翼竜討伐 1
文字数 1,333文字
ここは冒険者ギルドの闘技場、モモが試験でルーの召喚した精霊と戦った場所だ。人払いは済んでいるので今はムツヤ達しかいない。
訓練用の木刀を持ち、ムツヤは体を伸ばして戦いに備える。ギルドマスターのトウヨウは目を閉じて精神を集中していた。
モモとユモトは固唾を飲んで見守り、ヨーリィは興味があるのか無いのかオレンジジュースを飲みながらぼんやりと眺めていた。
武器は木刀のみ、魔法の使用は無しの一般的な剣士の試合だ。両方が相当な実力者ということを除いては、だが。
「それでは準備は良いですね? 試合開始ー!」
ルーが威勢よく言うと同時にムツヤはトウヨウ目掛けて一直線に突っ走る。
縦に振り下ろされたムツヤの木刀はトウヨウの頭を捉えていた。
トウヨウはそれを木刀で受け止めると斜めに切り下ろすように反撃をする。ムツヤもそれを受け止め、身をよじって足元を狙う。
そんなやり取りが数回続いた時、突然バキィッという音がした。二人の持っていた木刀が同時に折れてしまったのだ。それを見てトウヨウは笑った。
「どうやら木刀では手合わせにもならんらしい」
笑いをやめるとトウヨウは真面目な顔をして言う。
「お前さえ良ければ、真剣でどうだ?」
ユモトとモモに緊張が走る、ムツヤは強いし、どんな傷でも治る薬はあったが、万が一という事もある。
「お互い鎧を着て、剣と魔法の使用も自由にしよう。恥ずかしい話、年甲斐もなく滾 ってしまった」
「わがりまじた」
お互い準備をするために試合は中断になった。そして少しの時が経ち、両者は本気で戦うための格好になった。
トウヨウは青いフルプレートアーマーに身を包み、両手剣を持っている。ムツヤは軽装の鎧と、片手剣を持つ。
「それでは仕切り直してー…… 試合開始!」
トウヨウは鎧の重さを少しも感じさせない機敏な動きで迫る。軽々と両手剣を振り下ろすがムツヤは横っ飛びでそれをかわす。
そのままムツヤは胴を剣で横切りにしようとするが、両手剣で弾かれてさっと後ろに引く、その最中にも炎の玉を数十発も発射した。
トウヨウは左手に魔法無効化の術式を作り上げるとそれをかざして全ての火の玉を消し飛ばす。
モモは夢中でその戦いを見ている。不謹慎ながらムツヤが怪我をしたらどうしようという考えはどこかへ飛んでしまった。
実力者同士の戦いはこんなにも圧巻され、美しいものかと考えていた。
二人の剣戟により、闘技場には金属音が響いていた。両者一歩も譲らず、この戦いは永遠に続くのではないかとさえ思えたが。
トウヨウの振り下ろした両手剣にムツヤは右拳を叩き込む。その瞬間、両手剣は殴られた所を中心に真っ二つに折れてしまった。
「はーい、武器が破損したので試合しゅうーりょー」
戦いはあっけなく終わってしまった。トウヨウは折れた剣を見てハハハと大声で笑う。
「す、すみません。剣折っちゃって!!」
ムツヤは慌てて剣をしまいトウヨウの元へと駆け寄る。
「いや、良いんだ。見事な技だ、初めて見た」
トウヨウは折れた剣を鞘に戻して、改めてムツヤの方を見て言う。
「ムツヤ、お前の強さは分かった。改めて翼竜の討伐を依頼したい」
ムツヤは体の奥からじんわりとした高揚感を感じながら元気よく返事をする。
「はい!!」
訓練用の木刀を持ち、ムツヤは体を伸ばして戦いに備える。ギルドマスターのトウヨウは目を閉じて精神を集中していた。
モモとユモトは固唾を飲んで見守り、ヨーリィは興味があるのか無いのかオレンジジュースを飲みながらぼんやりと眺めていた。
武器は木刀のみ、魔法の使用は無しの一般的な剣士の試合だ。両方が相当な実力者ということを除いては、だが。
「それでは準備は良いですね? 試合開始ー!」
ルーが威勢よく言うと同時にムツヤはトウヨウ目掛けて一直線に突っ走る。
縦に振り下ろされたムツヤの木刀はトウヨウの頭を捉えていた。
トウヨウはそれを木刀で受け止めると斜めに切り下ろすように反撃をする。ムツヤもそれを受け止め、身をよじって足元を狙う。
そんなやり取りが数回続いた時、突然バキィッという音がした。二人の持っていた木刀が同時に折れてしまったのだ。それを見てトウヨウは笑った。
「どうやら木刀では手合わせにもならんらしい」
笑いをやめるとトウヨウは真面目な顔をして言う。
「お前さえ良ければ、真剣でどうだ?」
ユモトとモモに緊張が走る、ムツヤは強いし、どんな傷でも治る薬はあったが、万が一という事もある。
「お互い鎧を着て、剣と魔法の使用も自由にしよう。恥ずかしい話、年甲斐もなく
「わがりまじた」
お互い準備をするために試合は中断になった。そして少しの時が経ち、両者は本気で戦うための格好になった。
トウヨウは青いフルプレートアーマーに身を包み、両手剣を持っている。ムツヤは軽装の鎧と、片手剣を持つ。
「それでは仕切り直してー…… 試合開始!」
トウヨウは鎧の重さを少しも感じさせない機敏な動きで迫る。軽々と両手剣を振り下ろすがムツヤは横っ飛びでそれをかわす。
そのままムツヤは胴を剣で横切りにしようとするが、両手剣で弾かれてさっと後ろに引く、その最中にも炎の玉を数十発も発射した。
トウヨウは左手に魔法無効化の術式を作り上げるとそれをかざして全ての火の玉を消し飛ばす。
モモは夢中でその戦いを見ている。不謹慎ながらムツヤが怪我をしたらどうしようという考えはどこかへ飛んでしまった。
実力者同士の戦いはこんなにも圧巻され、美しいものかと考えていた。
二人の剣戟により、闘技場には金属音が響いていた。両者一歩も譲らず、この戦いは永遠に続くのではないかとさえ思えたが。
トウヨウの振り下ろした両手剣にムツヤは右拳を叩き込む。その瞬間、両手剣は殴られた所を中心に真っ二つに折れてしまった。
「はーい、武器が破損したので試合しゅうーりょー」
戦いはあっけなく終わってしまった。トウヨウは折れた剣を見てハハハと大声で笑う。
「す、すみません。剣折っちゃって!!」
ムツヤは慌てて剣をしまいトウヨウの元へと駆け寄る。
「いや、良いんだ。見事な技だ、初めて見た」
トウヨウは折れた剣を鞘に戻して、改めてムツヤの方を見て言う。
「ムツヤ、お前の強さは分かった。改めて翼竜の討伐を依頼したい」
ムツヤは体の奥からじんわりとした高揚感を感じながら元気よく返事をする。
「はい!!」