絆 3
文字数 1,494文字
残りの食材を街の店で買いたいところだが、商品の入荷が無いからだろうか、高額な上に少量しか売っていなかった。
「山菜を集めるのも手ですが、時間が掛かりますね」
ユモトが言うとルーは腕を組んで考える。その隣でムツヤが思い出したかのようにカバンに手を入れて物を取り出す。
「そうだ、俺が小さい頃に集めていたこれとか食べられるかも知れません」
手に握られていたのは祖父に教わった食べられるキノコと山菜だった。
「でかした、ムツヤっち!!」
ルーは嬉しさのあまり、ムツヤに抱きつく。
「る、ルー殿!!」
「あぁ、ゴメンゴメン。嬉しくってついね」
孤児院から持ってきたカゴに食材を詰めてムツヤ達は帰った。
「まぁ、こんなに」
先生はたくさんの食材に驚きの声を上げる。
「ルー姉ちゃんすげー!!」
「このルーお姉ちゃんと勇者アシノにかかればちょろいもんよ!」
両手を腰に当ててルーは胸を張る。ムツヤ達は孤児院の台所を借りて調理を始めた。
「それじゃあ早速料理をしますね」
そう言ってユモトは山菜の下処理を始めた。なれた手付きで筋や硬い部分を剥ぎ、水につけてアク抜きをする。
モモや孤児院の女中もそれを手伝う。アシノとルーは外でバーベキューの準備をしていた。
「よーし、みんなで枝拾い競争よー!!」
「はーい!」
流石にルーは子供の扱いに慣れている。ヨーリィとムツヤは肉塊をナイフで小さく切り始めた。
外のコンロに火が灯り、その上に網が置かれる。子供たちは待ちきれない様子だ。
「ねぇ、アシノ。お肉がたくさんあるし街の人も呼びたいんだけど」
「勝手にしろ」
「やったー!! みんなー、街のお友達も連れてきなさーい」
返事をすると子供たちは元気よく走り出していった。
「勇者アシノがみんなにご飯をごちそうしてくれるって!」
「勇者アシノ様が炊き出しをしてくれるそうだ」
「勇者アシノ様が街を救ってくださるらしいぞ!」
話に尾ひれが付いて孤児院には多くの街の住人が集まり、アシノは勝手に街を救う事にされてしまっていた。
「うっわー、思った以上に人が来たわね」
まるで他人事のようにルーは言う。
「どうすんだこれ、食材足りるのか?」
「そんなもん、どさくさに紛れてムツヤっちに出してもらえば大丈夫よ!」
孤児院の前でまるで祭りのように炊き出しが始まる。外のコンロだけでは足りずに急遽あちこちで焚き火をして肉を炙った。
「この肉おいしー!! ねぇ何の肉なの?」
「イノシシの肉よ!! 取りたてだから美味しいのよ!!」
まさか自分たちが高級食材である翼竜の肉や、裏ダンジョンの魔物の肉を食べているとは誰ひとりとして思っていないだろう。
ムツヤは額に汗を流しながら肉をドンドン切り分ける。ヨーリィは涼しい顔をしてそれを住人に配った。
ユモトは大鍋を何個も使ってスープを作っている。山菜と豆と根菜のスープだ。
「お嬢ちゃんのスープはうまいな、ウチの孫の嫁に来てくれんか?」
「あ、あの、僕男なので……」
みんながワイワイと騒いで食事を楽しむ、それを見てルーは満足そうな顔をしていた。
「ルー殿、皆さん笑顔で食べていますね」
モモが言うとうんうんとルーは頷いて言う。
「やっぱりお腹がすくのって辛いからね、たくさん食べられるってのは幸せなことなのよ」
食事が終わる頃、そういえばとムツヤはカラフルなこんぺいとうを取り出した。
これは裏ダンジョンで取れたものだが、ただのこんぺいとうだ。
「みんなー、ムツヤお兄ちゃんからおやつよー」
甘いものが好きな子供は喜んでムツヤのもとに群がっていく。
「甘くておいしー!!」
「おいしいね」
子供の笑顔にムツヤは心が満たされる感じがした。
「山菜を集めるのも手ですが、時間が掛かりますね」
ユモトが言うとルーは腕を組んで考える。その隣でムツヤが思い出したかのようにカバンに手を入れて物を取り出す。
「そうだ、俺が小さい頃に集めていたこれとか食べられるかも知れません」
手に握られていたのは祖父に教わった食べられるキノコと山菜だった。
「でかした、ムツヤっち!!」
ルーは嬉しさのあまり、ムツヤに抱きつく。
「る、ルー殿!!」
「あぁ、ゴメンゴメン。嬉しくってついね」
孤児院から持ってきたカゴに食材を詰めてムツヤ達は帰った。
「まぁ、こんなに」
先生はたくさんの食材に驚きの声を上げる。
「ルー姉ちゃんすげー!!」
「このルーお姉ちゃんと勇者アシノにかかればちょろいもんよ!」
両手を腰に当ててルーは胸を張る。ムツヤ達は孤児院の台所を借りて調理を始めた。
「それじゃあ早速料理をしますね」
そう言ってユモトは山菜の下処理を始めた。なれた手付きで筋や硬い部分を剥ぎ、水につけてアク抜きをする。
モモや孤児院の女中もそれを手伝う。アシノとルーは外でバーベキューの準備をしていた。
「よーし、みんなで枝拾い競争よー!!」
「はーい!」
流石にルーは子供の扱いに慣れている。ヨーリィとムツヤは肉塊をナイフで小さく切り始めた。
外のコンロに火が灯り、その上に網が置かれる。子供たちは待ちきれない様子だ。
「ねぇ、アシノ。お肉がたくさんあるし街の人も呼びたいんだけど」
「勝手にしろ」
「やったー!! みんなー、街のお友達も連れてきなさーい」
返事をすると子供たちは元気よく走り出していった。
「勇者アシノがみんなにご飯をごちそうしてくれるって!」
「勇者アシノ様が炊き出しをしてくれるそうだ」
「勇者アシノ様が街を救ってくださるらしいぞ!」
話に尾ひれが付いて孤児院には多くの街の住人が集まり、アシノは勝手に街を救う事にされてしまっていた。
「うっわー、思った以上に人が来たわね」
まるで他人事のようにルーは言う。
「どうすんだこれ、食材足りるのか?」
「そんなもん、どさくさに紛れてムツヤっちに出してもらえば大丈夫よ!」
孤児院の前でまるで祭りのように炊き出しが始まる。外のコンロだけでは足りずに急遽あちこちで焚き火をして肉を炙った。
「この肉おいしー!! ねぇ何の肉なの?」
「イノシシの肉よ!! 取りたてだから美味しいのよ!!」
まさか自分たちが高級食材である翼竜の肉や、裏ダンジョンの魔物の肉を食べているとは誰ひとりとして思っていないだろう。
ムツヤは額に汗を流しながら肉をドンドン切り分ける。ヨーリィは涼しい顔をしてそれを住人に配った。
ユモトは大鍋を何個も使ってスープを作っている。山菜と豆と根菜のスープだ。
「お嬢ちゃんのスープはうまいな、ウチの孫の嫁に来てくれんか?」
「あ、あの、僕男なので……」
みんながワイワイと騒いで食事を楽しむ、それを見てルーは満足そうな顔をしていた。
「ルー殿、皆さん笑顔で食べていますね」
モモが言うとうんうんとルーは頷いて言う。
「やっぱりお腹がすくのって辛いからね、たくさん食べられるってのは幸せなことなのよ」
食事が終わる頃、そういえばとムツヤはカラフルなこんぺいとうを取り出した。
これは裏ダンジョンで取れたものだが、ただのこんぺいとうだ。
「みんなー、ムツヤお兄ちゃんからおやつよー」
甘いものが好きな子供は喜んでムツヤのもとに群がっていく。
「甘くておいしー!!」
「おいしいね」
子供の笑顔にムツヤは心が満たされる感じがした。