蜘蛛と男 7
文字数 1,390文字
そして、ヨーリィもめちゃくちゃに振り回される棍棒と蜘蛛の糸に翻弄され近づけずにいた。
「面倒だな、まずはあのアラクネを倒すぞ」
アシノはビンのフタを飛ばし、ルーとユモトも魔法で雷と氷柱を飛ばす。
氷柱がアラクネの頬をかすめて緑色の体液が流れる。それを見た瞬間、男が大声を出した。
「うがああああああああああああああ」
男は棍棒で地面を叩くと地割れが起きた。それを見たアシノはまずいと思い、命令を出す。
「いったん距離を取るぞ!」
前衛のムツヤ達は後ろに下がる。ルーが精霊を召喚して男を襲わせるが次々に消し飛ばされていった。
「おいお前!! よく聞け、お前はそのアラクネに騙されているんだ!!」
「な、な、ナリアはだましてない!!」
「そいつは人の形をしているがモンスターなんだ!! 目を覚ませ!!」
「ちがう、ちがう、ちがう!!!!!!!!!」
男はこちらに特攻してきた。もはや衝突は避けられない。
アサヒの村に男の子が産まれた。男の子はノエウと名付けられる。
ノエウは村長と愛人との間の隠し子だ。村を街にしたい村長からすればそれだけでも厄介だった。
隠れて育てられたノエウだったが、人の口に戸は立てられず。一部の村人はノエウの存在を知っていたが、村長の圧力で知らぬふりをするしかなかった。
ノエウは言葉を覚えるのも遅く、そしてろくな愛情も知らぬまま、10歳になった頃、夜中に村を追い出される。
途方に暮れていたノエウだったが、森の中での暮らしは彼に合っていたようで「村から追い出せば野垂れ死ぬだろう」と考えていた村長の考えとは裏腹に、ひと目を避けながらノエウは長い月日を森の中で生きた。
ある日、食べ物を探して森をうろついていたノエウは、ばったりとアラクネと出会った。初めて見るその姿に腰を抜かした。
「な、な、なんだお前!!」
しかしアラクネは襲いかかるでも逃げるでもせず、その場で足をたたんでうずくまっていた。
どうやら弱っている事を悟ったノエウは何気なくアラクネに獲物の肉を差し出す。
アラクネはその肉を食べるとまたうずくまる。ノエウは毎日アラクネに食事と水を運び、世話をしてやり話しかけた。返事は1回も貰えず、アラクネは。
「あっ……あ……」
とかすれた声を出すだけだったが。
しばらくして、アラクネは自分で動けるほどに回復をした。ノエウは心からそれを喜んだ。
「お、お前やっぱり話できないのか?」
「あ……」
「お、俺もは、話すの苦手、だからいっしょだな」
そう言ってノエウは笑った、また返事は「あ……」としか帰ってこない。
「お、お前名前はないのか?」
「あー」
「お、おれ、ずっと考えてたんだけど、ナリアって呼んでもいいか?」
ナリア、それは唯一知っているおとぎ話に出てくる女の子の名前だった。
「あ……」
「よし、お前の名前はナリアだ!」
それからアラクネのナリアはノエウの後を付いて回るようになる。
会話は出来なかったが、自分を馬鹿にせず気味悪がらずにいてくれたナリアはノエウにとって最高の理解者であった。
ノエウとナリアは共に食事をし、共に森を歩き、夜は寄り添って寝る。
ナリアは一緒にいると餌が手に入ると考えているのか、もしくは感情も無く、何も考えていないのかわからないが、ノエウから離れることはない。
そしてノエウは自分でもその感情が何か分かっていなかったが、ナリアに恋心を抱いていた。
「面倒だな、まずはあのアラクネを倒すぞ」
アシノはビンのフタを飛ばし、ルーとユモトも魔法で雷と氷柱を飛ばす。
氷柱がアラクネの頬をかすめて緑色の体液が流れる。それを見た瞬間、男が大声を出した。
「うがああああああああああああああ」
男は棍棒で地面を叩くと地割れが起きた。それを見たアシノはまずいと思い、命令を出す。
「いったん距離を取るぞ!」
前衛のムツヤ達は後ろに下がる。ルーが精霊を召喚して男を襲わせるが次々に消し飛ばされていった。
「おいお前!! よく聞け、お前はそのアラクネに騙されているんだ!!」
「な、な、ナリアはだましてない!!」
「そいつは人の形をしているがモンスターなんだ!! 目を覚ませ!!」
「ちがう、ちがう、ちがう!!!!!!!!!」
男はこちらに特攻してきた。もはや衝突は避けられない。
アサヒの村に男の子が産まれた。男の子はノエウと名付けられる。
ノエウは村長と愛人との間の隠し子だ。村を街にしたい村長からすればそれだけでも厄介だった。
隠れて育てられたノエウだったが、人の口に戸は立てられず。一部の村人はノエウの存在を知っていたが、村長の圧力で知らぬふりをするしかなかった。
ノエウは言葉を覚えるのも遅く、そしてろくな愛情も知らぬまま、10歳になった頃、夜中に村を追い出される。
途方に暮れていたノエウだったが、森の中での暮らしは彼に合っていたようで「村から追い出せば野垂れ死ぬだろう」と考えていた村長の考えとは裏腹に、ひと目を避けながらノエウは長い月日を森の中で生きた。
ある日、食べ物を探して森をうろついていたノエウは、ばったりとアラクネと出会った。初めて見るその姿に腰を抜かした。
「な、な、なんだお前!!」
しかしアラクネは襲いかかるでも逃げるでもせず、その場で足をたたんでうずくまっていた。
どうやら弱っている事を悟ったノエウは何気なくアラクネに獲物の肉を差し出す。
アラクネはその肉を食べるとまたうずくまる。ノエウは毎日アラクネに食事と水を運び、世話をしてやり話しかけた。返事は1回も貰えず、アラクネは。
「あっ……あ……」
とかすれた声を出すだけだったが。
しばらくして、アラクネは自分で動けるほどに回復をした。ノエウは心からそれを喜んだ。
「お、お前やっぱり話できないのか?」
「あ……」
「お、俺もは、話すの苦手、だからいっしょだな」
そう言ってノエウは笑った、また返事は「あ……」としか帰ってこない。
「お、お前名前はないのか?」
「あー」
「お、おれ、ずっと考えてたんだけど、ナリアって呼んでもいいか?」
ナリア、それは唯一知っているおとぎ話に出てくる女の子の名前だった。
「あ……」
「よし、お前の名前はナリアだ!」
それからアラクネのナリアはノエウの後を付いて回るようになる。
会話は出来なかったが、自分を馬鹿にせず気味悪がらずにいてくれたナリアはノエウにとって最高の理解者であった。
ノエウとナリアは共に食事をし、共に森を歩き、夜は寄り添って寝る。
ナリアは一緒にいると餌が手に入ると考えているのか、もしくは感情も無く、何も考えていないのかわからないが、ノエウから離れることはない。
そしてノエウは自分でもその感情が何か分かっていなかったが、ナリアに恋心を抱いていた。