いざ王都へ 5

文字数 908文字

 城の中に人が溢れていく様をムツヤ達は特等席から見下ろす。

「こんなにたくさんの人初めて見ました」

「そうですね。私も初めてです」

「僕もです」

 そんな話をしていると、ムツヤ達は声を掛けられた。

「失礼ですが、勇者アシノ様のお仲間の方ですか?」

「えぇ、そうですが」

 ルーが普段と違う猫をかぶった態度で対応する。

「この度の素晴らしいご活躍お伺いしております。私この国の議員の『カタオカ』と申します」

 カタオカと名乗る男はルーに握手を求め、それに応じた。

「私は召喚術師のルーと申します。よろしくお願いいたします」

 手を離すとカタオカは続けて話し始める。

「キエーウは我が国の平和を乱す大きな問題の1つでした。アシノ様と皆様のご活躍により、この国の亜人達も安心して暮らすことが出来るでしょう」

「いえいえ、私達は勇者アシノに付いていっただけですので」

「またまたご謙遜を……」

 ここで城中に設置された魔法の声量増幅装置から声が聞こえた。

「只今より、勇者アシノ様へ勲章の贈呈式を行います」

「あぁ、始まるみたいですね。私はこれで失礼します」

「はい、それでは」

 ルーとカタオカが別れの挨拶をすると同時に、また大きな声が響く。

「それでは、恐れ多くも我が国の偉大なる王のご入場です」

 会場に歓声と拍手が巻き起こり。ムツヤ達も立ち上がり拍手をする。

 王はムツヤ達が会場に入った場所と同じ所から入場した。

 周りには誰が見ても強そうな近衛兵が居る。

 三階席の中央まで歩くと大きく手を揚げた。するとまた割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こる。

 衛兵が声量増幅装置を用意すると、王は口を開く。

「今日は皆集まってくれて感謝する。只今より勇者アシノの功績を讃え、勲章を送りたいと思う」

 短めの挨拶を済ますと、王は着席した。

「王よりのお言葉を頂戴いたしました。それでは勇者アシノ様のご入場です!!」

 歓声に迎えられてアシノが姿を表した。鎧を身にまとい威風堂々といった感じで歩いている。




 その時だった。会場のあちこちで爆発音が聞こえた。

 最初は派手な演出かと考えてみた民衆だったが、空を飛ぶ人間を見て戦慄した。

 その空を飛ぶ人間は右手を上空にかざして。振りかざした。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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