覚醒する少女 2

文字数 1,036文字

 ムツヤ達はミシロと黎明の呼び手の情報を集めていたが、これと言って有力な物に出会うことは出来ずに居た。

「あーもう! あのミシロって子はどこに行っちゃったのよ!」

 今日も宿屋に帰ると、ルーが両手を天に向け伸びをしながら言う。

「私達に出来るのは、地道に探知盤の石を埋めて捜査網を広げることだ」

 そう自分に言い聞かせるように言い、アシノはウィスキーを少し飲む。

「あの魔人ミシロは魔剣を持っているのですよね。それならば、やはりそれしか手が無いのでしょうか」

 モモも疲れが顔に出ている。ムツヤはソファに座ってヨーリィの手を握り魔力を送っていた。

 そんな時、窓が割れる音がし、何かが部屋に入ってきた。ムツヤが咄嗟(とっさ)に剣を引き抜く。

「敵か!!」

 割れた窓から寒い風と雪が舞い込む。ユモトが部屋を見回してあっと声を上げた。

「何ですかこれ……。矢……?」

 壁に突き刺さるのは一本の矢であった。そこに手紙が括り付けられている。

「もしかしなくても、これって矢文かしら」

「ユモト! 探知盤を出せ! ムツヤ、周りに怪しい奴が居ないか探せ」

「あ、はい!」

「わがりまじだ!」

 ユモトが探知盤を取り出して周りを見るが、裏の道具の反応はなかった。ムツヤも千里眼を駆使するも、街の人々に紛れているのか怪しい人間は見つからない。

 アシノは壁から矢を引き抜いて付いている手紙を広げる。文に目を通すと、顔が段々と険しくなった。

「っち、まずいな」

「何が書いてあったの?」

 アシノは無言でルーに手紙を渡す。

「えーっと、どれどれ……。我々はモミジの街に潜伏している。明日カバンを捨ててミシロ様と戦え。約束を違えれば街の人間は一人残らず殺す……」

 ルーも顔色が悪くなった。聞かされた仲間達も同じだ。

「やはり人質を取ってきたか……」

 目を瞑ったままアシノは顔を手で抑える。

「これ、ムツヤっちが勝ったにしても、逆上されて街の人が危ないじゃない」

「あぁ、それにカバンを奪われる可能性も大きい」

 どうしたものかとアシノが悩んでいると、ムツヤの胸のペンダントが紫色の光を撒き散らす。

「あっ!」

 ムツヤが言うと同時に邪神サズァンの姿が映し出された。

「ムツヤー? それにみんな元気かしら?」

 笑顔でサズァンは言う。アシノは突然の事だが、慌てずに対応する。

「邪神様が何の用で?」

「あらー、勇者様冷たいのね」

 今こうしてサズァンが急に現れた意図が誰も分からずに居たが、一言話し出す。

「今の状況を打破できる裏の道具があるわ。それを伝えに来たの」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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