下剋上 4
文字数 956文字
「この杖……?」
訳が分からない、空から降ってきた杖を握ったら、魔物が現れた。そして、それらは現場監督や護衛を殲滅してしまう。
「殺しちゃったね、監督も護衛も」
フユミトはクスクスと笑う。
「お、お前、フユミト!! 何か知ってるのか?」
「いや、空から魔力の塊が落ちてくるから見に行こうとしただけで、その杖のことは何も知らないよ」
この時、ナツヤは、何故かフユミトは嘘をつかない人間だと信じていた。
「で、でもこれどーすんだよ!! どうすれば……」
「この状況は、そうだね、チャンスかな?」
ナツヤは最悪の状況を考えていたので、フユミトの言葉に疑問符が浮かぶ。
「ねぇ、その杖を握って魔物のことを考えてみてよ。出来るだけ強いやつ」
「え、あ、おう……」
頭が回っていないナツヤはそう返事をして言われるがままにやってみる。
光が現れ、その中から馬に乗り、黒い鎧を身にまとった騎士が現れた。驚いてナツヤは目を見開く。
「お呼びですか、我が主 」
しかも、言葉を話す。どういうことかとナツヤはフユミトを見た。
「主だってさ」
相変わらずフユミトは笑顔だった。ナツヤはまた騎士を見る。
「え、えっと」
「騎士さん、ナツヤも僕も状況が分からないんだ。説明してくれないかい?」
フユミトが言うと、頭の兜を脱がずに騎士は話し始める。
「その杖を初めてお持ちになり、願いを込めた方が我らの主となります。お名前はナツヤ様でお間違えございませんか?」
「あ、えっと、はい」
「ナツヤ様は我ら魔物の主となりました。何なりとご命令をお願い致します」
「凄いねナツヤ。魔物の王様だよ」
軽い口調でフユミトが言うが、ナツヤは必死に考えていた。魔物の王様という言葉に。
「ねぇ、ナツヤ。その杖でここから逃げようよ」
逃げる。ナツヤが今まで何度も考えた選択肢だ。だが、現実は非情であり、何も出来なかった。
今の話が本当であれば、今、手にあるのは僅かな希望だ。
「逃げたい、逃げたいよ俺も!! でもどうすれば良いのか」
「魔物に頼んでみたら?」
フユミトは目線を騎士に移して言う。ナツヤは心臓がバクバクとし、意識も遠のきそうだったが、言った。
「俺を、俺をここから逃して下さい!!!」
「かしこまりました」
その言葉を聞いて、ナツヤは涙が流れた。やっと、やっと自由になれるかもしれないと。
訳が分からない、空から降ってきた杖を握ったら、魔物が現れた。そして、それらは現場監督や護衛を殲滅してしまう。
「殺しちゃったね、監督も護衛も」
フユミトはクスクスと笑う。
「お、お前、フユミト!! 何か知ってるのか?」
「いや、空から魔力の塊が落ちてくるから見に行こうとしただけで、その杖のことは何も知らないよ」
この時、ナツヤは、何故かフユミトは嘘をつかない人間だと信じていた。
「で、でもこれどーすんだよ!! どうすれば……」
「この状況は、そうだね、チャンスかな?」
ナツヤは最悪の状況を考えていたので、フユミトの言葉に疑問符が浮かぶ。
「ねぇ、その杖を握って魔物のことを考えてみてよ。出来るだけ強いやつ」
「え、あ、おう……」
頭が回っていないナツヤはそう返事をして言われるがままにやってみる。
光が現れ、その中から馬に乗り、黒い鎧を身にまとった騎士が現れた。驚いてナツヤは目を見開く。
「お呼びですか、我が
しかも、言葉を話す。どういうことかとナツヤはフユミトを見た。
「主だってさ」
相変わらずフユミトは笑顔だった。ナツヤはまた騎士を見る。
「え、えっと」
「騎士さん、ナツヤも僕も状況が分からないんだ。説明してくれないかい?」
フユミトが言うと、頭の兜を脱がずに騎士は話し始める。
「その杖を初めてお持ちになり、願いを込めた方が我らの主となります。お名前はナツヤ様でお間違えございませんか?」
「あ、えっと、はい」
「ナツヤ様は我ら魔物の主となりました。何なりとご命令をお願い致します」
「凄いねナツヤ。魔物の王様だよ」
軽い口調でフユミトが言うが、ナツヤは必死に考えていた。魔物の王様という言葉に。
「ねぇ、ナツヤ。その杖でここから逃げようよ」
逃げる。ナツヤが今まで何度も考えた選択肢だ。だが、現実は非情であり、何も出来なかった。
今の話が本当であれば、今、手にあるのは僅かな希望だ。
「逃げたい、逃げたいよ俺も!! でもどうすれば良いのか」
「魔物に頼んでみたら?」
フユミトは目線を騎士に移して言う。ナツヤは心臓がバクバクとし、意識も遠のきそうだったが、言った。
「俺を、俺をここから逃して下さい!!!」
「かしこまりました」
その言葉を聞いて、ナツヤは涙が流れた。やっと、やっと自由になれるかもしれないと。