サンライトレジェンド 9

文字数 976文字

「なっ!!」

 アシノはオオムカデを見て思わず声が漏れた。

「来たか」

 ムツヤとトチノハ達は武器を構える。それを見てアシノも皆に言った。

「気をつけろお前ら!!」

 アシノ達も構えてオオムカデを下から見上げる。それは首をこちらに向けて突っ込んできた。

 キヌが業火を浴びせ、トチノハが弓で頭を射るが、硬い表皮に弾かれてしまう。

 ムツヤが飛び出て剣でオオムカデの頭を縦に切り裂いた。

「さすが、やるねぇ」

 キヌは余裕そうに言ったが、次の瞬間顔色が変わる。

 斬られたオオムカデの頭は断面の業火が消えて、1つに修復されていったのだ。

 ムツヤは怯まず何回も斬りつけるも、同じ様に斬ったそばから元通りになっていく。

「何だアレは……」

 アシノが眺めて言う。ユモトとルーが魔法の火、氷、雷を飛ばすが、牽制にもならなかった。

「アシノ!! 何よアレ!! どうやって倒せっての!?」

 ルーの言葉でハッとしてアシノは現実に戻る。

「操っている本体を叩くぞ!! ユモト、裏の道具の反応は!?」

 ユモトが探知盤を見て叫ぶ。

「反応はあのオオムカデだけです!! 近くに他の反応はありません!!」

 赤い点は高速で動くオオムカデと共に動いていた。

「アレ自体が裏の道具ってわけか、ムツヤ!! 探知スキルで人を探せ!!」

「わがりまじだ!!」

 ムツヤがオオムカデから離れ、周辺を探知した。そして驚く。

「!! あのムカデの中に人がいまず!!!」

「なんだと!?」

 オオムカデをアシノは見る。あの中に操縦者まで居るとしたら手の出しようが無い。そして、次の瞬間更に驚くことになる。

「聞こえるかー? 亜人と亜人の仲間のクソ野郎共!!」

 オオムカデから音の拡大魔法を使ったような声がビリビリと響く。

「聞こえてるわよ!! 出てきなさい!!」

 ルーが言い返すと、中の人間は答える。

「出るわけ無いだろうが!!」

 そして、オオムカデがこちらに向かって牙を剥く。

「伏せろっ!!」

 木をメキメキと倒しながら、オオムカデは暴れまくる。ムツヤが翻弄してくれているお陰で何とか集中して狙われないが、状況は好転しない。

「死ねって言葉を使っちゃいけないって奴がいるけどよー」

 中の人間が突然語りだす。

「死ねって言葉は使っちゃいけないんじゃなくて、本当に死んで欲しい相手にしか使っちゃいけないんだよなー。俺はそう思うよ。さぁ死ねムツヤ!!!」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み