剣と盾 1

文字数 1,238文字

「飛んで行っちゃったけど大丈夫かしら……」

 あまりに急のことでアシノ達はヨーリィが飛んでいった方角を見つめることしか出来なかった。

「ヨーリィなら多分、上手いことやってくれているだろう」

 念の為、防御壁を張り続けているユモトの代わりにルーが探知盤を見る。

「ヨーリィちゃんが飛んでいった方向に2つ反応が向かっていってるわ!」

「よし、私達も行くぞ!」



 森の中で既に事切れている男、そのそばにはヨーリィが居た。男から裏の道具である弓矢を回収し1人で立っていた。

 ヨーリィは探知盤を持っていなかったが、森の中を進む不穏な気配を察知している。


(イラスト:くさかんむり先生)


 アシノ達は大きな音を聞いて立ち止まった。メキメキという大木が倒れる音だ。それが何度も聞こえてくる。

「この音は……」

 モモが言うとアシノが推測を答える。

「多分だが、裏の道具を持って調子に乗ったやつが暴れてるんだろう。急ぐぞ!」

 音の鳴る方へ皆走る。そして言葉を失った。

 まるで大嵐でも通り過ぎたように木々がなぎ倒されている。

「ヨーリィ! 何処だ!」

 アシノが大声を出すが、返事はなく。人影が1つコチラへ向かってヨロヨロと歩いてきた。

「ごめんなさい、魔力が尽きた」

 ヨーリィだった。モモが走って抱きかかえるとヨーリィが表情を作っていた、今まで見たことが無いような苦しそうな顔だ。

「おいおい、イモってんじゃねーぞ!!」

 ヨーリィの後ろから声が聞こえる。それと共に木がコチラに向かってメキメキと倒れてきた。

「暴れ過ぎですよ」

 もう1つ声が聞こえる。最低でも2人敵がいた。アシノはユモトに命令をする。

「ユモト! あっちに向かって照明弾を打ち上げろ!」

「はい、わかりました!」

 パスンパスンとユモトが照明弾を打ち上げると、その光に照らされた人影が見えた。どちらもキエーウの証である仮面を被っている。

 1人は刀身が2メートルはあろうかという両手剣を持ち、もう1人は棺桶の先を尖らせた様な大きな盾を持っていた。

「やれやれ、まだこの裏の道具達の能力を理解していないというのに……」

 盾を持つ男がそう言うと、剣を持った男が笑って答える。

「そうか? 俺は分かったぞ?」

 そして両手剣で木を切りつけたが、刃は空を切る様にすっと通り、木は何事も無かったかのように立ち続けていた。

「切れ味がメチャクチャ良い! それだけで十分じゃねーか!」

 木の切れ目より上を蹴り飛ばすとグラっと揺れて倒れる。

「面倒だな、遠距離で片付けるぞ」

 アシノはパンパンとワインボトルをフタを飛ばし、ユモトとルーも遅れて魔法の氷や雷を飛ばす。

「これはさっき偶然分かったことなのですがね」

 盾を持つ男は盾の先端を地面にザクッと突き刺した。すると盾が何十倍にも大きく膨張し、全ての攻撃を弾く。

「地面に突き刺すと、大きくなる。他にも何か能力はあるのかもしれませんが」

「へぇ、一筋縄では行かなそうね」

 ルーは余裕そうに言ったが、内心焦っていた。何か攻撃の手立てを考えなければと。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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