王都の皆には内緒だよ! 4

文字数 1,139文字

 アシノとムツヤ、そしてサツキのパーティだけが何が起きているのか理解できた。

「サツキ!! いくら何でもそれは……」

 クサギが言うが、もはや止められない。

「いきます!!」

 その長い髪をなびかせて、サツキはムツヤに向かって飛び上がる。

 ムツヤはサツキの手に握られている何かを見切って避ける。

 先程まで居た地面には大きな穴が空いていた。

「ほう、これが見えますか」

 サツキが手にしているのは風の刃だ。魔法で手から超高速の風を吹き出している。

 この刃は翼竜の首も軽く落とせてしまう。

 更に、動きも先程と比べてより早くなっていた。足からも風を噴出させて機動力を高めているのだ。

「ちょっ、サツキ!! マジでその人死んじゃうから!!」

 サツキも殺すつもりは無かった。すんでの所で止めるつもりだったが、次の一振りにムツヤは。

 なんとこちらに猛スピードで走ってきた。

 まずい、止めきれない。そうサツキが思った時だった。手の風の刃が止まる。

「なっ!!」

 ムツヤは片手で出した防御壁で風の刃を受け止めていた。

 詠唱も無しに、しかもたった片手で止められてしまったサツキは混乱をする。

「そこまでだ、それ以上は殺し合いになっちまう」

 アシノが止めて手合わせは終わった。

「それで、ソイツの反則みたいな強さは分かったな」

「……、分かりました」

 不服そうだがサツキは返事をした。

「それで、何でこんなに強い人を隠してたんですか? アシノ様」

 不思議そうにクサギが聞くとアシノは答える。

「あぁ、この国の戦争の道具にされない為だ。ムツヤ自身も、裏の道具も」

 それを聞いてサツキ達は納得がいった。今この国と隣国は緊張状態にある。

「裏の道具って、そんなに凄いものなのですか?」

「そうだな…… 私達は一時期キエーウに何個か裏の道具を奪われたのだが」

「それ、メチャヤバじゃないっすか!?」

 驚いたクサギにアシノは頷く。

「とんでもない武器に道具。例えば世界中の亜人を滅ぼす毒を撒き散らす『災厄の壺』もあったな」

「おとぎ話だと思っていましたが、実在したんですか!?」

 話のスケールが大きすぎてサツキ達はいまいちピンと来ていなかった。

「ともかくだ、ムツヤの持つ裏の道具は使い方によっては世界を何回も滅ぼすかもしれん」

「そんな危険なものが……」

 サツキが神妙な顔をしているところにアシノは話しかける。

「で、だ…… お前達にも裏の道具を使ってもらう」

 それを聞いて数秒間沈黙が流れたが、いやいやいやとクサギが喋り始めた。

「そんな危険なもん私達が使って大丈夫なんすか!?」

「昨日の襲撃で攻撃が通じないコウモリのバケモンがいただろ? ソイツ等に何故か知らないが裏の道具は効いたんだ」

「つまり、そういう魔物を倒すためにですかぁ?」

「その通りだ」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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