王都の皆には内緒だよ! 5

文字数 1,060文字

「私は使いますよぉー、裏の道具にキョーミありますしぃー」

 カミクガは意外にも乗り気だった。クサギもうーんと考えて言う。

「わかりました。ウチも使いこなせるかわかりませんが、使います」

 後はサツキだけだが、その勇者は浮かない顔をしている。

「サツキ、お前はどうなんだ?」

「あ、はい! もちろん魔物を倒すためだったら私も使います」

 アシノは短く「そうか」と言った。

「裏の道具は試練の塔で手に入れた事にしておけ」

「試練の塔は1人だけで登る場所、私はともかくクサギやカミクガの分は……」

「そこなんだよ、私が思い浮かんだもう一つの作戦は」

 ニヤッとアシノは笑って言う。

「試練の塔で魔物に効く武器を手に入れたって事にして、私達で使っちまうんだよ」

「なるほど、それなら堂々と使っても怪しまれませんね」

 クサギは手をポンと打って、なるほどと納得する。

「そろそろ見回りでもしないと怪しまれる。私はここまでだ。後はお前達で裏の道具を見繕ってくれ」

 ムツヤ達を見てアシノは言った。ルーは「任せといてー」と返事をする。

「裏の道具って使い手を選ぶのよ。例えば魔力の伝導率ほぼ100パーセントの杖とか、魔剣とか」

 それを聞いてサツキ達はゴクリと生唾を飲んだ。実力には自信があったが、使いこなせるかと。

「ちなみに、モモちゃんが持ってるのは切れ味の良い裏の剣と無力化の盾ね」

「無力化の盾!? それも本当に実在していたのですね」

 盾にそこまで詳しくないサツキでも名前を知っている代物だ。

「そこで、私の助手に登場して貰います」

 ルーは赤い宝石を木に叩きつけた。するとまた長方形の枠が現れる。2度目なのでサツキ達も驚かない。

「はいはい、どうもはじめまして。元武器屋のギルスです」

 サツキ達は「あぁ、どうも……」と挨拶を返した。

「サツキちゃんは風魔法の使い手だから、それに見合ったものを。ムツヤっち!!」

「はい!!」

 ムツヤがカバンをゴソゴソと手を突っ込んで探すと、一振りの剣を取り出した。

「これなんかどうでしょう? 握ると風が吹き出るんですけど」

 その剣を見てギルスはため息をついた。あれ? ダメだったかなとムツヤは思うが。

「ムツヤくん。それ、レプリカじゃなければ魔剣『カミカゼ』……」

「魔剣カミカゼェ!?」

 サツキは変な声を上げた。風を使う者に伝わる伝説の武器だ。

「わ、私がカミカゼを……」

 ムツヤは魔剣『カミカゼ』をサツキに手渡す。

「引き抜く前に少し離れた方が良いよ。力が暴走するかもしれないからね」

 ギルスの言う通り、サツキは皆から離れて魔剣を引き抜いた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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