水面下 4

文字数 982文字

 ナツヤ達は大勝利に祝杯を上げていた。

「やったぜ! ナツヤさんが居れば何も恐いものはねーや!!!」

 騒ぐ仲間達、そんな宴を抜けてナツヤとフユミトは少し遠くから皆を見る。

「フユミト、俺はこの国を変える」

 フフッと笑ってフユミトは返す。

「ナツヤなら出来るよ。勇者だってかないやしない」

 満点の夜空を見上げる。こんな綺麗な星空を、清々しい気分で見るのは初めてかもしれない。

「ナツヤはどんな国を作りたいの?」

 フユミトに聞かれ、ナツヤは語りだす。

「差別の無い国、弱い人が虐げられない国だ! 皆が平等で、皆が笑顔の国!!」

「それは良いね」

 ナツヤはビールをぐいっと飲む。酒なんてここ数日で生まれて初めて飲んだ。

「まずは貴族を潰す。そしてこんな腐った国を作った権力者を潰す」

「いいね、ドンドンやろう」


 中距離の連絡石を中継して、翌日にはナツヤ達の組織『黎明の呼び手』が軍隊を壊滅させたことが王の耳へ入った。

 王都の軍団長や近衛兵のカミト、大臣や勇者サツキと言った面々が王の間に集められる。

此度(こたび)の城の襲撃事件、軍隊壊滅の件サツキよ、そなたはどう思う」

「はっ、やはり魔人が関係していると思われます」

 サツキの言葉に王は頷く。

「カミトよ、周辺の住人からの証言を報告せよ」

「はっ、どうも此度の輩は『黎明の呼び手』と名乗り、国民を(たぶら)かし、暴動を起こしているようです」

 カミトの報告に王はイライラとした態度を取る。

「下らんな、勇者アシノとイタヤを向かわせろ」

「はっ!」

 兵士が王の間を後にする。それを見てサツキは言った。

「我が王、恐れながら申します。魔人だとすれば私も向かうべきだと思いますが」

「ならぬ、そなたは王都を守るという使命がある」

 サツキは顔を伏せて歯をぎりりと食いしばる。

「かしこまりました」



 サツキは王の間を後にし、アシノに連絡を入れた。

「ってな事を王は言ってるんですよ!! 私とアシノ先輩の仲を引き裂こうとしているんですよ!!」

「後半言ってる事は分からんが、まずい事になってるらしいな」

 うーんと腕を組んでアシノは考える。

「近くの冒険者ギルドに寄る。きっと連絡は行ってるだろうから、私達が現れれば国王からの命令があるって言われるだろ」

「何だか大事になってきたわね」

 ルーも手を上げてやれやれと言う。

「『黎明の呼び手』ですか……」

 ユモトはその組織の名前をポツリと呟いた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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