黎明の呼び手 2

文字数 797文字

 偽物勇者、ジョンと出会ってから二週間が経った。

 ムツヤ達は裏の道具を順調に集めている。そして今日も赤い玉を使った勇者たちの談合が始まった。

 そこで、勇者イタヤから気になる情報が入る。

「そういえば、最近『黎明の呼び手』を名乗ってる連中が、冒険者が拾った裏の道具を横取りしてるって噂がありますね」

 それを聞いて元勇者のトチノハも話す。

「その噂、確かに聞き及んでいます」

「黎明の呼び手ですか……」

 魔人と化したナツヤが作った集団は、元は革命軍のような物だったが、形を変え魔人を崇拝する者達の総称になり始めていた。

「一刻も早く裏の道具を回収せねばなりませんね」

 アシノが言うと皆が頷く。



 話し合いが終わり、寝るかと思った頃。ギルスから連絡が入った。

「皆、夜遅くにすまない。遠い場所だが、動く裏の道具の反応が複数あった」

 アシノがその報告に言葉を返す。

「動く裏の道具、冒険者が見つけて所持している可能性は?」

「いや、近くの冒険者ギルドへ向かっている感じではないね。黎明の呼び手かもしれない」

「まずい事になったな……」

 アシノが考え事をしている横でルーが騒いでいた。

「もー!! せっかく休もうとしてたのにー!!!」

「仕方がないな。その反応の元へと向かうか」

「やー!!!」

 アシノが言うとルーは駄々をこねる。

「ムツヤ、悪いが先に行って偵察してきてくれ」

「わがりまじだ!!」

 風のようにムツヤが飛び出し、アシノ達は馬車に乗ってその後を追った。



 ムツヤは探知盤を取り出して、その反応へと向かう。千里眼で見える距離まで詰めると、相手を観察した。

「アシノさん、見つけました!!」

 連絡石でムツヤはアシノと話す。

「どんな奴だ?」

「黒いフードを被った人達です!! 数十人は居ます!!」

「冒険者……、ではなさそうだな。ムツヤ、充分に注意しながら戦ってみてくれ」

「わがりまじだ!!」

 ムツヤは一気にその集団へと突っ込んだ。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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