裏の道具の自由研究 5
文字数 1,452文字
ヨーリィは赤面するでも感謝の言葉を出すでもなく「んっ」と声を漏らして目線をムツヤから逸らして下を向いた。
「何ていうか。一癖も二癖もある奴等ばかり仲間にしてるよな、お前って」
「あら、その一癖も二癖もって奴にあなたは入っているのかしら?」
メイド服を着たままの召喚術師『ルー』が居間に入ってきた。そしてアシノの隣にドカッと座る。
「うーん、疲れたもー」
「うるさいな、私は変わり者だって自覚はあるけど、自分よりも変わり者には言われたくないね」
アシノは顔を正面に向けたまま瞳だけを左に移動させルーを見た。
「はいはい、所で誰かお茶入れてお茶。もう研究疲れでクッタクタよ」
「お茶を淹れるならお前が一番ふさわしい格好をしてるぞ」
確かにメイド服を着ているルーは、お茶を持ってくるのには一番似合う格好をしている。
「これは研究の片付けが捗るから着てるだけ、良いからお茶持ってきて」
「私が淹れてきます」
そう言ってヨーリィはソファを立って台所へと向かう。その背中にルーは「いやー、ありがとね」と声を掛けた。
「そうそう、それとお夕飯食べ終わったら裏の道具について分かったことを皆に伝えたいんだけど」
「何か掴めたのか?」
ルーは頬杖をしながら気だるそうに話す。
「それがぜーんぜんなのよねー、取り敢えずご飯の後のお楽しみって所で」
うーんと言いながらルーは背伸びをしている。アシノはそれ以上裏の道具についての追求はせずにまた正面を向いた。
「ムツヤさん、ムツヤさーん?」
いつの間にかムツヤはソファの上で寝てしまっていたみたいだ。ユモトに肩をポンポンと叩かれ目を覚ました。
「あ、あぁ、ユモトさん」
顔を手で抑えて目をこすり、ゆっくりと開ける。魔法の照明のおかげで夜なのに部屋は昼間みたいに明るい。
「おはようございます」
ユモトはその部屋の照明よりも眩しい笑顔を作っていた。いつものローブがよく似合っている。
「ご飯が出来たので食堂に来て下さい」
「わがりましだ」
頭が冴えてくると、自分は空腹だったことをムツヤは思い出し、ユモトの後をついていく。
元々ギルドで使っていただけの事はあり、食堂は10人ぐらいは入れる広さがあった。
「あぁ、ムツヤ殿お待ちしていました」
入り口の横で生気を失っているモモがムツヤに声を掛けた。メイド服から着替えて黒のTシャツと青色のキュロットを身に着けている。
「モモさん、どうかしたんですか? 調子でも悪いんですか?」
「いえ、大丈夫、大丈夫です。ははは」
モモはムツヤと目を合わせず、遠くを見て言った。
「あのー、何かあったんですか?」
「お前は自分の胸に手を当てて考えてみろ」
そうアシノがムツヤに言うと不思議そうな顔をしながらムツヤは言われた通り胸に手を当ててみる。
そうか、こいつは『慣用句』を知らないのかとアシノは額に手をあてた。
「もしかして、俺はまたモモさんに失礼な事でもしまじだか?」
「いえ、全然そんな事はありませんよ!」
見ているとじれったいこの2人と、夕食のおあずけを食らっているアシノは面倒くさそうに助け舟を出す。
「ムツヤ、いいからモモに謝っておけ」
「ごめんなさいモモさん」
モモはムツヤが謝る時の、まるで捨て犬のような感じに物凄く弱い。
「ずるいですよ」
ムツヤに聞こえない程度の小声でぼそっとモモは言う。
「私は何も怒っていませんから、ユモト私も運ぶのを手伝うぞ」
優しい笑顔を作ってモモは言うと、台所から料理を運ぶユモトの手伝いを始めた。
ヨーリィもその小さな体で大きな皿を持って運んでいる。
「何ていうか。一癖も二癖もある奴等ばかり仲間にしてるよな、お前って」
「あら、その一癖も二癖もって奴にあなたは入っているのかしら?」
メイド服を着たままの召喚術師『ルー』が居間に入ってきた。そしてアシノの隣にドカッと座る。
「うーん、疲れたもー」
「うるさいな、私は変わり者だって自覚はあるけど、自分よりも変わり者には言われたくないね」
アシノは顔を正面に向けたまま瞳だけを左に移動させルーを見た。
「はいはい、所で誰かお茶入れてお茶。もう研究疲れでクッタクタよ」
「お茶を淹れるならお前が一番ふさわしい格好をしてるぞ」
確かにメイド服を着ているルーは、お茶を持ってくるのには一番似合う格好をしている。
「これは研究の片付けが捗るから着てるだけ、良いからお茶持ってきて」
「私が淹れてきます」
そう言ってヨーリィはソファを立って台所へと向かう。その背中にルーは「いやー、ありがとね」と声を掛けた。
「そうそう、それとお夕飯食べ終わったら裏の道具について分かったことを皆に伝えたいんだけど」
「何か掴めたのか?」
ルーは頬杖をしながら気だるそうに話す。
「それがぜーんぜんなのよねー、取り敢えずご飯の後のお楽しみって所で」
うーんと言いながらルーは背伸びをしている。アシノはそれ以上裏の道具についての追求はせずにまた正面を向いた。
「ムツヤさん、ムツヤさーん?」
いつの間にかムツヤはソファの上で寝てしまっていたみたいだ。ユモトに肩をポンポンと叩かれ目を覚ました。
「あ、あぁ、ユモトさん」
顔を手で抑えて目をこすり、ゆっくりと開ける。魔法の照明のおかげで夜なのに部屋は昼間みたいに明るい。
「おはようございます」
ユモトはその部屋の照明よりも眩しい笑顔を作っていた。いつものローブがよく似合っている。
「ご飯が出来たので食堂に来て下さい」
「わがりましだ」
頭が冴えてくると、自分は空腹だったことをムツヤは思い出し、ユモトの後をついていく。
元々ギルドで使っていただけの事はあり、食堂は10人ぐらいは入れる広さがあった。
「あぁ、ムツヤ殿お待ちしていました」
入り口の横で生気を失っているモモがムツヤに声を掛けた。メイド服から着替えて黒のTシャツと青色のキュロットを身に着けている。
「モモさん、どうかしたんですか? 調子でも悪いんですか?」
「いえ、大丈夫、大丈夫です。ははは」
モモはムツヤと目を合わせず、遠くを見て言った。
「あのー、何かあったんですか?」
「お前は自分の胸に手を当てて考えてみろ」
そうアシノがムツヤに言うと不思議そうな顔をしながらムツヤは言われた通り胸に手を当ててみる。
そうか、こいつは『慣用句』を知らないのかとアシノは額に手をあてた。
「もしかして、俺はまたモモさんに失礼な事でもしまじだか?」
「いえ、全然そんな事はありませんよ!」
見ているとじれったいこの2人と、夕食のおあずけを食らっているアシノは面倒くさそうに助け舟を出す。
「ムツヤ、いいからモモに謝っておけ」
「ごめんなさいモモさん」
モモはムツヤが謝る時の、まるで捨て犬のような感じに物凄く弱い。
「ずるいですよ」
ムツヤに聞こえない程度の小声でぼそっとモモは言う。
「私は何も怒っていませんから、ユモト私も運ぶのを手伝うぞ」
優しい笑顔を作ってモモは言うと、台所から料理を運ぶユモトの手伝いを始めた。
ヨーリィもその小さな体で大きな皿を持って運んでいる。