ここをキャンプ地としよう 4
文字数 1,752文字
「行っちゃったね」
「そうね、お兄ちゃん」
親バカ組が消えて静かになった後は、特に話すこともなく、交代の時間までゆっくり過ごしていた。
「ムツヤ殿、お疲れさまです」
モモとリースが家から出てきた。ムツヤは椅子から立ち上がると眠気を感じてふわーっとあくびをする。
「後は私達が見張りをします。どうぞごゆっくりとお休みください。ヨーリィもご苦労だったな」
「それじゃよろしくおねがいします。テントに戻ろうかヨーリィ」
「うん、お兄ちゃん」
家に戻ると焚き火の前にモモとリースが座る。何か話題でも無いかとモモは話をしてみた。
「リース、何か聞きたいことは無いか? 分からないこと、困っていること、何でも良いぞ」
「何でもかぁ」
うーんと、リースは考えてモモに聞いてみる。
「モモはムツヤさんの事が好きなのけ?」
瞬間、モモはぽかんとした顔をし、しばらくするとアワアワと赤面をして言い返した。
「な、なにうぇを、何を言っているんだりりリース? そ、そんな証拠なんてあるのか?」
リースは思った、これは図星だべと。
「いや、普通に見ていたらわがるよ」
「そ、そんな事はないぞ。私はムツヤ殿の従者と言うだけで嫌いではないし、好きではあるが、あくまで恋愛感情としてではなく人として好きというか」
「あんのぉ、わたす恋愛感情とか言っでねーんだげど」
モモは自爆してしまったと思っていた。
リースは意地の悪い笑顔をして目を輝かせていた。
「やっぱ好きなんだべか!!」
「いや、違う、違くはないが違う!!」
「ムツヤさんとの馴れ初めを教えてほしいべ!」
「な、馴れ初めって…… まぁいい。旅の昔話をしてやる」
モモは咳払いをしてここ最近のことを思い出し、リースに語った。
――
――――
――――――
「なるほどなぁ、とても信じられないことばっかりだげど、本当の事なんだな」
まるでおとぎ話を聞いているようにリースは実感が沸かなかった。
「そうだ、ムツヤ殿と会ってから信じられないことの連続だ」
「モモもキエーウの…… 人間に仲間を…… 殺されちまっだんだな」
「……そうだ」
少し気まずくなってしまった。そしてリースは突然頭を下げる。
「私もキエーウに入っていただ、本当にすまねぇ!!」
「あ、いや、良いんだ。リースが悪いわけではない」
そうだ、リースも亜人に両親を殺されていた。
だからといってキエーウに入って良い理由にはならないが、少なくともその一件がなければリースはキエーウに入っていなかっただろう。
「私、今なら思うんだ。人間が亜人を奴隷なんかにしていたからこんな事になってるんだって」
「100年も前の話だ」
オークの寿命は人間とほぼ同じなのでモモはその時代を知らない。だがエルフなどの長命の種族の中にはその時代を生きたものも大勢いる。
「憎しみの連鎖は私達の世代で断ち切らなくてはならない」
モモが言うとリースは顔を上げた。
「あ、あぁ、そうだな!!」
まもなく夜が明け、地平線の向こうから光が差し込んでくる。その光は2人を照らすだろう。
たまには朝食の用意でもしようと、モモはリースと共に料理をしていた。
その匂いに釣られたのかムツヤが部屋から出てくる。
「ふわーあ、おはようございます。モモさんリースさん」
「あ、ムツヤさんおはようございまず!」
似たような訛りでリースは挨拶を返す。
「おはようございますムツヤ殿」
「今日はモモさんのお料理ですかー」
「はい、ユモトほど美味しくはないかもしれませんが……」
少し自信がなさげにモモは言う。
「いやいや、モモさんのお料理も俺好きですよ」
モモが「そうですか」と言って顔を赤くするのをリースは見逃さなかった。皆もぞろぞろとテントから出てきて全員で朝食を摂る。
「ひょうはいよいよヒエーウほのけっへんね!(今日はいよいよキエーウとの決戦ね!)」
ルーがハムスターの様に頬に食べ物を貯めながら喋った。
「決戦って言ってもムツヤを送り込んで暴れさせるだけだから私達は暇だがな」
「本当にムツヤさん1人で大丈夫なんでしょうか?」
ユモトは心配そうにしていたが、ムツヤは何てことなしに料理を食べている。
「下手に私達が付いていったほうが足手まといになる」
「それはそうですが……」
ユモトはアシノの言葉に一抹の不安を感じずにはいられなかった。
「そうね、お兄ちゃん」
親バカ組が消えて静かになった後は、特に話すこともなく、交代の時間までゆっくり過ごしていた。
「ムツヤ殿、お疲れさまです」
モモとリースが家から出てきた。ムツヤは椅子から立ち上がると眠気を感じてふわーっとあくびをする。
「後は私達が見張りをします。どうぞごゆっくりとお休みください。ヨーリィもご苦労だったな」
「それじゃよろしくおねがいします。テントに戻ろうかヨーリィ」
「うん、お兄ちゃん」
家に戻ると焚き火の前にモモとリースが座る。何か話題でも無いかとモモは話をしてみた。
「リース、何か聞きたいことは無いか? 分からないこと、困っていること、何でも良いぞ」
「何でもかぁ」
うーんと、リースは考えてモモに聞いてみる。
「モモはムツヤさんの事が好きなのけ?」
瞬間、モモはぽかんとした顔をし、しばらくするとアワアワと赤面をして言い返した。
「な、なにうぇを、何を言っているんだりりリース? そ、そんな証拠なんてあるのか?」
リースは思った、これは図星だべと。
「いや、普通に見ていたらわがるよ」
「そ、そんな事はないぞ。私はムツヤ殿の従者と言うだけで嫌いではないし、好きではあるが、あくまで恋愛感情としてではなく人として好きというか」
「あんのぉ、わたす恋愛感情とか言っでねーんだげど」
モモは自爆してしまったと思っていた。
リースは意地の悪い笑顔をして目を輝かせていた。
「やっぱ好きなんだべか!!」
「いや、違う、違くはないが違う!!」
「ムツヤさんとの馴れ初めを教えてほしいべ!」
「な、馴れ初めって…… まぁいい。旅の昔話をしてやる」
モモは咳払いをしてここ最近のことを思い出し、リースに語った。
――
――――
――――――
「なるほどなぁ、とても信じられないことばっかりだげど、本当の事なんだな」
まるでおとぎ話を聞いているようにリースは実感が沸かなかった。
「そうだ、ムツヤ殿と会ってから信じられないことの連続だ」
「モモもキエーウの…… 人間に仲間を…… 殺されちまっだんだな」
「……そうだ」
少し気まずくなってしまった。そしてリースは突然頭を下げる。
「私もキエーウに入っていただ、本当にすまねぇ!!」
「あ、いや、良いんだ。リースが悪いわけではない」
そうだ、リースも亜人に両親を殺されていた。
だからといってキエーウに入って良い理由にはならないが、少なくともその一件がなければリースはキエーウに入っていなかっただろう。
「私、今なら思うんだ。人間が亜人を奴隷なんかにしていたからこんな事になってるんだって」
「100年も前の話だ」
オークの寿命は人間とほぼ同じなのでモモはその時代を知らない。だがエルフなどの長命の種族の中にはその時代を生きたものも大勢いる。
「憎しみの連鎖は私達の世代で断ち切らなくてはならない」
モモが言うとリースは顔を上げた。
「あ、あぁ、そうだな!!」
まもなく夜が明け、地平線の向こうから光が差し込んでくる。その光は2人を照らすだろう。
たまには朝食の用意でもしようと、モモはリースと共に料理をしていた。
その匂いに釣られたのかムツヤが部屋から出てくる。
「ふわーあ、おはようございます。モモさんリースさん」
「あ、ムツヤさんおはようございまず!」
似たような訛りでリースは挨拶を返す。
「おはようございますムツヤ殿」
「今日はモモさんのお料理ですかー」
「はい、ユモトほど美味しくはないかもしれませんが……」
少し自信がなさげにモモは言う。
「いやいや、モモさんのお料理も俺好きですよ」
モモが「そうですか」と言って顔を赤くするのをリースは見逃さなかった。皆もぞろぞろとテントから出てきて全員で朝食を摂る。
「ひょうはいよいよヒエーウほのけっへんね!(今日はいよいよキエーウとの決戦ね!)」
ルーがハムスターの様に頬に食べ物を貯めながら喋った。
「決戦って言ってもムツヤを送り込んで暴れさせるだけだから私達は暇だがな」
「本当にムツヤさん1人で大丈夫なんでしょうか?」
ユモトは心配そうにしていたが、ムツヤは何てことなしに料理を食べている。
「下手に私達が付いていったほうが足手まといになる」
「それはそうですが……」
ユモトはアシノの言葉に一抹の不安を感じずにはいられなかった。