戦わせる。

 ルーの作戦は上手くいったようで、ムツヤは精霊相手に暴れまわっていた。

 その隙間からヨーリィが木の杭を投げて、ささやかながら邪魔をする。

「魔法を!! とにかく打ち込め!!」

 ユモトとサワは魔法を精霊の群れの中心に打ち込んだ。そこら中で爆発音が鳴り響く。

 だが、時間が経つにつれて、確実に精霊の数は減っていった。

「ルー!! 精霊は追加できるか!?」

 アシノが言うが、ルーは汗をびっしょりとかいて苦しそうにしていた。

「が、頑張るわ……」

 精霊の群れから飛び出たムツヤが近くに居たモモに殴り掛かる。

「ムツヤ殿!!」

 無力化の盾で受け止めた為、衝撃は感じなかったが、ムツヤの形相を見てモモは怯む。

 ウリハが飛び出て斬りかかるが、ムツヤに払いのけられて鎧が割れ、服がはだけて吹き飛んでしまった。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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