囚われの田舎者 2
文字数 2,023文字
「なっ、なにすんだ!?」
そんな言葉とは裏腹に顔が赤くなり、胸の鼓動はドクドクと高く脈打っている。
「だってー、ダーリンが私にイジワル言うからー」
「だって、世界をメチャクチャにするなんて間違ってるか……ら……」
またラメルが近付いてきて、キスをされる。
「だ、だからなにすんだ!!」
ラメルはまたクスクスと笑い、くるりと一回転まわった。
「ダーリンが変な事言うからだよー?」
反省の色は見られないようだ。
そして、更に言う。
「私と、ダーリンのカバンと、ダーリンの力があれば、この世界全部をメチャクチャにできると思うの!!」
「なんでお前はそんな事がしたいんだ!?」
「なんでって……、したいから?」
ムツヤはムスッと怒ってしまった。それを不思議そうにラメルは見る。
「私からしたら、ダーリンの方が不思議だよ? そんな力があれば、ギチットなんて国1人で支配出来るでしょ? なんでしないの?」
「キエーウの奴らも亜人の人を支配しようとか、絶滅させようとか言ってたけど、それで悲しむ人がたくさん居るからだ!!」
「ふーん」
少しも納得して無さそうに、ラメルはそっぽを向いて言った。
「ダーリンさ、このカバン私が開けようとしても開かないんだ。開けてよ!!」
目の前にカバンを差し出されてムツヤは頭に上った血の気が引いた。
「それはダメだ!! 返せ!!」
「それじゃ手借りるねー」
ムツヤの手が柔らかい感触で包まれる。だがそれは恐ろしいほどの力を持っており、手を開かせ、カバンのフチを握らせた。
まずいとムツヤは思ったが、意外にもカバンは開かなかった。
「あー、やっぱダメかー……」
がっくりとラメルは肩を落とす。
「ねぇダーリン? カバンを開けないとどうなっちゃうか分かる?」
「俺には何をしても良い!! カバンだけは絶対に開けないぞ!!」
「ん? 今何をしても良いって言ったよね?」
ニヤリと影のある笑顔を見せてラメルは言った。ムツヤは何をされるのか内心怖い。
「言っておくけど拷問なんかしないから安心してよ」
敵の言葉で信じられるものではないが、一瞬ムツヤはホッとした。
「その代わり、気持ちいい事、たくさんしてあげるから! 私の虜にしてあげる!!」
小悪魔みたいに、いや、小悪魔ではなく魔人なのだが、ウィンクをしてラメルは言った。
「キスよりも、もっと気持ちいい事、しよ? だから仲間になってね、ダーリン?」
城まであと1日で着くかと言った距離になり、モモは馬車を更に加速させたが、アシノに止められてしまう。
「モモ、ダメだ。馬が潰れちまう。それに夜の行軍は危険だ」
「アシノ殿、ですが……」
「私達がフラフラの状態でムツヤの下にたどり着いたら、二次災害になっちまう。ムツヤを助けたいなら、今は休め」
「……、はい」
イタヤ達の馬車に連絡をとって、今日は道中の街で泊まることにした。
勇者達の来訪とあって、野次馬が現れたが、街の権力者が窘 める。
そして、宿屋で疲れを癒そうとした、その時だった。
空から街に青い火の玉が降り注ぐ。一瞬で住民たちはパニックになった。
「アシノ殿!! 空から火の玉が!!」
「向こうからおいでなすったか!!」
外に飛び出ると空には人が浮かんでいた。紛れもない、魔人だ。
「勇者のみなさーん。ダーリンは、私のダーリンになりましたー!!! 無駄な抵抗はやめて出てきてくださ―い!!!」
魔力で音を増幅させているのだろう。ふざけた口調がビリビリと全身に響く。
「ダーリンとは誰のことだよ」
アシノが叫ぶと、魔人からの返事が来る。
「ダーリンはダーリンだよ?」
「お前、頭悪いのか? ムツヤのことか?」
「そうだよー?」
それを聞いて全員に緊張が走った。ムツヤが魔人の仲間にと。
だが、アシノ達はムツヤがそんな事をするはずが無いと固く信じていた。
「ふざけるな!! ムツヤ殿はそんな方じゃない!!」
「キスしたらすぐ仲間になってくれたよ?」
一瞬、皆がポカーンとしたが、ここで、それぞれどう反応したか見てみる。
ユモトはキスと聞いて顔を赤くしていた。ムツヤさんがキスで仲間に……、いや、まさかそんな……
アシノは思った、ムツヤの事は信じているが、ハニートラップを前にされたら……、いや、まさか……
ルーは修羅場キター!!! っと目を輝かせていた。
ヨ―リィは何を考えているか分からない!!
最後にモモは……
「嘘だッ!!!!」
「嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」
何らかの症候群を発症したかのように嘘だと言い続けていた。
「嘘じゃないよー?」
不思議そうな顔をして魔人は言う。その隙きを逃さずにイタヤが光の刃を魔人に向けて飛ばした。
片手で軽々しくそれを弾かれ、流石に冷や汗が流れ落ちる。
「なぁ、可愛いお嬢さん。俺にもキスの1つでもしてくれないか?」
焦りを隠すように軽口を叩いてニヤリと笑う。
「おじさん、くさそうだからヤダ」
おじさん
くさそう
「グボアッ!!!」
イタヤは心に9999のダメージを負った。
そんな言葉とは裏腹に顔が赤くなり、胸の鼓動はドクドクと高く脈打っている。
「だってー、ダーリンが私にイジワル言うからー」
「だって、世界をメチャクチャにするなんて間違ってるか……ら……」
またラメルが近付いてきて、キスをされる。
「だ、だからなにすんだ!!」
ラメルはまたクスクスと笑い、くるりと一回転まわった。
「ダーリンが変な事言うからだよー?」
反省の色は見られないようだ。
そして、更に言う。
「私と、ダーリンのカバンと、ダーリンの力があれば、この世界全部をメチャクチャにできると思うの!!」
「なんでお前はそんな事がしたいんだ!?」
「なんでって……、したいから?」
ムツヤはムスッと怒ってしまった。それを不思議そうにラメルは見る。
「私からしたら、ダーリンの方が不思議だよ? そんな力があれば、ギチットなんて国1人で支配出来るでしょ? なんでしないの?」
「キエーウの奴らも亜人の人を支配しようとか、絶滅させようとか言ってたけど、それで悲しむ人がたくさん居るからだ!!」
「ふーん」
少しも納得して無さそうに、ラメルはそっぽを向いて言った。
「ダーリンさ、このカバン私が開けようとしても開かないんだ。開けてよ!!」
目の前にカバンを差し出されてムツヤは頭に上った血の気が引いた。
「それはダメだ!! 返せ!!」
「それじゃ手借りるねー」
ムツヤの手が柔らかい感触で包まれる。だがそれは恐ろしいほどの力を持っており、手を開かせ、カバンのフチを握らせた。
まずいとムツヤは思ったが、意外にもカバンは開かなかった。
「あー、やっぱダメかー……」
がっくりとラメルは肩を落とす。
「ねぇダーリン? カバンを開けないとどうなっちゃうか分かる?」
「俺には何をしても良い!! カバンだけは絶対に開けないぞ!!」
「ん? 今何をしても良いって言ったよね?」
ニヤリと影のある笑顔を見せてラメルは言った。ムツヤは何をされるのか内心怖い。
「言っておくけど拷問なんかしないから安心してよ」
敵の言葉で信じられるものではないが、一瞬ムツヤはホッとした。
「その代わり、気持ちいい事、たくさんしてあげるから! 私の虜にしてあげる!!」
小悪魔みたいに、いや、小悪魔ではなく魔人なのだが、ウィンクをしてラメルは言った。
「キスよりも、もっと気持ちいい事、しよ? だから仲間になってね、ダーリン?」
城まであと1日で着くかと言った距離になり、モモは馬車を更に加速させたが、アシノに止められてしまう。
「モモ、ダメだ。馬が潰れちまう。それに夜の行軍は危険だ」
「アシノ殿、ですが……」
「私達がフラフラの状態でムツヤの下にたどり着いたら、二次災害になっちまう。ムツヤを助けたいなら、今は休め」
「……、はい」
イタヤ達の馬車に連絡をとって、今日は道中の街で泊まることにした。
勇者達の来訪とあって、野次馬が現れたが、街の権力者が
そして、宿屋で疲れを癒そうとした、その時だった。
空から街に青い火の玉が降り注ぐ。一瞬で住民たちはパニックになった。
「アシノ殿!! 空から火の玉が!!」
「向こうからおいでなすったか!!」
外に飛び出ると空には人が浮かんでいた。紛れもない、魔人だ。
「勇者のみなさーん。ダーリンは、私のダーリンになりましたー!!! 無駄な抵抗はやめて出てきてくださ―い!!!」
魔力で音を増幅させているのだろう。ふざけた口調がビリビリと全身に響く。
「ダーリンとは誰のことだよ」
アシノが叫ぶと、魔人からの返事が来る。
「ダーリンはダーリンだよ?」
「お前、頭悪いのか? ムツヤのことか?」
「そうだよー?」
それを聞いて全員に緊張が走った。ムツヤが魔人の仲間にと。
だが、アシノ達はムツヤがそんな事をするはずが無いと固く信じていた。
「ふざけるな!! ムツヤ殿はそんな方じゃない!!」
「キスしたらすぐ仲間になってくれたよ?」
一瞬、皆がポカーンとしたが、ここで、それぞれどう反応したか見てみる。
ユモトはキスと聞いて顔を赤くしていた。ムツヤさんがキスで仲間に……、いや、まさかそんな……
アシノは思った、ムツヤの事は信じているが、ハニートラップを前にされたら……、いや、まさか……
ルーは修羅場キター!!! っと目を輝かせていた。
ヨ―リィは何を考えているか分からない!!
最後にモモは……
「嘘だッ!!!!」
「嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」
何らかの症候群を発症したかのように嘘だと言い続けていた。
「嘘じゃないよー?」
不思議そうな顔をして魔人は言う。その隙きを逃さずにイタヤが光の刃を魔人に向けて飛ばした。
片手で軽々しくそれを弾かれ、流石に冷や汗が流れ落ちる。
「なぁ、可愛いお嬢さん。俺にもキスの1つでもしてくれないか?」
焦りを隠すように軽口を叩いてニヤリと笑う。
「おじさん、くさそうだからヤダ」
おじさん
くさそう
「グボアッ!!!」
イタヤは心に9999のダメージを負った。