覚醒する少女 7

文字数 947文字

「トドメだ!!」

 ミシロは空から一気に防御壁へと突っ込んだ。バリィンと割れてムツヤと対峙する。

 切り裂こうとした、その瞬間だった。ムツヤの右足から繰り出される蹴りを食らってしまう。

 吹き飛ばされるミシロ。空中で姿勢を取り直してムツヤを見つめる。

 奴からは青いオーラが吹き出ているのが見えた。そう、ムツヤは体中のリミッターを外していたのだ。

 風のように地面を駆け出すムツヤ。ミシロの元へとたどり着くと剣を振り上げた。

 急ぎミシロは剣でそれを受け止めようとする。が、剣は弾かれてしまい宙を舞った。

 すんでのところで躱して上空へ飛び、剣を掴み取る。

「面白い、面白いよ!!」

 ミシロは狂気をはらんだ笑い声を出しながら、再度ムツヤに向かって急降下した。

 その途中、水の刃を幾重にも飛ばし、総攻撃を掛ける。

 ムツヤは魔剣ムゲンジゴクを地面に突き刺した。炎と熱風が全てを吹き飛ばした。

 一瞬怯んだミシロの羽を片方切り捨てる。

「ぎゃああああ!!」

 ミシロは久しぶりに感じる痛みで叫ぶ。これで空を飛ぶことが叶わなくなった。

「許さない!!」

 走ってムツヤを斬り裂こうとする。ムツヤもミシロ目掛けて走り出した。

 互いがすれ違い、一瞬の静寂。それを破ったのはミシロだ。

「が、がああああ」

 羽をまた一つ斬り落とされる。ミシロはその場にうずくまってしまった。

 こちらへ駆け寄ってくるムツヤを見て、走馬灯が思い浮かんだ。

 自分の人生はろくなものでは無かった。家族を失い、拷問を受け、そして……。

 いや、そしてラメル様と出会ったんだ。美しくて、強くて……。

 ラメル様お願いです。力を貸してください。

 ムツヤは本能的に何かを察知し、ミシロから飛び退く。

「殺す、殺す殺す殺すコロス」

 ミシロは瞳が赤くなり、羽も再生した。ただならぬ殺気をムツヤは感じる。

「お前だけは、何をしてでも殺す!!!」

 更に早くなったミシロの特攻。剣同士がぶつかり合い、魔法がぶつかり合い。メチャクチャな音が響いている。

 上空から低空から自由自在に飛ぶミシロにムツヤは対応した。互いに一歩も譲らない一進一退の攻防を広げている。

 そんな中、ミシロは目を疑った。ムツヤが剣を鞘に納めたのだ。一瞬何が起きたのか分からなかったが、好機だ

「死ねー!! ムツヤー!!!」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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