天変地異 2

文字数 1,111文字

 カミクガの前には地上近くに浮かぶ雲が見えた。そこから降るのは雹だ。

「なにこれ……」

 確実に裏の道具によるものだと察したが、それが分かった所でどう対処すれば良いのかが分からない。

 一足先に行ったカミクガの後をサツキとクサギも追う。

 探知盤を取り出したクサギが見たものは、王都の城壁を丸く囲むように浮かぶ赤い点だ。

「サツキ! 裏の道具で王都が囲まれている! マジやべぇ!!」

 サツキは連絡石を使い、カミクガに状況を聞いた。

「カミクガ、そっちはどうなっている!?」

「北の方角に来ましたけど、どうすれば良いか……」

 困惑しながらカミクガが言う。

「何が起こっているんだ!」

「空のすぐ側に雲が浮かんでいて、そこから雹が降ってきてますよぉ!!」

 それを聞いてサツキが指示を出す。

「城壁の上に裏の道具の反応がある。城壁を調べてみてくれ!」

「わかりましたぁ」

 足に雷を纏わせ、壁を垂直に登るカミクガ。そこで見たものは、怪しげな人影だ。

「何やってるんですかぁ?」

 敵を気絶させる為に、地面を足でダンッと踏みつけて電気を流す。

 次の瞬間、カミクガは驚く。敵も同じ様に地面を踏みつけ、土の壁を作り出した。

 電流はその壁に弾かれ、消え去る。電流が消えたことを確認した敵は、なんと土壁を思い切り殴り付けた。

 固い土の塊や、小石混じりのそれらは散弾のように襲いかかった。

 反応が遅れたカミクガが避けるよりも早く、散弾はカミクガに命中した。体中をズタズタに切り裂かれた彼女は、そのままフラリと城壁の上に倒れる。

 敵が(とど)めを刺そうとやって来た時、風の力で一気に城壁まで登ったサツキが間に割って入った。

「カミクガ遅れたな、済まない」

 ムツヤから渡されていた回復薬をカミクガに振りかけると「パンニャコッタ!!」と叫んで傷が治る。

「サツキちゃんありがと、でも相手は相当やばいですよぉ」

「アイツ達はおそらく、国の特殊部隊だ。大方(おおかた)魔人に操られているんだろう」

 サツキは魔剣『カミカゼ』と短剣を持ち言った。カミクガも魔剣『カタトンボ』を構える。

「ッ!! カミクガ上だ!!」

 サツキに言われ空を見上げた。上空から二人目掛けてピンポイントに大量の雹が降る。

 狭い城壁でそれらを躱すのは難しい。サツキはふわりと飛び降り、カミクガは壁をまた走る。

 だが、それは罠だった様だ。壁から真横に土壁が現れ、そこに敵が飛び降りる。

 避けきれない量の散弾が飛ぶ。更に雹も襲いかかる。咄嗟(とっさ)にサツキは竜巻を起こすが、腹に重い一撃を一発、その他の弾も体中に貰ってしまった。

 カミクガは散弾の雨を全身に浴び、ドサリと地上に叩きつけられる。気を失ってしまい、自分で回復薬を飲むことも出来なかった。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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