ジョンさん 5

文字数 948文字

 アシノは倒れるジョンの元まで歩いて言う。

「魔人の残した武具を許可なく所持することは禁止されています。が、まだ詳しい罰則は決まっておりません。これに懲りたら二度とこの様な事の無いようにしてくださいね」

「すみませんでしたー!!」

 飛び起きてジョンはどこかに走り去っていった。

「捕まえなくて良かったの?」

 ルーに聞かれるが、アシノは「あぁ」と言って答える。

「捕まえた所で大した情報は得られないだろうしな」

「ですが、あのジョンとかいう男。アシノ殿に恨みをもっているようでしたが……」

 心配そうに言うモモに、アシノはあっけらかんとして返す。

「まぁ大丈夫だろ、それに恨まれるのは慣れてるよ」

 夜も遅いので、ムツヤ達は街へ帰って寝ることにした。



 月夜に照らされて、空を飛ぶ人影がある。

 青みがかった銀髪と、獣人の耳。背中からは羽根が生えていた。

 魔人ラメルの力を受け継いだ少女「ミシロ」だ。

 やっと出来た心から慕える人を、この世界はまた奪っていった。

 この世界は本当に理不尽で、大嫌いだ。大切なものを何もかも奪っていく。

 ミシロは疲れを感じ、適当な山で休憩を取ることにした。

 腹も空いているが、食べ物は無かった。

 地面に降り立ったミシロは、ちょっとした洞窟の中で眠ることにした。



 朝が来た。自分の涙で目が覚める。いつの間にか泣いていたのだ。

「お腹すいたな……」

 朝日に照らされている外を見て、何か食べられそうな物を探した。

 と言っても、ミシロには何が食べられて、何が食べられないのか分からない。

 本来であれば、親が教えてくれる事だが、あの城の城主に家族は奪われてしまった。

 ミシロは獣の気配を察知する。何だか感覚が研ぎ澄まされ、色々なことがわかるようになっていた。

 遠くに見えたのはうさぎだ。ミシロが低空飛行で近付くと、急いで逃げ出したが、速さの差は圧倒的で、簡単に捕まってしまう。

 モフモフとした感触と、温かめの体温が心地よいが、ミシロは覚悟を決める。

「ごめんね」

 そう言ってうさぎの首をパキッと折った。洞窟まで戻ると、うさぎの口からは血が滴る。

 ミシロはどうやって捌けば良いのか、一本だけ持っていたナイフを手に持ち考えていた。

 だが、獣人の本能なのか、時間は掛かったが、毛皮を剥ぎ、内蔵を取り出し終える。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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