ジョンさん 4

文字数 958文字

 ヨーリィの短くて的確な言葉にジョンは怒り狂う。

「ふざけるな!! いかに勇者とは言え、魔人の残した武具を相手に勝てるわけ無いはずだ!!」

 ジョンはシルクハットをムツヤ達に向けて叫ぶ。

「くらえ!! ポッポポッポ!! ハトポッポ!!!」

 その瞬間、シルクハットから無数の鳥達が羽ばたいて出てくる。

 ユモトとムツヤが飛び出て防御壁を張り、目の前からの突撃を阻止した。

「馬鹿め!!」

 ジョンはそう言うと、鳥の群れを上空に飛ばし、上から急降下させる。

 だが、ムツヤは火柱を打ち上げ、それらを丸焼きにした。

「な、何だお前!! 無詠唱でその力は!?」

 たじろぐジョンだったが、構わずもう1回鳥を呼び出す。

「まぁいい、何回耐えられるかな?」

 ルーが精霊を大量召喚し、ムツヤが派手に暴れまわる。そんな中、こっそりと動いていたのはヨーリィだった。

 ジョンの意識が、完全にムツヤ達に向いているのを見て、音もなく一瞬で距離を詰める。

 そして、先を丸めた木の杭をジョンの手に当てた。

「あだー!!!」

 そんな声を上げてシルクハットを落とすジョン。それを奪い去り、ヨーリィはムツヤ達の元へ帰る。

「ナイスヨーリィちゃん!!」

「で、奪ったは良いが、どうやって使うんだこれ」

 依然として鳥達はムツヤ目掛けて突撃している。まぁ全て返り討ちで丸焼きにされているのだが……。

 ルーはシルクハットを被ってみる。すると、鳥達の動きが止まった。

「あら、主が変わったって所かしら?」

 ニコニコして言うと、ジョンの顔色がサーッと悪くなる。

「あ、あひぃ!!」

「行け、鳥達よ!!」

 ルーの掛け声と共に鳥達はジョンに突っ込んでいく。

「なるほどね、精霊操るのと似たような感じだわ」

 初見の裏の道具をルーは使いこなす。ジョンは命の逃走をしていた。

「ほら、逃げないと大変よー?」

「ひぎゃー!!!」

 ジョンの後ろを付かず離れず鳥達が追いかけ、お尻をつつき始める。ルーを筆頭に仲間達はそれを見てゲラゲラ笑っていた。

「やめて、やめて下さい!! お尻の穴が増えてしまいますぅー!!」

「汚ったないわねぇ!!」

「おい、ルー。そのへんにしておけ」

 見てられなくなったアシノが言うと、鳥達は追跡をやめてこちらに飛び、シルクハットの中に戻っていく。

 ジョンは仰向けになりハァハァと荒い息をしている。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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