飲みに行こう 5
文字数 1,830文字
仲間たちの笑顔を見たモモは酒もたまには良いものだなと思い飲んでいた…… はずだった。
「ムツヤさーん! モモさーん! ヨーリィちゃーん! 飲んでますかー?」
ユモトは普段の大人しさはどこへやら、ワインのボトルを片手に持って叫んでいる。そしてムツヤは何故か号泣している。
「うええええユモトさん、俺は本当にハーレムを作るごどができるんですが」
「大丈夫れす、きっとムーツヤさんになら出来ますよぉ」
「ユモトさん」
「ムツヤさん」
そう言ってムツヤはユモトに抱きついた。ユモトはよしよしと抱きしめたまま頭を撫でる。どうしてこうなったと、モモは頭を抱えた。
「ムツヤ殿は泣き上戸で、ユモトは陽気になるんだな……」
「モモさん、俺は立派なハーレムを作ってみせますよ」
ギルドの新参者なのにこんなに騒いで周りに目をつけられないか心配だったが、周りも大概騒がしかったので大丈夫そうだった。
「ムツヤ殿、人前でハーレムと騒いだらダメだと言ったではないですか」
「ごめんなさいモモさん捨てないでぐださい」
「うっ……」
酔っ払っているとはいえ、子犬のように覗き込んでくるムツヤを見てモモは照れて顔をそむける。
「わ、私はムツヤ殿の従者です。ムツヤ殿が私を必要としなくなるまでお側にいますよ」
「それじゃあ一生ずーっと一緒に居てくれるって事ですね、やったー!!!」
モモは飲んでいたウィスキーを口から吹きそうになった。酔ってもあまり顔に出ないモモだったがそれとは別で顔が火照ってしまう。
「ムツヤ殿酔い過ぎです! それにそういう恥ずかしいことはその」
「やっぱりモモさんは俺と一緒に居たくないんだ!!うわああああ」
「大丈夫れすムツヤさん、僕はずっとムツヤさんと一緒れすお!!」
「ユモトさん」
「ムツヤさん」
2人は見つめ合ってまたムツヤがユモトに抱きついた、これ以上は何かがまずいとモモが止めに入ろうとしたその瞬間。
火のような赤髪の女がドンとジョッキをカウンターに叩きつける、するとムツヤ達だけではなく冒険者ギルドの食堂に居る他の客にも一瞬の静寂が訪れる。
「ったく、イチャついて馬鹿騒ぎしてんじゃないよ」
女はそう言ってムツヤとユモトを睨みつける。が、2人の勢いは止まらなかった。
(イラスト:らいどけえ先生)
「い、イチャつくってぼ、ぼぼ、僕は男です!」
「うるさくしてずみまぜんでじだ!」
2人のその態度は女を更に激昂させる。ガタッと椅子から立ち上がり声を上げた。
「とにかくうるさいって言ってんだ!! 静かに酒も飲めないのお前らは!!」
「申し訳ありません、ムツヤ殿、ユモト、流石に騒ぎすぎです。もう帰りましょうか」
ムツヤとユモトの代わりにモモが謝罪をするが相手の勢いは止まらない。
「そんで、そこのお前。ハーレムがどうとか言ってたけど冒険者舐めてんの?」
「え、入りたいんでずか?」
「誰がっ!!」
ムツヤの言葉に対して赤髪の女が怒鳴ると、ギルド中の全員がこちらの様子を伺っており、視線を独り占めしていた。
「ムツヤ殿!! も、申し訳ない! 帰りますのでどうかお許しを……」
「そうかそうか、ハーレムをねぇ…… それじゃあ私と喧嘩して勝ったらハーレムだろうがなんだろうが入ってやるよ。負けたら二度とこのギルドに来るんじゃないよ?」
まずい事になったとモモは思った。相手の力は未知数だが、酔っ払ったムツヤは何をしでかすか分からない。
あの桁違いな強さで圧倒してしまったらそれはそれで問題になるし、負けても冒険者ギルドに来られなくなってしまうかもしれないのだ。
それ以前に問題を起こすこと自体が一番してはいけない事だ。
「騒がしくしたこと、無礼なことを言ってしまった事は謝りますのでどうか見逃していただけませんか?」
モモがそう言って頭を下げるも。
「やったー!! 夢に一歩近づけまずよー!!」
「やりましたね、ムツヤさん」
2人は火に油を注ぎ続ける。しかしそこでムツヤはハッとして言う。
「いや、でも喧嘩はダメだってじいちゃんが言っでましだ、だからやっぱり駄目です」
「安心しな、闘技場で素手で戦ってやるよ、新米のあんたが私を傷付けるなんて出来ないし、あんたの事も半殺しで勘弁してやるよ」
女はニヤリと笑ってそう言った。
「でも喧嘩はダメですよ!」
「じゃあ言い方を変えよう、試合だ試合。それなら良いだろう?」
「それならオッケーでず!!」
アホのムツヤはあっさりと親指を立てて言った。その瞬間今度はユモトがあっと驚いて話し始める。
「ムツヤさーん! モモさーん! ヨーリィちゃーん! 飲んでますかー?」
ユモトは普段の大人しさはどこへやら、ワインのボトルを片手に持って叫んでいる。そしてムツヤは何故か号泣している。
「うええええユモトさん、俺は本当にハーレムを作るごどができるんですが」
「大丈夫れす、きっとムーツヤさんになら出来ますよぉ」
「ユモトさん」
「ムツヤさん」
そう言ってムツヤはユモトに抱きついた。ユモトはよしよしと抱きしめたまま頭を撫でる。どうしてこうなったと、モモは頭を抱えた。
「ムツヤ殿は泣き上戸で、ユモトは陽気になるんだな……」
「モモさん、俺は立派なハーレムを作ってみせますよ」
ギルドの新参者なのにこんなに騒いで周りに目をつけられないか心配だったが、周りも大概騒がしかったので大丈夫そうだった。
「ムツヤ殿、人前でハーレムと騒いだらダメだと言ったではないですか」
「ごめんなさいモモさん捨てないでぐださい」
「うっ……」
酔っ払っているとはいえ、子犬のように覗き込んでくるムツヤを見てモモは照れて顔をそむける。
「わ、私はムツヤ殿の従者です。ムツヤ殿が私を必要としなくなるまでお側にいますよ」
「それじゃあ一生ずーっと一緒に居てくれるって事ですね、やったー!!!」
モモは飲んでいたウィスキーを口から吹きそうになった。酔ってもあまり顔に出ないモモだったがそれとは別で顔が火照ってしまう。
「ムツヤ殿酔い過ぎです! それにそういう恥ずかしいことはその」
「やっぱりモモさんは俺と一緒に居たくないんだ!!うわああああ」
「大丈夫れすムツヤさん、僕はずっとムツヤさんと一緒れすお!!」
「ユモトさん」
「ムツヤさん」
2人は見つめ合ってまたムツヤがユモトに抱きついた、これ以上は何かがまずいとモモが止めに入ろうとしたその瞬間。
火のような赤髪の女がドンとジョッキをカウンターに叩きつける、するとムツヤ達だけではなく冒険者ギルドの食堂に居る他の客にも一瞬の静寂が訪れる。
「ったく、イチャついて馬鹿騒ぎしてんじゃないよ」
女はそう言ってムツヤとユモトを睨みつける。が、2人の勢いは止まらなかった。
(イラスト:らいどけえ先生)
「い、イチャつくってぼ、ぼぼ、僕は男です!」
「うるさくしてずみまぜんでじだ!」
2人のその態度は女を更に激昂させる。ガタッと椅子から立ち上がり声を上げた。
「とにかくうるさいって言ってんだ!! 静かに酒も飲めないのお前らは!!」
「申し訳ありません、ムツヤ殿、ユモト、流石に騒ぎすぎです。もう帰りましょうか」
ムツヤとユモトの代わりにモモが謝罪をするが相手の勢いは止まらない。
「そんで、そこのお前。ハーレムがどうとか言ってたけど冒険者舐めてんの?」
「え、入りたいんでずか?」
「誰がっ!!」
ムツヤの言葉に対して赤髪の女が怒鳴ると、ギルド中の全員がこちらの様子を伺っており、視線を独り占めしていた。
「ムツヤ殿!! も、申し訳ない! 帰りますのでどうかお許しを……」
「そうかそうか、ハーレムをねぇ…… それじゃあ私と喧嘩して勝ったらハーレムだろうがなんだろうが入ってやるよ。負けたら二度とこのギルドに来るんじゃないよ?」
まずい事になったとモモは思った。相手の力は未知数だが、酔っ払ったムツヤは何をしでかすか分からない。
あの桁違いな強さで圧倒してしまったらそれはそれで問題になるし、負けても冒険者ギルドに来られなくなってしまうかもしれないのだ。
それ以前に問題を起こすこと自体が一番してはいけない事だ。
「騒がしくしたこと、無礼なことを言ってしまった事は謝りますのでどうか見逃していただけませんか?」
モモがそう言って頭を下げるも。
「やったー!! 夢に一歩近づけまずよー!!」
「やりましたね、ムツヤさん」
2人は火に油を注ぎ続ける。しかしそこでムツヤはハッとして言う。
「いや、でも喧嘩はダメだってじいちゃんが言っでましだ、だからやっぱり駄目です」
「安心しな、闘技場で素手で戦ってやるよ、新米のあんたが私を傷付けるなんて出来ないし、あんたの事も半殺しで勘弁してやるよ」
女はニヤリと笑ってそう言った。
「でも喧嘩はダメですよ!」
「じゃあ言い方を変えよう、試合だ試合。それなら良いだろう?」
「それならオッケーでず!!」
アホのムツヤはあっさりと親指を立てて言った。その瞬間今度はユモトがあっと驚いて話し始める。