水面下 6
文字数 929文字
「勇者……、か」
意外にもナツヤは落ち着いていた。
「ナツヤ、冷静だね」
フユミトに言われ、あぁと言葉を返す。
「勇者ってのは弱い者の味方だろ? いつ勇者が俺達の味方をしてくれた? 俺はそんな者を勇者だと認めない」
仲間達からもそうだそうだと声が上がる。
「そうだよ、俺達にとってはナツヤさんが勇者みたいなもんだ!!!」
「俺が……、勇者?」
そう言われ、ナツヤは照れと高揚感を感じていた。フユミトが言う。
「そうだね、僕や仲間をどん底から助けてくれた。そして弱い者の心が分かるナツヤこそ勇者だ」
「そうだ!! 勇者ナツヤだ!! アンタこそ勇者だ!!」
ナツヤは目を閉じて、スゥーッと息を吸う。
「あぁ、俺が国を変えるんだ!!」
その決意を見てフユミトはふふっと微笑んだ。
そんなやり取りをして、少し皆が落ち着いた頃。ナツヤとフユミトは軽食を食べながら、今後の動きについて相談をしていた。
「僕は、最初に襲った貴族の城で籠城をするのが良いと思うよ」
「そっかー……」
正直言って、ナツヤは良い思い出が無いあの場所の付近へ行くのは気が引けたが、勇者を迎え撃つにはフユミトの言う通りにした方が良い気がする。
「金も食料も、武器もある。僕達はもう弱者じゃない。それに僕達にはナツヤが居る」
フユミトにまっすぐ見据えられて言われ、ナツヤは思わず照れて視線を逸らす。
「そうだな、俺が皆を守る」
「そうと決まれば引き返そう」
ナツヤとフユミトは翼竜に、仲間達は荷車に乗っかった。
黎明の呼び手が去った後の街は静まり返っていた。悪夢だったのでは無いかと思えるほどに。
食い散らかされた死体に、血の跡。まさに街は地獄絵図だ。
「お父さん、お父さん!!」
抵抗した富裕層は容赦なく剣で刺された。父を失った少女の泣き声が響く。
翌日、街の惨状は王都まで届く。首謀者の名前はナツヤと言うことが分かり、国はナツヤを魔人と認定し、急ぎ勇者に討伐させることにした。
ムツヤ達はとある街の冒険者ギルドに居た。
「赤髪……、勇者アシノ様ですか!?」
ギルドの受付嬢にそう言われ、アシノは答える。
「えぇ、そうです」
「突然の事で申し訳ありませんが、ギルドマスターが待っています。奥の部屋へご案内します!」
「わかりました」
意外にもナツヤは落ち着いていた。
「ナツヤ、冷静だね」
フユミトに言われ、あぁと言葉を返す。
「勇者ってのは弱い者の味方だろ? いつ勇者が俺達の味方をしてくれた? 俺はそんな者を勇者だと認めない」
仲間達からもそうだそうだと声が上がる。
「そうだよ、俺達にとってはナツヤさんが勇者みたいなもんだ!!!」
「俺が……、勇者?」
そう言われ、ナツヤは照れと高揚感を感じていた。フユミトが言う。
「そうだね、僕や仲間をどん底から助けてくれた。そして弱い者の心が分かるナツヤこそ勇者だ」
「そうだ!! 勇者ナツヤだ!! アンタこそ勇者だ!!」
ナツヤは目を閉じて、スゥーッと息を吸う。
「あぁ、俺が国を変えるんだ!!」
その決意を見てフユミトはふふっと微笑んだ。
そんなやり取りをして、少し皆が落ち着いた頃。ナツヤとフユミトは軽食を食べながら、今後の動きについて相談をしていた。
「僕は、最初に襲った貴族の城で籠城をするのが良いと思うよ」
「そっかー……」
正直言って、ナツヤは良い思い出が無いあの場所の付近へ行くのは気が引けたが、勇者を迎え撃つにはフユミトの言う通りにした方が良い気がする。
「金も食料も、武器もある。僕達はもう弱者じゃない。それに僕達にはナツヤが居る」
フユミトにまっすぐ見据えられて言われ、ナツヤは思わず照れて視線を逸らす。
「そうだな、俺が皆を守る」
「そうと決まれば引き返そう」
ナツヤとフユミトは翼竜に、仲間達は荷車に乗っかった。
黎明の呼び手が去った後の街は静まり返っていた。悪夢だったのでは無いかと思えるほどに。
食い散らかされた死体に、血の跡。まさに街は地獄絵図だ。
「お父さん、お父さん!!」
抵抗した富裕層は容赦なく剣で刺された。父を失った少女の泣き声が響く。
翌日、街の惨状は王都まで届く。首謀者の名前はナツヤと言うことが分かり、国はナツヤを魔人と認定し、急ぎ勇者に討伐させることにした。
ムツヤ達はとある街の冒険者ギルドに居た。
「赤髪……、勇者アシノ様ですか!?」
ギルドの受付嬢にそう言われ、アシノは答える。
「えぇ、そうです」
「突然の事で申し訳ありませんが、ギルドマスターが待っています。奥の部屋へご案内します!」
「わかりました」