40日間 5

文字数 598文字

「条件…… ですか?」

 モモが言うとアシノは頷いた。

「私達の誰かが人質に取られたとしても、ムツヤは助けに来ない。敵の条件を飲まないという事だ」

 それを聞いて部屋は静寂が支配する。その重い空気の中でモモは発言をした。

「私は構いません、覚悟しています。元より戦わねば亜人の未来に関わることです」

「そうか、他はどうだ?」

「まー、ここまで来ちゃったらギルドの幹部としても行くしか無いわよね」

 ルーがそう言ってウィンクをする。

「私はどの道お兄ちゃんから離れられない」

 ヨーリィは相変わらずの無表情のまま言った。そして残るはユモト。

「ユモト、無理をしなくて良いんだ。ムツヤと旅がしたいならこの一件が終わってからでも良いだろう?」

 アシノは優しくユモトに語りかけた。

「僕は、僕は……」

 ユモトは思う。強大な敵と戦う恐怖と足手まといになってしまう情けなさ。




「僕も、僕も行きます!!!」

 しっかりとアシノを見つめてユモトも決意をした。ふっとアシノは笑う。

「決まりだな、何も私達だけでキエーウ全員を倒そうってわけじゃない。ムツヤにひと暴れして貰っている間に、自分の身を自分達で守れれば良いだけだ」

 アシノは立ち上がってモモとユモトに言う。

「まぁ、そうと決まれば修行だ。残り39日、余裕を持って行くとして32日としよう。その間厳しい修行をさせて貰う」

「はい!」

 2人は元気よく返事をした。もう戦いへの覚悟は決めている。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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