異変の裏ダンジョン 1

文字数 849文字

 一行はムツヤの案内で十階層までたどり着いた。レンガ造りの暗くジメジメした部屋が現れる。

 明かりは所々にある松明だけだ。

「暗いな。ムツヤ、照明弾を使っても大丈夫か?」

「はい、大丈夫でず」

「そうか、ユモト頼む」

 ユモトは「はい」と返事をして照明弾を打ち上げる。

 まばゆい光が辺りを照らし出した。周りに魔物の気配は感じられない。

「っつ!! アイツ等だ!! 皆さん、気を付けてくだざい!!」

「どういう事だムツヤ!?」

 返事が来るよりも早く、何かがメキメキと動き出し、地面に石が次々に転がる。

 壁から三メートルはある人形の岩が現れ、ドアの両脇にあるドラゴン型の石像も羽ばたきだした。

「ゴーレムとガーゴイルか!!」

 アシノが言うと、皆も武器を構え、それらを見つめる。

 ムツヤはカバンから大きなハンマーを取り出して、まずはゴーレムの元へと向かう。

 飛び上がり、ゴーレムの頭にハンマーを叩き下ろす。たちまち頭は形を変え、粉々に崩れ去った。

 その間、ガーゴイルがアシノ達に向かって火の玉を吐く。

 ユモトとルーが防御壁を二重に張り、起動を逸らすことは出来たが、本体も突っ込んできた。

「お前ら!! 伏せろ!」

 アシノの号令に皆は従った。防御壁はいとも簡単に割られ、頭上をガーゴイルが飛んだ。

 ムツヤが走ってこちらへやって来て、またガーゴイルをハンマーで壊す。

 数匹居るガーゴイル達をハンマーで砕き、静寂が訪れる。

「おかしい……」

 戦い終わったムツヤがポツリと呟いた。

「何がだ?」

 アシノが聞くと渋い顔をしてムツヤは答える。

「この魔物達はもっと上の階で出てくるはずなんでず!!」

 そう、ムツヤは三十階ぐらいまでは、特殊な魔物以外は素手で倒すことが出来た。

「裏ダンジョンに何か異変が起きているのか? いや、元々異常な場所ではあるが」

 考えていても仕方がないと、次の扉を開ける。今度は沼地が広がっている。

「気を付けてくだざい、この沼に入ると体が溶けますんで」

 サラリと恐い事を言うムツヤ。仲間達は大きく沼を避けて歩き始めた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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