VSラメル 5
文字数 1,100文字
サツキから遠距離用の連絡石で通信が入り、アシノは赤い石を壁にぶつけた。
「よう、どうだった?」
「それが……」
浮かない顔をしてサツキは先程起きたことを話す。
「王は王都を守ることに必死か……、それでトチノハも、この赤い玉を持ってやがったのか」
「はい……」
サツキは珍しく、暗い顔をし続けている。
「わかった。私達はなるべく人目につかない場所まで逃げ続けようと思う。相手はどこまでも追ってくるだろうしな」
「わかりました、アシノ先輩!! どうかご武運を……」
話が終わり、出発の時間が来た。今の所追ってきては居ないようだが、時間の問題だろう。
人目につかず、街や人を巻き込むことのない平原を目指して一行は馬車を走らせる。
やがて日が暮れて、野営をした。
空は澄み渡り、満天の星空が見える。
「ロマンチックな星空の下、焚き火を囲んで美女と飯。いやー、最高だね」
イタヤは現状への皮肉交じりに言って軽く笑った。
「馬鹿言ってんじゃないよ」
「いいえ、イタヤさんの言う通りよ!! 気を張ってばかりじゃ疲れるわ!」
ルーは蒸留酒を片手にくるくる回ってから空を見上げた。
その瞬間流れ星がスッと空に線を描く。
「ほら、流れ星!! 星に願いを!!」
ルーが指さして言うと、ムツヤはハッとする。
「ハーレムが作れますように!! ハーレムが作れますように!! ハーレムが作れますように!!」
ムツヤは両手を合わせて祈った。アシノはムツヤを引っ叩く。この展開、前も見たなぁとモモは思う。
「ねぇ、みんなの願いって何かしら?」
突然ルーに聞かれ、皆はうーんと考えた。
「私は、ムツヤ殿の幸せを祈っています」
「モモさん……」
少しいい感じになった2人に酔っ払っているルーは爆弾発言をする。
「ムツヤっちと結婚じゃなくて?」
モモは飲んでいた酒を吹き出した。
「な、なにをいってるんでしゅかルーどのぉ!?」
「そうですよルーさん。亜人の人と人間は結婚しないんですよ?」
ムツヤに言われ、モモはスゥっと真顔になる。全員がムツヤをアホだと思った瞬間だった。
「ぼ、僕は世界中色んな場所を見てみたいです!!」
気まずくなりかけたのでユモトが言う。
「おっ、良いねぇ。冒険者はそうでなくっちゃな」
ハッハッハとイタヤは笑う。
「イタヤさん達は?」
ルーが聞くとそうだなぁとイタヤは考える。
「今の所は、魔人を倒して世界平和って所かな?」
勇者らしい答えだった。
本当に、本当に何でも叶うなら、故郷がそのまま戻ってくる事だったが。
死んだ人間が蘇ることも、失った場所が返ることも無い。無理な願いだ。
それならば、今生きている人、今ある場所を守りたい。
そう、考えていた。
「よう、どうだった?」
「それが……」
浮かない顔をしてサツキは先程起きたことを話す。
「王は王都を守ることに必死か……、それでトチノハも、この赤い玉を持ってやがったのか」
「はい……」
サツキは珍しく、暗い顔をし続けている。
「わかった。私達はなるべく人目につかない場所まで逃げ続けようと思う。相手はどこまでも追ってくるだろうしな」
「わかりました、アシノ先輩!! どうかご武運を……」
話が終わり、出発の時間が来た。今の所追ってきては居ないようだが、時間の問題だろう。
人目につかず、街や人を巻き込むことのない平原を目指して一行は馬車を走らせる。
やがて日が暮れて、野営をした。
空は澄み渡り、満天の星空が見える。
「ロマンチックな星空の下、焚き火を囲んで美女と飯。いやー、最高だね」
イタヤは現状への皮肉交じりに言って軽く笑った。
「馬鹿言ってんじゃないよ」
「いいえ、イタヤさんの言う通りよ!! 気を張ってばかりじゃ疲れるわ!」
ルーは蒸留酒を片手にくるくる回ってから空を見上げた。
その瞬間流れ星がスッと空に線を描く。
「ほら、流れ星!! 星に願いを!!」
ルーが指さして言うと、ムツヤはハッとする。
「ハーレムが作れますように!! ハーレムが作れますように!! ハーレムが作れますように!!」
ムツヤは両手を合わせて祈った。アシノはムツヤを引っ叩く。この展開、前も見たなぁとモモは思う。
「ねぇ、みんなの願いって何かしら?」
突然ルーに聞かれ、皆はうーんと考えた。
「私は、ムツヤ殿の幸せを祈っています」
「モモさん……」
少しいい感じになった2人に酔っ払っているルーは爆弾発言をする。
「ムツヤっちと結婚じゃなくて?」
モモは飲んでいた酒を吹き出した。
「な、なにをいってるんでしゅかルーどのぉ!?」
「そうですよルーさん。亜人の人と人間は結婚しないんですよ?」
ムツヤに言われ、モモはスゥっと真顔になる。全員がムツヤをアホだと思った瞬間だった。
「ぼ、僕は世界中色んな場所を見てみたいです!!」
気まずくなりかけたのでユモトが言う。
「おっ、良いねぇ。冒険者はそうでなくっちゃな」
ハッハッハとイタヤは笑う。
「イタヤさん達は?」
ルーが聞くとそうだなぁとイタヤは考える。
「今の所は、魔人を倒して世界平和って所かな?」
勇者らしい答えだった。
本当に、本当に何でも叶うなら、故郷がそのまま戻ってくる事だったが。
死んだ人間が蘇ることも、失った場所が返ることも無い。無理な願いだ。
それならば、今生きている人、今ある場所を守りたい。
そう、考えていた。