ルマでの戦い 1
文字数 1,394文字
夜が明けて、朝になる。静かな朝だった。
警備の者に叩き起こされなかったという事は、奇襲は無かったのかと、イタヤは思う。
妹のサワはスウスウと寝息を立てて、その隣のベッドではウリハも寝ている。
小さい頃から見慣れた顔だが、こうして大人しくしていれば言い寄ってくる男の一人でも出来るのになと考えていた。
うーんと背伸びをしてから首を左右に傾けて伸ばす。
その頃、隣の部屋ではユモトが起き出していた。ムツヤパーティは人数が多かったので男女別で部屋を取っている。
と言っても、ムツヤと手を繋いで魔力の補給が必要なヨーリィはムツヤと一緒に眠っているのだが。
女子部屋でもモモが目覚めた。髪をクシで梳かして結っているとアシノも起きたようだ。
「おはようございます、アシノ殿」
「あぁ、おはようモモ」
ルーはというと、全裸で爆睡していた。そのほっぺたをアシノは引っ叩く。
「起きろ痴女」
「ふわっ!! 何よもー、人が気持ちよく寝ているってのに……」
「おはようございます、ルー殿」
それぞれが朝の支度を終えて、宿屋のロビーに集合した。今日、魔人ギュウドーがこの街を襲う。
アシノが考えていた作戦を伝えるために、皆でこの街の冒険者ギルドに向かう。
人気のない町並みとは打って変わって冒険者ギルドは人でごった返していた。
金になる緊急の依頼を見て冒険者達が集まっていたのだ。人混みをかき分けてアシノ達が受付へ向かうと、会議室へと通される。
「お待ちしておりました、アシノ様、イタヤ様」
この街の冒険者ギルドマスターと、治安維持部隊の上官が待っていた。
「お疲れさまです、皆様方」
アシノは1礼して言う、ギルドマスター達も礼を返した。
そして、早速本題へと入る。
「それで、私達なのですが、イタガで戦った時のように街の外へ布陣し、魔人の先遣隊 を叩こうと思います」
「そうですか……」
治安維持部隊の隊長は少し浮かない顔をしていた。勇者達が街に居ないのは少々不安が残る。それを見抜いたアシノが続けて言った。
「私の能力は周りに人が居ると巻き込みかねません。それと、王都で戦った…… 恐らくは試練の塔で手に入れた武器しか通じない魔物と集中して戦うためにも、その方が得策かと思います」
「かしこまりました」
アシノがそう言うのであればと、隊長は渋々納得する。その後、早速アシノ達は街を立つ。
住民以外は治安維持部隊や兵士、冒険者達が慌ただしく街を行き交っていた。馬車に揺られてそこから少し離れたひと目のない所へ着く。
「さてさてー、それじゃやる事は決まったわね? 覚悟は良いかしら?」
ルーが言うと、サワはゴクリと生唾を飲み、ウリハはゆっくりと頷いた。
「はーい、朝ごはんタイムー!!!」
「えっ!?」
思わずサワは間抜けな声が出た。
「そういや朝飯食ってなかったな」
勇者イタヤは、はっはっはと笑っている。
「そうそう、腹が減っては戦は出来ぬってね」
ムツヤパーティはテキパキと慣れた手付きでムツヤのカバンから青いシートと食材を取り出した。
「すげーな、食料まで入ってるのか!!!」
「そうよ!! ムツヤっちのカバンには大抵のものは入っているわ!!!」
サワは興味深そうにカバンを見ていたが、そうだと思い出して言う。
「私もお手伝いします!!」
「あっ、はい、ありがとうございます」
フライパンを火にかけているユモトの横へ行ってサワが手伝いを始めた。
警備の者に叩き起こされなかったという事は、奇襲は無かったのかと、イタヤは思う。
妹のサワはスウスウと寝息を立てて、その隣のベッドではウリハも寝ている。
小さい頃から見慣れた顔だが、こうして大人しくしていれば言い寄ってくる男の一人でも出来るのになと考えていた。
うーんと背伸びをしてから首を左右に傾けて伸ばす。
その頃、隣の部屋ではユモトが起き出していた。ムツヤパーティは人数が多かったので男女別で部屋を取っている。
と言っても、ムツヤと手を繋いで魔力の補給が必要なヨーリィはムツヤと一緒に眠っているのだが。
女子部屋でもモモが目覚めた。髪をクシで梳かして結っているとアシノも起きたようだ。
「おはようございます、アシノ殿」
「あぁ、おはようモモ」
ルーはというと、全裸で爆睡していた。そのほっぺたをアシノは引っ叩く。
「起きろ痴女」
「ふわっ!! 何よもー、人が気持ちよく寝ているってのに……」
「おはようございます、ルー殿」
それぞれが朝の支度を終えて、宿屋のロビーに集合した。今日、魔人ギュウドーがこの街を襲う。
アシノが考えていた作戦を伝えるために、皆でこの街の冒険者ギルドに向かう。
人気のない町並みとは打って変わって冒険者ギルドは人でごった返していた。
金になる緊急の依頼を見て冒険者達が集まっていたのだ。人混みをかき分けてアシノ達が受付へ向かうと、会議室へと通される。
「お待ちしておりました、アシノ様、イタヤ様」
この街の冒険者ギルドマスターと、治安維持部隊の上官が待っていた。
「お疲れさまです、皆様方」
アシノは1礼して言う、ギルドマスター達も礼を返した。
そして、早速本題へと入る。
「それで、私達なのですが、イタガで戦った時のように街の外へ布陣し、魔人の
「そうですか……」
治安維持部隊の隊長は少し浮かない顔をしていた。勇者達が街に居ないのは少々不安が残る。それを見抜いたアシノが続けて言った。
「私の能力は周りに人が居ると巻き込みかねません。それと、王都で戦った…… 恐らくは試練の塔で手に入れた武器しか通じない魔物と集中して戦うためにも、その方が得策かと思います」
「かしこまりました」
アシノがそう言うのであればと、隊長は渋々納得する。その後、早速アシノ達は街を立つ。
住民以外は治安維持部隊や兵士、冒険者達が慌ただしく街を行き交っていた。馬車に揺られてそこから少し離れたひと目のない所へ着く。
「さてさてー、それじゃやる事は決まったわね? 覚悟は良いかしら?」
ルーが言うと、サワはゴクリと生唾を飲み、ウリハはゆっくりと頷いた。
「はーい、朝ごはんタイムー!!!」
「えっ!?」
思わずサワは間抜けな声が出た。
「そういや朝飯食ってなかったな」
勇者イタヤは、はっはっはと笑っている。
「そうそう、腹が減っては戦は出来ぬってね」
ムツヤパーティはテキパキと慣れた手付きでムツヤのカバンから青いシートと食材を取り出した。
「すげーな、食料まで入ってるのか!!!」
「そうよ!! ムツヤっちのカバンには大抵のものは入っているわ!!!」
サワは興味深そうにカバンを見ていたが、そうだと思い出して言う。
「私もお手伝いします!!」
「あっ、はい、ありがとうございます」
フライパンを火にかけているユモトの横へ行ってサワが手伝いを始めた。