蜘蛛と男 3
文字数 1,501文字
「失礼ですが、勇者アシノ様ですか?」
「えぇ、そうですが?」
若い男だった、アシノが返事をすると話を進める。
「私は村長の使いの者です。村長が勇者アシノ様に挨拶をしたいと言っているのですが……」
「わかりました、今からでも良いですか?」
「はい、ご案内します」
男の案内でムツヤ達は周りの家よりも一回り大きい家に着いた。
「村長、アシノ様達をお連れしました」
戸を開けて中に案内される。そこそこ立派な部屋に村長と思わしき老人が座っていた。
「おぉ、いらっしゃいましたか。本来であれば私から出向くのが筋ですが、足が悪くてですね」
「いえ、お気になさらず。お久しぶりです。あと彼等は冒険者仲間です」
いつものかったるそうな態度は何処へやら、礼節の正しさは流石は勇者だなと思わせるものがあった。
「お仲間の皆様もどうも、それでアシノ様をお呼びしたのは……、お願いをしたい事がありまして……」
村長は歯切れが悪く言った、当然アシノは聞き返す。
「ご依頼でしたらギルドを通して冒険者を募集なさってはいかがでしょうか?」
「いえ、実は内密にお願いをしたい事がありまして……」
「内密ですか?」
アシノは訝しげに聞く、相変わらず村長は何かを言いづらそうにしている。
「その、実はですね……、村の1人が蜘蛛の化け物に化かされてしまいまして」
「蜘蛛の化け物……、もしかしてアラクネの事ですか?」
アシノが言い直すと村長はゆっくりと頷いた。
「こんな事が村の外に知れたら村の恥です。そこでどうか、勇者アシノ様に内密の内に蜘蛛の化け物を退治していただけないかと思いまして」
そういう事かとアシノは目を閉じる。
「あのー、ちょっと質問いいですかー?」
ルーが手を上げて言った。
「はい、何でしょう」
村長は視線をルーの方へ向けて返事をする。
「アラクネって今はとても珍しい魔物なんですけど、なぜ突然現れたのでしょうか?」
「それは私達にもわかりません。ですが、住民から見たという報告が多く来ておりますので確かだと思います」
「なるほど……」
アシノは何かを考えて、決断する。
「わかりました、引き受けましょう」
「おぉ、流石は勇者アシノ様です!!」
村長は喜び、案内をした男はホッとした顔をする。
「では、今日は宿屋に泊まった後に明日から捜索を開始します」
「えぇ、よろしくお願いします」
話がまとまり、ムツヤ達は村長の家を後にした。宿屋までの道中やたら人に見られた気がするが、皆アシノが目当てだろう。
「お疲れ様、勇者アシノ様」
「だからそう言うのやめろ」
宿屋のベッドに座りルーは意地悪っぽくアシノに言う。
ムツヤ達は片方の部屋に集まり、話をしていた。
「でもどうして依頼を受けるつもりになったのよー、確かにアラクネは珍しいから見てみたいけどさー」
「あの、アラクネって何ですか?」
ムツヤが言うとヨーリィ以外全員ぽかんとした顔をしたが、知らないのも無理はないと説明を始める。
「アラクネって言うのはですね、上半身が女性で下半身が蜘蛛の魔物です」
ユモトが言うとルーはムツヤに質問をする。
「ムツヤっちの裏ダンジョンにはそういうモンスター居なかったの?」
「えぇ、見たこと無いですね」
ルーは「ふーん」と言った後に宙を見つめていた。
「あの、女性ってことは人の形をしているって事ですよね? そのアラクネって亜人さんとは違うのですか?」
「あー、そこから説明しないとダメか」
やれやれとアシノは頭をかいた後にムツヤに説明をしてやる。
「亜人の定義ってのは、まぁ法律で決まっていて色々あるんだが。知性があるかどうか。会話が出来るとか、理性があるかとかだな」
ムツヤはあれっと思い質問をした。
「えぇ、そうですが?」
若い男だった、アシノが返事をすると話を進める。
「私は村長の使いの者です。村長が勇者アシノ様に挨拶をしたいと言っているのですが……」
「わかりました、今からでも良いですか?」
「はい、ご案内します」
男の案内でムツヤ達は周りの家よりも一回り大きい家に着いた。
「村長、アシノ様達をお連れしました」
戸を開けて中に案内される。そこそこ立派な部屋に村長と思わしき老人が座っていた。
「おぉ、いらっしゃいましたか。本来であれば私から出向くのが筋ですが、足が悪くてですね」
「いえ、お気になさらず。お久しぶりです。あと彼等は冒険者仲間です」
いつものかったるそうな態度は何処へやら、礼節の正しさは流石は勇者だなと思わせるものがあった。
「お仲間の皆様もどうも、それでアシノ様をお呼びしたのは……、お願いをしたい事がありまして……」
村長は歯切れが悪く言った、当然アシノは聞き返す。
「ご依頼でしたらギルドを通して冒険者を募集なさってはいかがでしょうか?」
「いえ、実は内密にお願いをしたい事がありまして……」
「内密ですか?」
アシノは訝しげに聞く、相変わらず村長は何かを言いづらそうにしている。
「その、実はですね……、村の1人が蜘蛛の化け物に化かされてしまいまして」
「蜘蛛の化け物……、もしかしてアラクネの事ですか?」
アシノが言い直すと村長はゆっくりと頷いた。
「こんな事が村の外に知れたら村の恥です。そこでどうか、勇者アシノ様に内密の内に蜘蛛の化け物を退治していただけないかと思いまして」
そういう事かとアシノは目を閉じる。
「あのー、ちょっと質問いいですかー?」
ルーが手を上げて言った。
「はい、何でしょう」
村長は視線をルーの方へ向けて返事をする。
「アラクネって今はとても珍しい魔物なんですけど、なぜ突然現れたのでしょうか?」
「それは私達にもわかりません。ですが、住民から見たという報告が多く来ておりますので確かだと思います」
「なるほど……」
アシノは何かを考えて、決断する。
「わかりました、引き受けましょう」
「おぉ、流石は勇者アシノ様です!!」
村長は喜び、案内をした男はホッとした顔をする。
「では、今日は宿屋に泊まった後に明日から捜索を開始します」
「えぇ、よろしくお願いします」
話がまとまり、ムツヤ達は村長の家を後にした。宿屋までの道中やたら人に見られた気がするが、皆アシノが目当てだろう。
「お疲れ様、勇者アシノ様」
「だからそう言うのやめろ」
宿屋のベッドに座りルーは意地悪っぽくアシノに言う。
ムツヤ達は片方の部屋に集まり、話をしていた。
「でもどうして依頼を受けるつもりになったのよー、確かにアラクネは珍しいから見てみたいけどさー」
「あの、アラクネって何ですか?」
ムツヤが言うとヨーリィ以外全員ぽかんとした顔をしたが、知らないのも無理はないと説明を始める。
「アラクネって言うのはですね、上半身が女性で下半身が蜘蛛の魔物です」
ユモトが言うとルーはムツヤに質問をする。
「ムツヤっちの裏ダンジョンにはそういうモンスター居なかったの?」
「えぇ、見たこと無いですね」
ルーは「ふーん」と言った後に宙を見つめていた。
「あの、女性ってことは人の形をしているって事ですよね? そのアラクネって亜人さんとは違うのですか?」
「あー、そこから説明しないとダメか」
やれやれとアシノは頭をかいた後にムツヤに説明をしてやる。
「亜人の定義ってのは、まぁ法律で決まっていて色々あるんだが。知性があるかどうか。会話が出来るとか、理性があるかとかだな」
ムツヤはあれっと思い質問をした。