最強の力 1
文字数 712文字
(イラスト:東原望美先生)
アシノとイタヤ達はそれぞれ城への侵入へ成功した。ムツヤの居場所を求めて城内を走る。
城内の兵や使用人には睡眠薬や魔法で眠ってもらい、3階建ての城を
途中互いに連絡石で会話をした。
「こちらアシノ、皆さん何か手がかりはありましたか?」
「イタヤです。何もありませんね」
「ユモトです! こちらも何も……」
「ルーよ!! 何もないわねー」
これで残すは最上階の大きな扉の先だけになった。
皆がそこに集合し、イタヤが先頭を切って扉を開ける。
漂ってきたのは腐敗臭だった。
「こりゃひでえな……」
顔をしかめてイタヤが言った。きらびやかな服を着た男が斬り殺されている。
おそらくは城主だろう。死んで数日立ったぐらいと言った所だろうか。
部屋に入るとユモトは1回えずいたが、気丈に振る舞う。
何か情報は無いかと調べると、開けっ放しの扉をサワが見つけた。
「皆さん、ここ!!」
「隠し扉か……」
アシノが言ってイタヤを見ると、頷いて返した。
「全員で行くのは危険です。俺とウリハが行ってきます。サワ、中に照明弾を頼む」
「わかりました!」
薄暗い通路が明るくなると、イタヤは扉の奥へと入っていく。
「何だここは……!?」
隠し部屋の先は牢屋のようだ。
それと共に置かれているのは、何に使うのか想像もしたくない、人を傷つける為だけに作られた器具たちだ。
「魔人が置いていったのか? それとも城主が……」
ウリハが言うと圧倒されていたイタヤが我に返った。
「あぁ、どちらにせよ素晴らしい趣味をお持ちだ」
器具はまだしも、牢は元からあったものだろう。だが、城主はもう死んでいるし、今はこの一件は置いておくことにする。