サンライトレジェンド 8
文字数 1,032文字
そんな時だった、ムツヤがふと人の気配を感じる。
「誰か来ましたね」
アシノはユモトの探知盤を見た。だが、裏の道具の反応はまだ遠い。他の入山者だとは思うが、警戒をする。
歩いて出てきたのはエルフの男だった。ムツヤは覚えていないが、ユモトはあっと声を出す。
「あ、あなたは!! もしかして街で会った人?」
「やぁ、覚えておいてくれて嬉しいよ」
ムツヤとユモトがぼったくりの店に入りそうになったのを助けてくれたエルフだ。だが、アシノは何かに気付いてワインボトルを構える。
「お前ら!! 敵だっ!!」
一瞬、皆は何が起きているのか分からなかったが、アシノが言うので警戒をした。
「アシノ様も覚えていてくださったんですね」
「忘れるわけないだろう。こいつは元勇者『トチノハ』の仲間だよ」
「えっ? えぇ!?」
ユモトは驚いて声を上げるが、確かにアシノが攫われた時に見たような気もする。
「居るんだろ、トチノハ。出てこい」
アシノが言うと、トチノハと、モモの父であるネックが出てきた。
「っ!! 父上……」
ネックは何も言わずにモモを見る。アシノは問う。
「何の用だ。お前ら」
「俺達はキエーウの残党一派を追いかけていました。サンライトに逃げたって聞きましてね」
「キエーウの残党だと? ムツヤのカバンが狙いなんじゃないのか?」
アシノが聞くと、エルフの男、キヌが答えた。
「我々の望みは、亜人がこの国で正当な権利を得ること、不当な扱いを受けないことです。ムツヤくんのカバン、裏の道具もその手段の1つに過ぎませんでした」
「どういう事だ?」
「事情が変わったのですよ。魔人の残した武具。まぁ裏の道具がばら撒かれてしまった今、まずは、それをどうにかしないといけません」
アシノとキヌは会話を続ける。
「信じられんな」
「我々が裏の道具も持たずにこんな人気の無い場所に現れたことが証拠、と言う事にはなりませんか? 我々では束になってもムツヤくんに勝てない」
キヌの言うことは確かに一理あった。ムツヤには例え勇者が束になった所で勝てない。
「お前達が、少女にナイフを突き付けたことを私は忘れないぞ」
「確かに、少女の心に傷を負わせてしまったことは申し訳なく思います。だが、我々も必死でしたのでああするしか手がありませんでした」
「とにかくだ、お前達はお尋ね者だ。ここで捕らえさせてもらう」
アシノが言ったと同時だった。山から影が伸びてくる。最初は雲でも掛かったかと思ったが、やけに影が濃い。
その正体はオオムカデだった。
「誰か来ましたね」
アシノはユモトの探知盤を見た。だが、裏の道具の反応はまだ遠い。他の入山者だとは思うが、警戒をする。
歩いて出てきたのはエルフの男だった。ムツヤは覚えていないが、ユモトはあっと声を出す。
「あ、あなたは!! もしかして街で会った人?」
「やぁ、覚えておいてくれて嬉しいよ」
ムツヤとユモトがぼったくりの店に入りそうになったのを助けてくれたエルフだ。だが、アシノは何かに気付いてワインボトルを構える。
「お前ら!! 敵だっ!!」
一瞬、皆は何が起きているのか分からなかったが、アシノが言うので警戒をした。
「アシノ様も覚えていてくださったんですね」
「忘れるわけないだろう。こいつは元勇者『トチノハ』の仲間だよ」
「えっ? えぇ!?」
ユモトは驚いて声を上げるが、確かにアシノが攫われた時に見たような気もする。
「居るんだろ、トチノハ。出てこい」
アシノが言うと、トチノハと、モモの父であるネックが出てきた。
「っ!! 父上……」
ネックは何も言わずにモモを見る。アシノは問う。
「何の用だ。お前ら」
「俺達はキエーウの残党一派を追いかけていました。サンライトに逃げたって聞きましてね」
「キエーウの残党だと? ムツヤのカバンが狙いなんじゃないのか?」
アシノが聞くと、エルフの男、キヌが答えた。
「我々の望みは、亜人がこの国で正当な権利を得ること、不当な扱いを受けないことです。ムツヤくんのカバン、裏の道具もその手段の1つに過ぎませんでした」
「どういう事だ?」
「事情が変わったのですよ。魔人の残した武具。まぁ裏の道具がばら撒かれてしまった今、まずは、それをどうにかしないといけません」
アシノとキヌは会話を続ける。
「信じられんな」
「我々が裏の道具も持たずにこんな人気の無い場所に現れたことが証拠、と言う事にはなりませんか? 我々では束になってもムツヤくんに勝てない」
キヌの言うことは確かに一理あった。ムツヤには例え勇者が束になった所で勝てない。
「お前達が、少女にナイフを突き付けたことを私は忘れないぞ」
「確かに、少女の心に傷を負わせてしまったことは申し訳なく思います。だが、我々も必死でしたのでああするしか手がありませんでした」
「とにかくだ、お前達はお尋ね者だ。ここで捕らえさせてもらう」
アシノが言ったと同時だった。山から影が伸びてくる。最初は雲でも掛かったかと思ったが、やけに影が濃い。
その正体はオオムカデだった。