反乱の勇者 3

文字数 1,047文字

「父上!! 何をやっているのです!!」

 我に返ったモモは叫んだ。目の前の光景を認めたくない。夢であって欲しいとさえ思う。

「我が同胞の為だ」

 短くネックは返す。モモは目眩がして呼吸が荒くなった。

「まぁ、長い話は後で聞こうかしら? アシノがやれって言ってるならやっちゃうわよ」

 ルーは精霊を召喚して牽制する。サツキも戸惑いながら剣を構えた。

「こんな事やめて下さい父上!! 今からでも遅くありません、武器を捨てて下さい!!」

 必死にモモは声を絞り出して言う。だが一向にネックとエルフは構えを解く気が無い。

「来い、モモ。成長を見てやる」

 ネックはそう言うが、飛び出したのはサツキとカミクガだ。

「おっと、親子水入らずを邪魔するのはやぼってもんだぜ」

 エルフはアシノの喉元にナイフを突き付けた。重力の魔法から開放された亜人達もアシノを囲む。

「っく、卑怯な!!」

「私が行きます……」

 モモは覚悟を決めた目をしていた。

「モモさん……」

 ムツヤは心配そうに言い、ユモトは悲惨な親子の再開に心を痛めている。

「大丈夫です」

 ふぅーっと息を吐いてモモはネックの元へと走り出した。

 間合いまで入るとモモは縦に剣を振り下ろす。ネックも剣でそれを受け止めると、軽く弾いた。

 次、その次と剣を振るうモモ、だが父親に傷一つ負わせることは出来ない。

 今度はネックが反撃に出る。重い一撃を繰り出すとモモは無力化の盾でそれを防いだ。

「裏の道具か」

 そう言ってネックは剣を自身に引き寄せて突きを繰り出した。

 モモが後ろに飛び退いてそれを躱すと、ブンブンとネックは剣を振るう。

 盾で何とか防いではいるが、一撃一撃が速い。そして、構えている盾の横から蹴りを貰ってしまう。

「盾に頼りすぎているな」

 鎧越しに重い衝撃が身に伝わる。グッと歯を食いしばってそれを耐えた。

「父上、何故この様な事を」

「お前にもいずれ分かる。我らの正義の為だ」

「人質を取って、城に攻め込んで、何が正義ですか!!」

 モモは剣を振り下ろして言うが、また軽々と受け止められる。

「曲がったやり方には、曲がったやり方で対応するしかないのだよ」

 ネックはニッと笑って言った。尊敬していた父親が今は何を考えているのかモモは分からない。

 ただ、とにかく今は止めなくてはと思っていた。

「モモ、だいぶ成長したみたいだな。素直に嬉しく思うぞ」

 と、言った次の瞬間。ネックは剣をくるりと持ち替えて、横薙ぎに峰でモモの腹を叩く。

「だが、まだまだだな」

「ぐふっ」

 その一撃にモモは思わず膝を着いた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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