VS邪神サズァン 3

文字数 979文字

 まだ戦うことを躊躇(ためら)っているムツヤ。

「ムツヤ!! サズァンを倒さないと世界が終わるぞ!!!」

 アシノが叫んで喝を入れる。

「サズァン様!! やめてください!!!」

 光弾を分厚い防御壁で防ぎながらムツヤは言う。

「ムツヤ!!! 本気で戦いなさい!!」

 サズァンは魔力で紫色に光る槍を作り出し、ムツヤ目掛けて投げた。

 防御壁に突き刺さり、ヒビが入る。それ目掛けてサズァンは飛び蹴りをした。

 砕け散る防御壁。

 ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』を引き抜いて横薙ぎに斬り払った。

「そうよ、良いわねムツヤ!!」

 高らかに笑いながらサズァンは宙を飛ぶ。今度は剣を作り出して、ムツヤに急降下した。

 剣と剣がぶつかり合い、ビリビリとした衝撃が辺りに広がる。

 裏の道具が無効化されているからだろうか、魔剣からは炎が吹き出ない。

 だが、頑丈な剣としての役目は果たしている。

 超速で光弾を打ちながら、部屋を縦横無尽に動き回るサズァン。ムツヤはその動きに付いていき、雷撃を飛ばした。

 サズァンはそれが直撃するも、傷ひとつ負っていない。

 そんな勝負の傍らで、ルーは長い詠唱をし、精霊を召喚していた。

「いけっ!!」

 巨大な土塊で出来た精霊をサズァンの元へ向かわせる。ヨーリィも木の杭をそこら中に投げ散らかした。

「無駄よ」

 サズァンが蹴ると、精霊はいとも簡単に破壊されてしまった。杭による攻撃もまるで意味を成していない。

「力が違いすぎるわね……」

 仲間は自分達では何も出来ないことを悟っていたが、確信に変わる。

「ムツヤ、何を躊躇(ためら)っているの?」

 まだまだ本気を出していないムツヤにサズァンはため息を吐いた。

「いいわ、そっちがそのつもりなら、私はあなたの大切な仲間を一人ずつ殺していくわ」

 そう言ってサズァンはアシノ達の元へ近寄る。

「や、やめっ!!」

 ムツヤはその後を追いかけて剣を振り上げた。

「やめろおぉぉぉ!!!」

 思い切り剣を振り下ろす。サズァンはさっと避けてしまうが、ニヤリと笑う。

「良いわ、その調子よ!! どちらの考えが正義か、決めようじゃない!!!」

 サズァンは剣を振り回し、片手間に業火をムツヤに飛ばす。

 武器のぶつかり合う音が部屋に響き渡る。

「サズァン様……。サズァン様でも……」

 ムツヤは目を(つむ)り、大きく開いた。それと同時に青いオーラを全身に(まと)う。

「皆を傷付けることはさせない!!!」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み