VSラメル 2

文字数 784文字

「ムツヤ!! カバンは取り戻したぞ!!」

 アシノが言うとムツヤと共にラメルも振り返った。

「それはー、渡さないよー」

 ラメルが急降下してアシノに近付く。ムツヤはそれよりも速く走り、振り下ろされた拳を受け止めた。

「このっ!!」

 ムツヤはそのまま拳を握り、ハンマー投げのようにラメルを振り回して城の壁に激突させる。壁は崩れ、ラメルは生き埋めになる。死んではいないだろうが……。

「ムツヤ!! カバンは開くか!?」

 ムツヤは投げられたカバンを掴むと、渾身の馬鹿力で開けようとしたが。

「!! ダメでず! 開きません!!」

「クソっ、融通の効かない邪神様だな!!」

「どうしますか、アシノ殿」

「ムツヤ! 魔人を倒せそうか!? すぐに、正直に答えろ!!」

 アシノが言うとムツヤはすぐ返事を返した。

「わがりまぜん!!」

「よし、分かった。こういう時はな……」

 まさかとモモ達は思う。

「逃げるんだよォ!」

 やっぱりかと思い、急いで全員城と反対方向へ走っていった。

 イタヤはこちらに向かって走ってくるアシノ達を見て驚く。

「アシノさん!? どうしたんだ?」

「カバンは手に入れました! しかしムツヤにも開けられません。一時退却します」

 アシノに言われるが、イタヤは首を横に振る。

「それは……、それは出来ねぇ!! ここで勇者が魔人から逃げちまったら、アイツは何をするか分からない!!」

「魔人の狙いはカバンです。我々を追いかけてくるでしょう。カバンさえ開ければ優位に戦うことが出来ます」

「アシノ様の言う通りだよ!! ここで戦って全滅でもしちまったらそれこそ誰が戦うんだい!?」

 イタヤは悔しそうな顔をしてから、グッとこらえて撤退をした。






 城の瓦礫の中でラメルはクククと笑い、それから大きな声を出して笑った。

「やっぱり人間ってバカだなー。これでもうカバンは私のものだよー?」




(イラスト:Kimiori先生)
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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