勇者の決断 1
文字数 1,413文字
イタヤが大きな声を出したので、ユモトは思わずビクリとしてしまう。
「彼らも冒険者です。命を賭ける覚悟はしていたでしょう」
アシノが言うとイタヤは首を振る。
「だからって……」
「イタヤ、私達は魔人と戦わなくちゃいけない。その回復薬があれば、命が1つ2つ増えるようなもんだろ?」
ウリハにも言われ、イタヤは悩む。確かに魔人との戦いにこの薬は必須だろう。
「それでも、それでも!!」
皆がイタヤを見る。
「俺の分を使わせて下さい」
「そういった問題ではありませんよ、イタヤさんの分が無くなれば結局は回復薬を分け合わなければなりません」
アシノはフーっと息を吐いて空を見上げた。
「ムツヤを助け、魔人と戦い、国を助ける。そんな使命を持った勇者としては、賛成できません。ですが……」
フッと笑ってアシノは言う。
「個人的には、その選択。物凄く好きですよ」
「アシノさん……」
「ユモト、アレやるぞ!!」
名前を呼ばれ、ユモトは笑顔で返事をした。
「はいっ!!」
アシノ達は重傷を負った冒険者の前へ向かった。。
「お願い、死なないで!!」
「馬鹿野郎!! お前…… こんな所で!!」
冒険者の仲間が泣きながら声を掛けている。サワが必死に出血を止めているが、もう限界だろう。
「アシノ様!?」
アシノに気付いた冒険者の仲間達はすがるような思いで言った。
「アシノ様!! どうか、どうか助けて下さい!!」
「少し、失礼します」
ユモトは杖を持ち、光を出した。左手に薬を隠し持って。
光の魔法を強め、視界を奪うと同時に回復薬を振りかける。それは冒険者の体に染み込んで、みるみる内に傷は癒えていく。
「お、おいもぽんぽん!!!!」
重傷だった冒険者は奇声を上げて飛び起きた。
冒険者の仲間達は一瞬ポカーンとしていたが、飛び起きた仲間を見て震えだす。
「よかった、よかったよおぉぉぉ」
泣き崩れる者、黙って泣く者が居た。他にも3名の重傷者が居たが、同じ様に治してやる。
皆、アシノとユモトに感謝を述べていた。
「イタヤ様、アシノ様、本当にありがとうございました!! でも、俺、情けないです。こんな怪我を……」
「気にすんなって、冒険者に怪我は付き物だ。今回はアシノさん達が居て運が良かったけどな!」
ハッハッハとイタヤは笑って肩を叩く。
「この魔法は莫大な魔力を使います。軽症者の方は、他の方の回復魔法で治療を受けて下さい」
そう言い残してアシノ達は宿屋へと戻り、部屋の一室でユモトが音の妨害魔法を張った。
モモは早く本題に入りたくてウズウズしている。
「さて、ムツヤの件だが……」
「ムツヤ殿は、ムツヤ殿は無事なのでしょうか!?」
「あぁ、無事だと思うぞ」
思わず言ってしまったモモに対し、あっけらかんとアシノは返す。
面食らってしまい固まったモモにアシノは説明を入れてやる。
「仮にだ、殺すのが目的だとしたら、あの場でやっているはずだ。それをわざわざかっ攫うとしたら何か考えがあるんだろう」
それを聞いて確かにとモモは少し安堵したが、それをまた不安にさせたのはルーだ。
「ムツヤっち攫われて、解剖実験とかされてないかしら?」
「か、解剖実験!?」
「いや、可能性は無くはないが、アイツのことだから上手い事、抵抗するだろ」
アシノの発言にまたモモは安堵する。
「そ、そうですよね!!」
「何にせよ、早くムツヤくんを助けなくちゃいけないな」
「あぁ、そうだな」
イタヤとウリハもそう言ってくれて心強かった。
「彼らも冒険者です。命を賭ける覚悟はしていたでしょう」
アシノが言うとイタヤは首を振る。
「だからって……」
「イタヤ、私達は魔人と戦わなくちゃいけない。その回復薬があれば、命が1つ2つ増えるようなもんだろ?」
ウリハにも言われ、イタヤは悩む。確かに魔人との戦いにこの薬は必須だろう。
「それでも、それでも!!」
皆がイタヤを見る。
「俺の分を使わせて下さい」
「そういった問題ではありませんよ、イタヤさんの分が無くなれば結局は回復薬を分け合わなければなりません」
アシノはフーっと息を吐いて空を見上げた。
「ムツヤを助け、魔人と戦い、国を助ける。そんな使命を持った勇者としては、賛成できません。ですが……」
フッと笑ってアシノは言う。
「個人的には、その選択。物凄く好きですよ」
「アシノさん……」
「ユモト、アレやるぞ!!」
名前を呼ばれ、ユモトは笑顔で返事をした。
「はいっ!!」
アシノ達は重傷を負った冒険者の前へ向かった。。
「お願い、死なないで!!」
「馬鹿野郎!! お前…… こんな所で!!」
冒険者の仲間が泣きながら声を掛けている。サワが必死に出血を止めているが、もう限界だろう。
「アシノ様!?」
アシノに気付いた冒険者の仲間達はすがるような思いで言った。
「アシノ様!! どうか、どうか助けて下さい!!」
「少し、失礼します」
ユモトは杖を持ち、光を出した。左手に薬を隠し持って。
光の魔法を強め、視界を奪うと同時に回復薬を振りかける。それは冒険者の体に染み込んで、みるみる内に傷は癒えていく。
「お、おいもぽんぽん!!!!」
重傷だった冒険者は奇声を上げて飛び起きた。
冒険者の仲間達は一瞬ポカーンとしていたが、飛び起きた仲間を見て震えだす。
「よかった、よかったよおぉぉぉ」
泣き崩れる者、黙って泣く者が居た。他にも3名の重傷者が居たが、同じ様に治してやる。
皆、アシノとユモトに感謝を述べていた。
「イタヤ様、アシノ様、本当にありがとうございました!! でも、俺、情けないです。こんな怪我を……」
「気にすんなって、冒険者に怪我は付き物だ。今回はアシノさん達が居て運が良かったけどな!」
ハッハッハとイタヤは笑って肩を叩く。
「この魔法は莫大な魔力を使います。軽症者の方は、他の方の回復魔法で治療を受けて下さい」
そう言い残してアシノ達は宿屋へと戻り、部屋の一室でユモトが音の妨害魔法を張った。
モモは早く本題に入りたくてウズウズしている。
「さて、ムツヤの件だが……」
「ムツヤ殿は、ムツヤ殿は無事なのでしょうか!?」
「あぁ、無事だと思うぞ」
思わず言ってしまったモモに対し、あっけらかんとアシノは返す。
面食らってしまい固まったモモにアシノは説明を入れてやる。
「仮にだ、殺すのが目的だとしたら、あの場でやっているはずだ。それをわざわざかっ攫うとしたら何か考えがあるんだろう」
それを聞いて確かにとモモは少し安堵したが、それをまた不安にさせたのはルーだ。
「ムツヤっち攫われて、解剖実験とかされてないかしら?」
「か、解剖実験!?」
「いや、可能性は無くはないが、アイツのことだから上手い事、抵抗するだろ」
アシノの発言にまたモモは安堵する。
「そ、そうですよね!!」
「何にせよ、早くムツヤくんを助けなくちゃいけないな」
「あぁ、そうだな」
イタヤとウリハもそう言ってくれて心強かった。