VSラメル 1
文字数 830文字
(イラスト:あおさ先生)
「来たね」
朝食を食べている途中でラメルが言った。ミシロは何の事かと首を傾げる。
「カバン、預かってて。絶対に守って」
ミシロにカバンを渡すと、スタスタと窓際まで行き、そのままガラスを突き破って外へと羽ばたいて行ってしまった。
「ラメル様!?」
城から何かが飛び出た。確実に魔人だろう。ムツヤは千里眼でそれを見た。他の皆もゴマ粒のようだが、それが見える。
「ムツヤ!! カバンは持っているか!?」
「いえ、持っでいまぜん!!」
「そうか……、作戦通りに行くぞ!!」
ムツヤは風のように走り、魔人のもとまで行く。その後ろをイタヤ達も着いて行った。
「来てくれたんだね、嬉しい。ダーリン」
ラメルは急降下してムツヤの元まで来る。魔剣ムゲンジゴクを構えてそれを迎え撃った。
「あはっ」
魔剣とラメルの拳がぶつかり合う。激しい衝撃波が辺りに発生した。
そのまま無茶苦茶な戦いが始まった。ムツヤは目にも留まらぬ速さで剣を振り回し、ラメルは躱し、受け止める。
「カバンを返せ!!」
「それは出来ないよー。私達のきょーゆーざいさんにしようよー」
「意味わかんないこと言うな!!」
やっと追いつくとイタヤは指示を出した。
「ムツヤくんの援護に入るぞ!!」
イタヤは聖剣ロネーゼを振るって光の斬撃を飛ばす。魔人も流石に拳で受け止める事が出来ないらしく、さっと上空に逃げていった。
「おじさん邪魔ー」
「おじさんだと!? ふざけんな!! お兄さんだろ!!」
シャッシャと上空にも光の斬撃を飛ばすが、中々狙いが定まらない。ウリハとサワも雷を飛ばして加勢する。
「無駄だよー」
そして、ムツヤが飛び上がると空中戦が始まった。
「ダーリンちょっとおバカ? 羽がないのに空飛んだら不利になるよー?」
ラメルの言う通りだった。ムツヤは飛び上がった後、垂直に落下することしか出来ない。
だが、それはムツヤが自分自身をエサにする罠だった。狙い通りラメルが近付いてくる。
(イラスト:有機ひややっこ先生)