亜人を呪わば鉄球地獄 2
文字数 1,504文字
ヨーリィはうつ伏せに倒した敵に乗りかかり、両腕を後ろで固めて動きを封じた。
「マジックバインド!」
ユモトは魔法の縄で敵の手足をしっかりと拘束する。
「さーてさて、どんなお顔をしてるのか見せてもらうかな」
ルーは歩いて動けない敵の前へと行くと、しゃがみこんで仮面に手を掛けた。
「やめろ、やめろー!!!」
そんな敵の声を無視して仮面を取り上げると顔があらわになる。
女は割と整った顔立ちをしているが、目は殺意と憎しみに満ち溢れていた。
そして、何より左頬にケロイド状の火傷の痕が見える。
「っぐ、殺す、殺す!!」
「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて」
ルーはニコニコして言った。ムツヤ達は少し遠巻きにそれを見る。
「聞きたいことは山ほどあるけど、なんでキエーウなんかに入ってるの?」
女は歯ぎしりをし、視線だけをモモの方に向けて言った。
「オークをこの世から皆殺しにするためだ!!」
モモはそれを聞いてドキリとする。
「事情は知らんが、充分に危険思想だな。縄で縛り直して治安維持部隊に引き渡すぞ」
この時、アシノ達は油断をしていた。遠くから飛んでくる矢に気づけたのはムツヤだけだった。
まっすぐユモト目掛けて飛んでくる矢、ムツヤはユモトを庇おうとタックルをして押し倒す。
矢はギリギリの所でかわせたが、ユモトの拘束魔法が一瞬緩んでしまった。その隙きを見逃さずに女は飛び起きてムツヤ達と反対方向に走り出した。
「待て!!」
追いかけようとするが次々と矢が飛んできて、アシノ達は地面に伏せた。ムツヤはそんな事お構いなしに女を追いかける。
「ははは、やっぱり君は強いねぇ。ムツヤくん」
この男の声をアシノは知っている。忘れもしない。
「ちょっと俺と遊ぼうか」
かつてアシノの仲間であり、今はキエーウに所属しているウートゴがムツヤ達の前に立ちはだかった。
刀身の反った細身の刀をウートゴは取り出す。そして次の瞬間ムツヤは目を疑った。
ウートゴは目の前で3人に増えたのだ。思わずムツヤは走るのを止め、警戒をする。
「ムツヤ!! それは東の国の魔術だ!! 気を付けろ、全員実体がある!」
アシノはそう叫んでムツヤに警告した。仲間たちはユモトが貼った防御壁で遠くから放たれる矢を防ぎながらゆっくりとムツヤの元へ進む。
「ムツヤくん、俺と友達にならないか? 君の力と裏の道具があればキエーウは世界の頂点に立てる。亜人を皆殺しにした後、君は英雄として夢のハーレムも作れるぞ」
真ん中にいるウートゴがムツヤへそう語りかける。
「亜人の人達を殺すなんて絶対に間違ってる!!」
剣を構え、ムツヤは言った。
「多種族だから他の種族と争う、国があるから戦争が起こる。キエーウは世界で知能を持つ種族を人間で統一し、優しい世界を作ろうとしているんだよ」
「詭弁ね、同じ人間同士だって争い合うし、別の種族とも分かり合えるわよ」
ルーは冷ややかに叫んだ、それを聞いてクククとウートゴは笑う。
「それならば、昨日街を襲ったトロールとも分かり合えるとでもいうのか?」
「トロールは亜人じゃないわ!!」
それを聞いてウートゴは更に高く笑う。
「どうして亜人じゃないんだ? それは『人間』が亜人じゃないと決めたから、それだけだろう?」
「トロールは知性が無いから魔物なのよ、そんな事も知らないのかしら?」
「その知性って奴の境界線はどこなんだ? そんなモノ時代や情勢で変わるだろう? 面倒だと思わないか?」
ムツヤは難しい話はよく分からなかった。ただ、目の前の男は自分の大事な仲間や、出会った亜人の人々を傷つけようとしている事だけはわかる。
剣を斜めに構えてムツヤはウートゴに突っ込んでいった。
「マジックバインド!」
ユモトは魔法の縄で敵の手足をしっかりと拘束する。
「さーてさて、どんなお顔をしてるのか見せてもらうかな」
ルーは歩いて動けない敵の前へと行くと、しゃがみこんで仮面に手を掛けた。
「やめろ、やめろー!!!」
そんな敵の声を無視して仮面を取り上げると顔があらわになる。
女は割と整った顔立ちをしているが、目は殺意と憎しみに満ち溢れていた。
そして、何より左頬にケロイド状の火傷の痕が見える。
「っぐ、殺す、殺す!!」
「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて」
ルーはニコニコして言った。ムツヤ達は少し遠巻きにそれを見る。
「聞きたいことは山ほどあるけど、なんでキエーウなんかに入ってるの?」
女は歯ぎしりをし、視線だけをモモの方に向けて言った。
「オークをこの世から皆殺しにするためだ!!」
モモはそれを聞いてドキリとする。
「事情は知らんが、充分に危険思想だな。縄で縛り直して治安維持部隊に引き渡すぞ」
この時、アシノ達は油断をしていた。遠くから飛んでくる矢に気づけたのはムツヤだけだった。
まっすぐユモト目掛けて飛んでくる矢、ムツヤはユモトを庇おうとタックルをして押し倒す。
矢はギリギリの所でかわせたが、ユモトの拘束魔法が一瞬緩んでしまった。その隙きを見逃さずに女は飛び起きてムツヤ達と反対方向に走り出した。
「待て!!」
追いかけようとするが次々と矢が飛んできて、アシノ達は地面に伏せた。ムツヤはそんな事お構いなしに女を追いかける。
「ははは、やっぱり君は強いねぇ。ムツヤくん」
この男の声をアシノは知っている。忘れもしない。
「ちょっと俺と遊ぼうか」
かつてアシノの仲間であり、今はキエーウに所属しているウートゴがムツヤ達の前に立ちはだかった。
刀身の反った細身の刀をウートゴは取り出す。そして次の瞬間ムツヤは目を疑った。
ウートゴは目の前で3人に増えたのだ。思わずムツヤは走るのを止め、警戒をする。
「ムツヤ!! それは東の国の魔術だ!! 気を付けろ、全員実体がある!」
アシノはそう叫んでムツヤに警告した。仲間たちはユモトが貼った防御壁で遠くから放たれる矢を防ぎながらゆっくりとムツヤの元へ進む。
「ムツヤくん、俺と友達にならないか? 君の力と裏の道具があればキエーウは世界の頂点に立てる。亜人を皆殺しにした後、君は英雄として夢のハーレムも作れるぞ」
真ん中にいるウートゴがムツヤへそう語りかける。
「亜人の人達を殺すなんて絶対に間違ってる!!」
剣を構え、ムツヤは言った。
「多種族だから他の種族と争う、国があるから戦争が起こる。キエーウは世界で知能を持つ種族を人間で統一し、優しい世界を作ろうとしているんだよ」
「詭弁ね、同じ人間同士だって争い合うし、別の種族とも分かり合えるわよ」
ルーは冷ややかに叫んだ、それを聞いてクククとウートゴは笑う。
「それならば、昨日街を襲ったトロールとも分かり合えるとでもいうのか?」
「トロールは亜人じゃないわ!!」
それを聞いてウートゴは更に高く笑う。
「どうして亜人じゃないんだ? それは『人間』が亜人じゃないと決めたから、それだけだろう?」
「トロールは知性が無いから魔物なのよ、そんな事も知らないのかしら?」
「その知性って奴の境界線はどこなんだ? そんなモノ時代や情勢で変わるだろう? 面倒だと思わないか?」
ムツヤは難しい話はよく分からなかった。ただ、目の前の男は自分の大事な仲間や、出会った亜人の人々を傷つけようとしている事だけはわかる。
剣を斜めに構えてムツヤはウートゴに突っ込んでいった。