魔人VS邪神 2
文字数 1,025文字
(イラスト:Taremimi先生)
「まだまだね」
サズァンは瞬間移動の様にラメルの拳を躱して、横から蹴りを入れた。
「ラメル様!!」
吹き飛ぶラメルを見てミシロが声を上げる。
「全然効かないよ」
ラメルは空中で軌道を変え、∪ターンしてサズァンの元へと突っ込んだ。
そして、光の剣を手に作り、サズァンの腹を。
突き刺した。
「ははっ!」
勝ちを確信してラメルが笑うと、サズァンはぐったりとして前かがみになる。
「悪いけど私の勝ちよ」
「負け惜しみはやめてよ、おばさん」
サズァンの体は光が溢れ、スーッと透き通っていく。
「あなたにカバンは渡さないわ」
その言葉を最後に、サズァンは完全に消えてしまった。
ラメルが勝ったことが分かり、ミシロはホッと胸を撫で下ろす。
「ラメル様!! よかった……」
「私があんなのに負けるわけ無いじゃん」
あっけらかんとラメルは言う。そしてカバンを持つミシロに命令した。
「そんな事より、何でも良いからカバンから物を出してよ」
言われてミシロはカバンを開けようとする。しかし、それはいくら力を入れても開かなかった。
「あれ、あれっ」
困惑するミシロ。それを見てラメルは舌打ちをする。
「あのおばさん、カバンに何かしたみたいね」
「っとまぁ、あの魔人と一戦やって、カバンに鍵をかけてきたってわけ」
「そうだったんでずか!! ありがとうございまず!!」
ムツヤはペコリと頭を下げるが、アシノは訝しげに聞いた。
「そんな事が出来るなら、キエーウとの戦いの時にやってほしかったんだが」
「悪いわね勇者アシノ。あの時は結界の力で出来なかったの」
「それで、悪い話ってのは?」
イタヤが聞くと頷いてサズァンが答える。
「鍵の効力は3日間しか持たないわ」
「3日か……」
イタヤは苦そうな顔をし、アシノは昔を思い出していた。
「また制限時間付きってわけか」
亜人を滅ぼす災厄の壺が発動したあの時の事だ。
「それを過ぎれば、あの魔人自身がカバンを自由に開けられるようになるわ」
「何よそれ!! 世界確実に滅ぶじゃない!!」
口を抑えてルーが言う。その時、モモが思い付いて言った。
「サズァン様。魔人と戦った時のように我々と一緒に戦っては頂けませんか?」
しかし、それに対して悲しそうな顔をしてサズァンは返す。
「残念だけど、あの魔人と戦う時に魔力をほぼ使い果たしてしまったの」
「そうですか……」
皆が沈黙する中で、ムツヤが声を上げた。
「俺が、俺が絶対にカバンを取り戻してみせます!!」