下剋上 5
文字数 1,119文字
「俺だけじゃない、皆も逃してあげたいんだ」
ナツヤが言うとフユミトは頷く。
「わかった、部屋まで戻ろう」
2人が部屋に戻ると皆起きてざわついていた。
「皆!! ここから逃げられるぞ!!」
ナツヤが言うと、1人の鉱夫が聞いた。
「お前、何やったんだ!?」
「現場監督と護衛は死んだ!!」
聞いた鉱夫は驚いて目を丸くする。そして、その言葉に更にざわつく部屋。
「お、お前が殺したのか!?」
「違う、いや、そうかもしれないけど……」
「僕が説明しようか?」
フユミトの助け舟にナツヤは乗った。フユミトは照明魔法を使い、部屋を明るくしてから説明を始める。
「そ、そんな話信じられるか!!」
説明が終わると1人の鉱夫がそう言った。
「外に行けば分かりますよ」
フユミトの言葉に部屋が静まり返る。
「そ、それに逃げるったって、どこにだ!? 俺みたいなのがどこで何をして生きていけば良いんだ!?」
鉱夫達の心にあったのは、自由になれるという甘い誘惑と、ここから逃げ出したとして生きていけるのかといった不安だ。
「皆さん。ここの鉱脈を支配している貴族が憎くありませんか?」
フユミトが喋る度に部屋が静かになる。
「貴族を襲撃して、今まで奪われた分を奪い返すのです。ナツヤの力があればそれが出来る」
全員を見渡してフユミトは続けて言った。
「金品を奪ったら、他の国にでも逃げて、そこで暮せば良い。このまま鉱脈で死ぬまで生きるか、可能性に賭けるか、どちらか選んで下さい」
しばらく沈黙が続いた後、オークの鉱夫が立ち上がった。
「俺は!! 俺は行く!! こんな惨めな人生は価値がない!!」
「俺も、もうこんな場所懲りごりだ!!」
「俺だって、騙されてここに来たんだ!!」
次々と立ち上がる鉱夫達。それを見てナツヤにも熱い感情が湧き上がる。
そうだ、俺達は奪われたんだ、金も時間も、人生も尊厳も、それらを奪い返す。
「僕達は外に行きます。付いていきたい人は付いてきて下さい」
フユミトが外に出ると、ナツヤも続いて出ていった。その後を1人、また1人と付いていく。
結局、部屋に居たほぼ全員が付いてきた。そして外に出ると魔物達と黒い鎧の騎士を見て驚く者、腰を抜かす者が居た。
「彼らは仲間です。危害を加えてきません」
フユミトの話を信じていなかった訳では無いが、実際に目にすると恐怖が出てくる鉱夫達。
「騎士さん……。そう言えば名前を聞いてなかった、名前は?」
ナツヤが尋ねると、騎士は言う。
「我々魔物には名がありません。人間は私のことをデュラハンと呼んでいるそうですが」
聞いたことがある。首と胴体が繋がっていない騎士だ。そう言われるとナツヤは納得した。
「デュラハン、俺達をここから連れ出してくれ!!」
ナツヤが言うとフユミトは頷く。
「わかった、部屋まで戻ろう」
2人が部屋に戻ると皆起きてざわついていた。
「皆!! ここから逃げられるぞ!!」
ナツヤが言うと、1人の鉱夫が聞いた。
「お前、何やったんだ!?」
「現場監督と護衛は死んだ!!」
聞いた鉱夫は驚いて目を丸くする。そして、その言葉に更にざわつく部屋。
「お、お前が殺したのか!?」
「違う、いや、そうかもしれないけど……」
「僕が説明しようか?」
フユミトの助け舟にナツヤは乗った。フユミトは照明魔法を使い、部屋を明るくしてから説明を始める。
「そ、そんな話信じられるか!!」
説明が終わると1人の鉱夫がそう言った。
「外に行けば分かりますよ」
フユミトの言葉に部屋が静まり返る。
「そ、それに逃げるったって、どこにだ!? 俺みたいなのがどこで何をして生きていけば良いんだ!?」
鉱夫達の心にあったのは、自由になれるという甘い誘惑と、ここから逃げ出したとして生きていけるのかといった不安だ。
「皆さん。ここの鉱脈を支配している貴族が憎くありませんか?」
フユミトが喋る度に部屋が静かになる。
「貴族を襲撃して、今まで奪われた分を奪い返すのです。ナツヤの力があればそれが出来る」
全員を見渡してフユミトは続けて言った。
「金品を奪ったら、他の国にでも逃げて、そこで暮せば良い。このまま鉱脈で死ぬまで生きるか、可能性に賭けるか、どちらか選んで下さい」
しばらく沈黙が続いた後、オークの鉱夫が立ち上がった。
「俺は!! 俺は行く!! こんな惨めな人生は価値がない!!」
「俺も、もうこんな場所懲りごりだ!!」
「俺だって、騙されてここに来たんだ!!」
次々と立ち上がる鉱夫達。それを見てナツヤにも熱い感情が湧き上がる。
そうだ、俺達は奪われたんだ、金も時間も、人生も尊厳も、それらを奪い返す。
「僕達は外に行きます。付いていきたい人は付いてきて下さい」
フユミトが外に出ると、ナツヤも続いて出ていった。その後を1人、また1人と付いていく。
結局、部屋に居たほぼ全員が付いてきた。そして外に出ると魔物達と黒い鎧の騎士を見て驚く者、腰を抜かす者が居た。
「彼らは仲間です。危害を加えてきません」
フユミトの話を信じていなかった訳では無いが、実際に目にすると恐怖が出てくる鉱夫達。
「騎士さん……。そう言えば名前を聞いてなかった、名前は?」
ナツヤが尋ねると、騎士は言う。
「我々魔物には名がありません。人間は私のことをデュラハンと呼んでいるそうですが」
聞いたことがある。首と胴体が繋がっていない騎士だ。そう言われるとナツヤは納得した。
「デュラハン、俺達をここから連れ出してくれ!!」