ルマでの戦い 7

文字数 1,211文字

 青い鎧の冒険者は街外れから一直線に東門へ向かってやってきた。

 途中にいる魔物たちは腕で足で弾かれて吹き飛んでいく。

 大きなトロールが、まるでその辺のゴミを蹴り飛ばすかの様だ。

「な、なんだありゃ!?」

 その無茶苦茶な戦い方を見たイタヤは驚きを隠せなかった。ムツヤの力がこれ程までに圧倒的だったとは。

 ムツヤを仕留めるために翼竜部隊が動き出した。10匹程のそれらはムツヤに向かって急降下をする。

 しかし、ムツヤの敵ではなかった。軽々と1匹の首を落とすと、次は右手で頭を殴り、骨を粉砕する。

 イタヤが援護しようと思う間に、翼竜は壊滅させられてしまっていた。

「は、はは、マジで凄いな……」

 苦笑いをしながら、自分も目の前の敵を片付けていく。

 そんな時だ、空がまた怪しく紫色に光り、小さな人影が降りてきた。

「おいでなすったわね、ドエロスミス将軍!!」

 ドエロスミス将軍、もとい、魔人ギュウドーだ。

「まったく、あなたがいると遊ぶこともできませんね」

 髪をかき上げてそう言うと、一気に地上に向けて降りてきた。ムツヤはギュウドー目掛けて走る。

「一騎打ちといきましょうか」

 槍を取り出して迎え撃つギュウドー。ムツヤも抜剣して飛びかかった。

 重い金属がぶつかる音が鳴り響くと同時に、業火が2人を包む。

 火が消えるとムツヤとギュウドーはつばぜり合いをしていた。

「この前のように上手くいくと思わないでくださいよ?」

 涼しい顔をしてギュウドーは言うと、ムツヤは思う。相手は確実にこの前よりも強くなっていると。

 互いに武器に力を入れると、2人は弾かれあった。後ろに2回飛び跳ねてムツヤは距離を取る。

 ギュウドーが空に片手を上げると複数の呪文が浮かび上がり、光の剣がムツヤに向かって降り注いだ。

 ムツヤが片足で地面を思い切り踏むと、防御壁が現れ、それらを全て防ぐ。

 光の剣に紛れてギュウドーも槍を持ち突進をしてきた。その切っ先が防御壁に当たると同時にヒビが入る。

 そのまま連続で槍を突き出すと、防御壁は完全に粉々に砕けてしまった。

 無数に出される突きをムツヤは全て躱しているが、劣勢に見える。

「どうする、加勢したほうが良いのか!?」

 イタヤがモモとルーに問いかけると、返事をしたのはルーだった。

「私達が行っても邪魔になると思うわ。心配ないわ、大丈夫よ」

「えぇ、そうですね」

 モモも不安であったが、ルーに同意する。

「そうか、それじゃ俺達は魔物に集中するぞ!!」

 ムツヤは剣を握り、反撃に出た。恐ろしい速さでカン、ガキンと剣と槍がぶつかり合う音が辺りに響く。

「どうしたんですか? あなたの実力はその程度じゃないでしょう?」

 ギュウドーはニヤリと笑ってムツヤを煽る。

「そろそろお互い本気を出しませんか?」

「あぁ、わかった」

 ムツヤは返事をして、叫んだ。全身に魔力が巡り、強烈な身体強化が起きた。

「これやると動けなくなるから嫌だったけんど、やってやる!!!」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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