修行生活 5

文字数 942文字

 そんな訓練を朝から夕方までやった。皆ヘトヘトになって宿屋へ戻る。

 そして、とある問題がもう1つ起きていた。エルフの若い衆と冒険者が飲み屋で話をしている。

「さて、第2回勇者様パーティーの推しを語る回を始めたいと思います」

 湧き上がる拍手。そう、ファンが出来てしまっていたのだ。

「はい、やっぱり小さい背丈と大きな胸がギャップのルーさんが最強だと思います!」

 エルフが手を上げて高らかに宣言する。

「お前、本当ロリ巨乳好きだよな」

「いやいや、あの身長であの胸は反則だろ!! しかも子供っぽい性格がまた良い!!」

 頷く者たちがチラホラと居た。そこでまた別の冒険者が話し始める。

「やっぱり僕は、王道を往くモモさんだな。礼儀正しく、強く、美しく、健康的な体!! 冒険者の鑑だろう」

「それは一理ある」

 またウンウンと男たちは頷く。

「俺はアシノ様だな、勇者だってのに偉そうにしないし、たまに笑う時があるんだけどそれが可愛いんだ」

「なにそれ俺も見たい!!!」

 羨ましがる声が上がった。そこでまた手が上がる。

「ヨーリィちゃんも良くない? 何か不思議な感じとお人形さんみたいな完成された可愛さが!!」

「わかる」

 っとそこで、酒を飲んでいたエルフがふと声を出した。

「おいおいおい、お前らユモトさんの事を忘れてねーか?」

 そこでどよめきが起きる。

「お前知らねーのか? ユモトさんは男だぞ!?」

「男だったら何か問題でもあるのかよ!?」

 それは…… と言い掛けて声が止まってしまった。

「可愛いけど男、男だけど可愛い、その脳を混乱させる所が良いんじゃねえか」

「そりゃあ、分からないことも無いけどよ……」

 確かにユモトは可愛い。

 奥ゆかしいし、顔も可愛いし、いい匂いもする。

「愛があれば種族も性別も関係ない、そうじゃねーのかよ!!」

 そう熱く語るエルフ。それを聞いて男たちは感動で涙を流していた。

「そうだ、大事なのは愛だ、俺達が間違っていたよ……」

「分かれば良いんだ……」

 その話題の勇者アシノ達は羽根を伸ばそうとして飲み屋の外に居たが。

「今日ここに入るのはやめておこう」

「え、えぇそうね、他のお店にしましょう!!」

 先頭で騒ぎを聞いていたアシノとルーはそう提案をする。それをユモトは不思議そうに首を傾げて聞いていた。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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