因縁 1
文字数 1,210文字
ムツヤ達一行は宿場街を出て次なる街へと向かう。キエーウに対抗するため、探知盤の石をスーナの街を中心にして時計回りに埋めていく為だ。
「あの街はさっさと出るつもりだったが、思わぬ足止めを食らったな」
「すみません、僕のせいで……」
アシノが言うとユモトは身を縮こませて申し訳無さそうにした。
「いや、だいたいはムツヤのせいだ」
「すみません……」
今度はムツヤがペコペコ謝っていた。しかしアシノは口ではそう言っているが実際の所あまり怒ってはいない。
みんな心身共に疲労が溜まっていたので、しっかりとした宿で休む事は必要なことだった。
「次はクロースという村だ」
アシノが言うとモモは浮かない顔をした。ルーはそれに気付いて言葉をかける。
「クロースはエルフが多い村だけど、あそこのエルフは他の種族にも友好的だから心配しなくても大丈夫よ! 多分」
「いえ、大丈夫です」
モモは短く返事をした。ムツヤは何のことか分からなかったので首を傾げている。
「オークとエルフは昔から何かと因縁があるんだ」
「そうなんですか」
ムツヤはアシノに説明をされてもいまいちピンと来ない。
「まぁ、何百年も前の話だ。つってもエルフは長命だから生きている間に争いを経験した奴もいるかもしれんが」
「もう平等宣言がされてから100年も経つのよ? 大丈夫よ」
この時、ムツヤ達はまた大きな争いに巻き込まれることを知らずにいた。
半日ほど歩いてムツヤ達はエルフの多い村であるクロースに着いた。入り口のエルフの衛兵に呼び止められて身分証を見せる。
モモは自分の番になった時少し緊張したが、特に嫌な顔もされずに村へ通された。
それよりむしろアシノの身分を知って衛兵は驚いていた。
「俺、エルフの人って初めで見だがもしれません」
ムツヤが少し興奮気味に言うとアシノは説明をしてやる。
「あぁ、エルフはあまり生まれ故郷を離れることはしないからな」
ムツヤはお得意の千里眼を使ってそこら中のエルフを眺めていた。そして疑問を持つ。
「エルフの人って耳が長い人ばかりだと思っていたんですけど、そうじゃない人もいるんですね」
「エルフは耳が長いものだってイメージがあるけど、意外と人間と同じ様な耳と長い耳が半々ぐらいなのよ」
ムツヤは「へぇー」と言って歩き続ける。宿屋を見つけてそこへ立ち寄った。
「いらっしゃいませー」
長い金髪の美しいエルフが出迎えてくれた。
ムツヤはにへらとデレデレした顔になる。それを見てモモは咳払いをしたが、アホのムツヤは気付く様子は無い。
「3人部屋を2つ取りたいのですが、空きはありますか?」
アシノが言うとニコッと笑って答える。
「はい、ございます。ご案内いたしますね。カノイ、お客様をご案内して」
「はーい、お母さん」
そう言って出てきたエルフは人間の見た目で言えば二十歳前後だろう。そしてお母さんと言われたエルフもそれぐらいの年に見える。母子というより姉妹にしか見えない。
「あの街はさっさと出るつもりだったが、思わぬ足止めを食らったな」
「すみません、僕のせいで……」
アシノが言うとユモトは身を縮こませて申し訳無さそうにした。
「いや、だいたいはムツヤのせいだ」
「すみません……」
今度はムツヤがペコペコ謝っていた。しかしアシノは口ではそう言っているが実際の所あまり怒ってはいない。
みんな心身共に疲労が溜まっていたので、しっかりとした宿で休む事は必要なことだった。
「次はクロースという村だ」
アシノが言うとモモは浮かない顔をした。ルーはそれに気付いて言葉をかける。
「クロースはエルフが多い村だけど、あそこのエルフは他の種族にも友好的だから心配しなくても大丈夫よ! 多分」
「いえ、大丈夫です」
モモは短く返事をした。ムツヤは何のことか分からなかったので首を傾げている。
「オークとエルフは昔から何かと因縁があるんだ」
「そうなんですか」
ムツヤはアシノに説明をされてもいまいちピンと来ない。
「まぁ、何百年も前の話だ。つってもエルフは長命だから生きている間に争いを経験した奴もいるかもしれんが」
「もう平等宣言がされてから100年も経つのよ? 大丈夫よ」
この時、ムツヤ達はまた大きな争いに巻き込まれることを知らずにいた。
半日ほど歩いてムツヤ達はエルフの多い村であるクロースに着いた。入り口のエルフの衛兵に呼び止められて身分証を見せる。
モモは自分の番になった時少し緊張したが、特に嫌な顔もされずに村へ通された。
それよりむしろアシノの身分を知って衛兵は驚いていた。
「俺、エルフの人って初めで見だがもしれません」
ムツヤが少し興奮気味に言うとアシノは説明をしてやる。
「あぁ、エルフはあまり生まれ故郷を離れることはしないからな」
ムツヤはお得意の千里眼を使ってそこら中のエルフを眺めていた。そして疑問を持つ。
「エルフの人って耳が長い人ばかりだと思っていたんですけど、そうじゃない人もいるんですね」
「エルフは耳が長いものだってイメージがあるけど、意外と人間と同じ様な耳と長い耳が半々ぐらいなのよ」
ムツヤは「へぇー」と言って歩き続ける。宿屋を見つけてそこへ立ち寄った。
「いらっしゃいませー」
長い金髪の美しいエルフが出迎えてくれた。
ムツヤはにへらとデレデレした顔になる。それを見てモモは咳払いをしたが、アホのムツヤは気付く様子は無い。
「3人部屋を2つ取りたいのですが、空きはありますか?」
アシノが言うとニコッと笑って答える。
「はい、ございます。ご案内いたしますね。カノイ、お客様をご案内して」
「はーい、お母さん」
そう言って出てきたエルフは人間の見た目で言えば二十歳前後だろう。そしてお母さんと言われたエルフもそれぐらいの年に見える。母子というより姉妹にしか見えない。