おっさん勇者 2

文字数 1,208文字

「こちらも自己紹介と行こうか」

 そう言ってアシノはムツヤをちらりと見る。

「はい、ムツヤ・バックカントリーです! よろしくおねがいします!」

「ははっ、元気が良いね」

 ムツヤがおじぎをして挨拶をするとイタヤは笑った。

「私はモモです。訳合ってムツヤ殿の従者をしております。こちらはムツヤ殿の妹のヨーリィです」

「はいはい、美人さん達よろしくぅー!!」

 イタヤは相変わらずのテンションの高さで言う。

「ぼ、僕はユモト・サンドパイルです……」

「ユモトちゃんね、よろしく!」

「あ、えーっと、僕は男です!!」

 ユモトが言うとイタヤパーティは「えぇ!?」っと驚く。

「マジか、マジかー!?」

 イタヤが驚いていると、妹のサワがユモトの服を見て話す。

「ユモトさんの服、ゴイチ一族のですよね? ってことはユモトさんも……」

「はい、この服は母の形見なんですけど、母はゴイチ一族だったらしいです」

「なるほど、なるほど」

 サワはユモトの周りを回って服を観察する。

「あ、あの、恥ずかしいので……」

「あぁ、ごめんなさい!!」

「サワは魔法に関係することに目がないんだ、悪いねー!!」

 笑いながらイタヤは言った。

「私はルー、天才召喚術師よ!!」

「おー、おー、天才か!! そりゃ良いね!!」

 イタヤはルーの大きな胸を見ながら喋っていた。それに気付いた魔剣士のウリハが冷ややかな目で見ている。

「えーってなわけで、今やった自己紹介は半分ぐらい嘘でーす!!!」

「いや、嘘なんかい!!」

 ルーが言うとイタヤはビシッとツッコミを決めた。

「まずはこちらをご覧下さい」

 そう言ってルーが適当な木に赤い玉をぶつけると、四方に散ってギルスを映し出す。

「どうもどうも、こんにちは。ギルスと申します」

「はぁー!?」

 イタヤパーティは揃って間抜けな声を上げた。それを見てルーがケラケラと笑う。

「えっ、何これ、どんな魔法?」

「兄さん、こ、こんな魔法見たことも聞いたことも無いんだけど!?」

「どうなってるんだこれ?」

 サツキ達に話した時のように、ムツヤ達はこれまでの経緯を話した。

 ムツヤが裏の世界出身であること、キエーウとの本当の戦い。

 今のアシノはビンのフタをスッポーンと飛ばすことしか出来ないこと。

「なるほど、とても信じられない話だが、この状況でアシノさんが冗談を言うはず無いしな……」

「信じて頂けて幸いですイタヤさん」

 頭をポリポリ書きながらイタヤが言うと、アシノは感謝を述べる。1時間と少しぐらい話をして、イタヤ達も信じたようだ。

「それで、試練の塔じゃなくて、私達にここで裏の道具を渡すと言うことですか?」

「大正解よサワちゃん! 100億点あげるわ!!」

 こんな突拍子もない話にも付いていけるのは流石勇者パーティと言った所だろうか。

「先程も言った通り、魔人の操る魔物の中には、裏の道具しか効かない魔物が居ます」

「なるほどなー」

 アシノが話すと、宙を見上げてイタヤは生返事をした。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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