キエーウ最終決戦 1

文字数 1,058文字

 1人で考えていても何もわからない、ムツヤは連絡石でアシノに石で話をする。

「アシノさん!! 亜人の人達に襲われています!!」

「多分、操られてるんだろう。そうだ! あのハリセンを使え!!」

「わがりまじだ!!」

 ムツヤは剣を納め、代わりに取り出したハリセンを右手に持つ。

 襲いかかってきた獣人の頭をそれでスッパーンと叩くと、気を失ったのか地面に倒れる。

「いける」とムツヤは思った。このまま全ての亜人の頭を叩けば良いと。

「そこまでだ」

 亜人の群れの中から人間の男が1人出てきた。

 その手に握られているものにムツヤは見覚えがある。知能の高い魔物を操ることができる杖だ。

「今すぐ亜人の人達を元に戻せ!!」

「君、状況わかってる?」

 男は杖を振る。すると亜人達は互いに向き合って剣や弓を構えあった。

「降参しろ、でなければ亜人達に殺し合いをさせる」

 その言葉を聞いてムツヤは血の気が引いた。この状況下でどうすれば良いのか分からない。

「カバンを置いて去れ。10秒やる。10、9、8」

 男はカウントダウンを始めた。ムツヤは叫ぶ。

「やめろ、やめろおおお!!!」

「1、ゼロ。時間切れだ」

 ムツヤの目の前のオークと獣人の一組が互いに剣を振り下ろした。

 目にも留まらぬ速さでムツヤはオークと獣人の間に入り、素手で武器を叩き壊した。

「ごめんなさい!!」

 そう言ってハリセンで頭を叩くと2人は地面に倒れる。

「噂以上だ、だが次はそうはいかない。少しでも動けば全員を殺す」

 ムツヤは言われて身動きが取れなくなってしまった。冷や汗が吹き出すのが自分でも分かった。

「カバンを地面に置け、このエルフに取りに行かせる。お前は1歩も動くな」

 命令を無視して男を睨みつけていると杖を振りかざす。

 亜人達が互いに武器を振り上げた。

「わがっだ!!!」

 ムツヤが言うとそれは止まる。地面にカバンをドサッと落とすと男はニヤリと笑う。

「戦いなんてしないで始めからこうしとけば良かったんだ」

「やめろムツヤ!!!」

 そんな中、ムツヤを止める声があった。アシノだ。

「そのカバンがキエーウの手に渡ったら大変なことになる!!」

「ですが、渡さないと亜人の人達が!!」

 アシノは苦虫を噛み潰したような顔をして言う。

「そいつ達は…… 仕方がないんだ!!!」

「そんなっ!!」

 ムツヤが言うとアシノ達は皆うつむいていた。

「災厄の壺を壊さなければ全ての亜人が死ぬ。だからっ!!!」

「はいはい、お話はそこまでだ」

 男は見せしめとばかりに一組の亜人を斬りつけ合わせた。鮮血が吹き出でその2人は倒れる。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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